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Vol.24 創作のかたわら楽しむのは 長年続けた「サーフィン」 松村和之さんを訪ねて

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年齢とともに自分のペースで楽しむ

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愛読のサーフィン雑誌を開く松村さん

昨年、松村さんは代表を務めてきた情報関連会社をたたんだ。これからは本当に自分の好きなことで生きていこうと決めたのだ。金属造形も本格的に再開し、個展活動も始めた。

サーフィンの楽しみ方も変わった。

「コンテストで賞を目指すような乗り方と、自分でゆっくり波とたわむれる乗り方があるんです」

以前は賞を意識した派手なサーフィンもしてきた。恐い思いをしたことも何度もある。バリ島の沖に引く波の強さ、ハワイの岩場……。

「波に巻き込まれたり、ボードが顔に当たったり。4、5針くらい縫うようなケガはしょっちゅうでした」

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右にあるのが2005年の大会トロフィー

40代後半からは、コンテストにも数回出場した。2005年にくげぬま海岸で行なわれた、ハワイ発祥の大会「バッファロークラシック」では、チームで参加して2位。そのほかのコンテストでも、いつも3位以内に入賞してきたそうだ。

「でもそろそろ、もっとラクに乗る方向に行こうかな、と。大会にももう出ないつもり。自分の好きな方法で、おもしろく乗れればいいんですよ」

体力にはまだまだ自信がある。ボードの先端に立つノーズライドなど、ロングボードを楽しむ技術も若いころと変わらない。けれど今は生活すべてにおいて、競うよりも、楽しむことを優先したい。家の近くに設けた工房で作品に取り組み、ギャラリーを営む妻とときには旅に出かけ、そして風の様子を読んでは海に車を走らせる。その日々が、ちょうどいい。

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クラシックギターも10代からの趣味

波乗りをしていて一番楽しいことは? 松村さんに聞いてみた。

「イヤなことも忘れられるってよくいうでしょ。でも僕はサーフィンでウサを晴らす気はない。海には幸せな気分で行きたいですね」

余計なトラブルを抱えていては、海に入ってもつまらない。なにもかもうまくいっていて心配ない状態で、しかもいい波がきて……。

「すると自分がとても寛容になって、アロハな気分になれるんですよ。車で走りながらも、どんどん道を譲っちゃう。イヤな気分の時はむしろ行かないほうがいい。海は決して、逃避する場所ではありませんから」

仲間には60代のサーファーも何人か。身につけた技術さえあれば、楽しみはまだまだ当分続く。ハワイで集めたウクレレ、大会で得たトロフィー、たくさんのサーフィン雑誌……。好きなものに囲まれた住まいで、松村さんは今日も、海への思いを馳せる。

こぼれ話…

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松村さんのサーフボードを拝見していると、端に「犬」のシールがあるのを発見。大切にしているはずのタイラーのボードにシール? しかもなぜ「犬」? いつも自分でボードの修理をする松村さんだが、手に負えないほどのキズがついてしまったのがこの場所。思い余って、愛犬の鑑札シールを張りつけてしまったそう。これなら海水にもはがれない。なかなかキュートなアイデアである。

PROFILE

廣川和徳(ひろかわ・かずのり)

松村知之(まつむら ともゆき)

1952年青森県生まれ。東京芸術大学工芸科で鍛金を専攻。卒業後はデザイン専門学校講師を務めつつ制作活動を進めるかたわら、家業の情報関連会社を引き継ぐ。また90年前後からはカスタムナイフや鍛造刃物の製作もはじめる。2006年に経営する会社を解散し、工房matsu metal worksを開設、金属造形の制作活動に専念する。現在は、妻が経営するギャラリーなどで展覧会を開催している。

  文  :秋川 ゆか
写真:伊田 淑乃

(更新日:2007年06月11日)

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