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シンプルライフ

Vol.20 気負わずにさりげなく―― 「男のおしゃれ」を楽しみたい 伊藤浩史さんを訪ねて

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色とりどりのバッグに囲まれたアトリエ

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さりげない服装ながらセンスのよさが光る

都心の駅からほど近くに立つ古いマンション。ほの暗い廊下を進み、一軒の扉を開ける。すると……扉の裏側は息を飲むような赤。室内を見渡せば、オレンジ、緑、黄色、青、カラフルなバッグの数々が、白い壁を背景に、まさに鈴なりだ。

ここは、バッグデザイナー伊藤浩史(ひろし)さんのアトリエ。年に数回の展示会を開くスペースであり、ふだんは来客をもてなす場所でもある。部屋いっぱいのバッグは、もちろんすべて伊藤さんのデザインだ。

マダガスカルで祭事に身につける布「アディンクラ」を縫い合わせたもの。白いシャツ地を裂いて自分で染め、カギ針で編んだもの。リボン状にしたヘンプ(麻の一種)をぐるぐる巻いて、インドのシルクを縫い付けたもの。ヨット用の丈夫な帆布に、綿をはさんでふんわりとさせたもの。ひとつひとつ、手法も違えば色使いもさまざま。見ているだけで楽しくなってくる。若い女性だけでなく、年配女性やおしゃれ好きな男性が持って似合いそうな品も多い。

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アトリエには個性的なバッグの数々が

「こうして、ちょっと変わった素材を組み合わせ、あれこれ考えるのが、デザインといえばデザインなのかな。それほど色にこだわってるわけじゃないですけれど、配色がきれいって言われますね」

内側の布選びや仕上げまで気を使ったバッグは、ときには裏返して、違う表情を楽しんでもよさそうだ。

「外から見えないところもきれいだと、使っててうれしいでしょ」

江戸の粋人が羽織裏に凝った感覚に近いかもしれない。

訪ねた日の服装は、濃紺のカーディガンに白いシャツ。胸元の真っ赤なハートマークが印象的だ。衿の詰まり具合もどこかおしゃれ。

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「ボクゥ」はフランス語。英語のveryの意

男性ファッション誌風に高級ブランドに身を包めば、洒落(しゃれ)者に見えるのは間違いないだろうが、普通に生活していれば衣類にそんな費用はかけられない。一見なんでもないような服を、自分らしく着こなすのが伊藤さんの流儀だ。これは、タダモノではない。

それもそのはず、伊藤さんの以前の仕事は有名アパレルメーカーのデザイナー。退職するまで18年間、女性向けのファッションデザインに携わってきたのだ。スタイリストの妻、稲田京子さんともども、若い頃からそのファッションセンスを注目されて、雑誌にもたびたび登場している。オリジナルバッグのブランド「beaucoup(ボクゥ)」を立ち上げたのは、7年前のことだ。

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