宿利さんにとって、この車は4台目のキャンピングカーになるそうだ。若いころから車の旅が好きだった。最初はクーペに乗って、親子連れであちこちキャンプなど出かけていた。
「けれど、道中でワンボックスのキャンピングカーを見るたびにうらやましくてね。後ろで寝転がってテレビを見てたり。いいなぁと」
完成品のキャンピングカーは値段が高いうえ、おもしろくない。自分で作れるのではないか。生来、ものを作るのは得意だった。初めてワンボックスの「バネット」を買い、改造に挑戦したのは30年前のことだ。
後部席をフラットシートに変えた車は快適だった。やがて専門雑誌を読んだり、手作りキャンピングカー愛好者とも大勢知り合ううち、アイデアはどんどんふくらんでいく。「バネット」の次に「ハイエース」、さらに「キャラバン」と乗り換えるたびに機能は充実していった。

そして10年前、現在の「ハイエース」に。当時で230万円する新車だった。
「購入してすぐに座席のカバーもはがし、徹底して手を入れました。新車の改造はちょっと勇気もいりますが……。でも、ずっと乗り続けるつもりでしたから」
狭い車内を使いやすく作り変えるには、しっかりとしたプラン作りが重要だ。改造は、キッチンや収納の配置などの綿密な設計図面を起こすところから始まる。そして図面に合わせて材料を用意し、木材を組み、金属部を溶接する。シートなど布地を使った部分はミシン仕事だ。

仕事を終えての帰宅後や休日をあてての作業は、時間はかかるがなによりの息抜きになる。そしてもちろん、完成後に乗る日を思えば楽しみも一層だ。
予備バッテリーや充電機、冷蔵庫などの備品を除くと、改造費用はトータルで30万円ほど。安くあげる工夫はもりたくさんだ。たとえば網戸。運転席左右の窓には農業用の網、サイドドアを開けて取り付けるものはメッシュのTシャツを材料にして縫った。車の前後で2台の自転車を支えるのは、ゴムボートのオールや、バスの吊り革フレームだ。使えなくなった電子レンジは収納に活用している。
「おもしろいでしょ。自分で作って、キャンプを楽しんで。いいものですよ。どうしてみんな、やらないのかな」
高価な市販キャンピングカーにそのまま乗っている人は多い。そして自転車1台、新しく取り付けることもできない。それが、宿利さんには歯がゆい。

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