待ち合せ場所に指定された海沿いの広い公園。元はフェリー埠頭だった場所だ。おだやかな潮風の中、1台の車が到着する。ハイルーフの白い「ハイエース」。宿利賢治(しゅくり・けんじ)さんの、手作りのキャンピングカーだ。宿利さんは自宅からほど近いこの公園をしばしば訪れては、のんびりとした時間を過ごすのだという。
「ここではいつも、電動工具を持ってきて車に手を入れたり、本を読んだり。そのまま車内泊することも多いですね。酒を飲んじゃうから運転できないからね」
外から一見しただけでは、ごく普通のワンボックスカーだ。ところがこれが、宿利さんもメンバーであるHMCC(ハンドメイドキャンピングカークラブ)でも、豊富な改造のアイデアがぎっしりと詰め込まれていることから、常に注目を集める1台だ。

車内はいったいどうなっているのだろう。
「小さい車だしね。たいしたことはしてないですよ」と言いつつリアゲートを開ける宿利さん。するとそこには木目も美しい見事なキッチンが。シンクは家庭用のダブルシンクを切ったもの。キャンピングカー用のものに比べて深さがあるので、使いやすいそうだ。蛇口も家庭用。そばには「手動/足動」と書かれたスイッチがついている。タンクから引いた水を、手動の水栓のほか、足元のペダルでも止められるしくみだ。
「キャンプでは水は貴重だから。両手がふさがっている時も、こまめに足で止められるようにしないとね」
冷蔵庫や電子レンジ、カセットコンロから、開閉式の調理台やまないたを固定する金具まで、料理に必要な機能はほぼそろっている。シンク横の扉の中には、シャワーヘッドをつけたホースも用意されている。温水タンクにポンプをつなげば、どこでもシャワーが使えるわけだ。ホースの先のポンプはウインドウォッシャー用。これなら小さくても十分なパワーがある。

内部は予想以上に広々。無垢材や樹脂板を組み合わせてこしらえた収納は、きめ細かく区分けされ、作り付け家具さながら。間仕切りを兼ねた箱の下にはポータブルトイレもセットされている。
座席のシートも手作りだ。いつもは茶の間感覚でシートをフラットにしている後部席は、背もたれをつければゆったりとしたソファになる。広いテーブルもセットできる。では眠る時はどうするのか。
「車内が全部ベッドになるんですよ」
背もたれや収納部のふた、テーブルの裏面……パズルのように並べていく。見る間に、キッチンまで含めたすべてのスペースがふかふかのフラットフロアに変身していく。3人くらいなら寝返りも打てる広さだ。これはすごい。

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