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シンプルライフ

Vol.20 気負わずにさりげなく―― 「男のおしゃれ」を楽しみたい 伊藤浩史さんを訪ねて

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男のおしゃれはさりげないこだわりがコツ

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春用のジャケットもお気に入りの一着

いったんは半身不随を経験した京子さんも、伊藤さんの看病と懸命なリハビリで、今ではすっかり元気を回復した。でも、もう以前のような働き方はしたくない。手仕事感覚のバッグなら、マンションの一室でできるし、デザインも素材も自由に遊べるのではないか。こうして京子さんと長男との3人で「beaucoup」を立ち上げた。

夫婦とも、ファッションの楽しみは今も変わらない。一緒に歩いている時も、店に立ち寄り、互いに似合うものがあれば勧める。

「男は、服は一人で買いに行かないほうがいい。カップルで歩くことを前提にものを選ばなければ。自分の姿を見るだけでなく、相手の服装とのバランスを考えることで、趣味も良くなっていきますよ」

ポリシーは「目立ちすぎず流されず」。

「これみよがしでなく、しかも見過ごされないように。要は、シルエットとか色のバランスとか、自分のこだわりをさりげなく表現して、気持ちよく身につけられればいいんです。そんなに複雑なことではないですよ」

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マフラーや帽子もあれこれ揃えて楽しむ

伊藤さんのコーディネートの基本は、シャツとセーターとジャケット。オールシーズン、パターンは一定だ。ジャケットは1シーズンに着られるものが2枚あればいい。春秋はジャケットかセーター、夏にはシャツ1枚。この10年というもの、冬のコートは着ない。その分、気に入ったマフラーが、防寒を兼ねながらもいいアクセントになる。年齢相応を考えるよりも、自分にとって心地いいデザインを選ぶのがポイントだ。

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ジャケットを替え、マフラーで変化をつける

「僕の場合、フランスの浮浪児風っていうのが好みですねぇ。で、よく見ると生地やステッチがユニークだったり」

長年スーツ姿ばかりだった男性たちが、休日やリタイア後の日々に、自分なりのファッションを楽しむにはどうしたらいいのだろう。

「ツイードのジャケットにセーターとパンツとか、なるべくスーツに近い服装から始めるといいんです。いきなりラクな格好をすると、それまでなじんだ服との落差がありすぎて、なかなか似合わない。差を少なくして、徐々になじませていくことです」

量販店の品も、昔に比べればいいデザインが増えた。でも、全身が安物の量販コーディネートではつまらない。

「安いポロシャツに、質のいいパンツと真っ白なスニーカーなんてかっこいいですよ。どこか一点でも、服に対して自負を持ちながら着る。そうするとだんだんセンスも上がり、似合う服もわかってきます」

今度の休日は妻と一緒に服を買いに……そんな男性たちが増えていけば、町の風景もきっともっと楽しくなる。

こぼれ話…

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テーブルに置かれた花器もどこか個性的。丈の高いガラス器は作家物、低いほうは東欧のリキュールびん。そして四角い陶器は、会津本郷で古くから作られてきた「にしん鉢」だ。これは山国の会津で、貴重なたんぱく源のにしんを保存するのに使われたもの。伊藤さん夫婦はけっこう旅好き。パックツアーで秘湯を巡ったり、素朴なやきものを訪ねたり、渋めの旅が好みという意外な側面が。

PROFILE

伊藤浩史(いとう・ひろし)

伊藤浩史(いとう・ひろし)

1947年愛知県生まれ。大学時代にファッションの仕事に進むことを決意する。中退後、伊東衣服研究所で服作りの技術を習得。同時に個人でニット製品の製造卸をはじめる。26歳で上京し、(株)メルローズに入社。「メルローズ」ブランドに続き、「ラ・ブレア」のチーフデザイナーとして活躍する。92年に退社。2000年から、妻の京子さんとともに「beaucoup」の名でオリジナルデザインのバッグを作る。

  文  :秋川 ゆか
写真:長尾 浩之

(更新日:2007年04月13日)

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