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周囲を見渡せば、釣りを趣味とする知人は、たいてい5、6人はいるものだ。たまには自分で仕掛けを作るという人も、それほどめずらしくはない。しかし、武直彦(たけしなおひこ)さんの場合、その凝り方は誰もが認めるほどだという。どういうことなのだろうか――。
訪ねた自宅は、夫婦と大学生の次男との3人暮らし。リビングでは大型犬サルーキのルークが悠然と歩く。そして、2台の水槽にはセルフィン・プレコ、ポリプテルス……。どれも古代魚の仲間だ。
「結婚した年に、お祭りですくった金魚を飼いはじめて以来、魚は途絶えたことはありませんね。特に子供が小さいうちは、あまり釣りに行けなかったもので、10個くらい水槽を並べて」と直彦さん。

とにかく魚が好きなのである。
「水族館みたいでしたよ。なにしろ凝り性だから、何でもいっぱい集めたがるの。釣り道具もそう」
妻の朋子(ともこ)さんの言葉に、思わず期待も高まる。
釣り用の道具類を置いているのは2階の1室だ。一歩中に入ると、そこはまさに釣り部屋。どこを見ても、釣り一色である。
「もともと寝室だったんですが、だんだん道具が増えてしまって」という直彦さんだが、その量はただごとではない。

ずらりと並んだリールは、なんと25個。竿(さお)は70本あまり。積み上げたクーラーボックスも5、6個。電動リールに使う車両用バッテリーは2台。釣り糸の束、タモ網、バケツ……とにかくあらゆる道具が大量に置かれている。まるで、どこかの釣りサークルの部室だ。
「狙う魚によって、それぞれ違うんですよ。だいたいはそろってきたけれど、新しい品も次々出るし」
こづかいは、ほぼすべて釣りのために費やす。最新は、夏のボーナスで買った大型電動リール。キンメダイやアコウダイを狙うためのものだ。

押し入れには、プラスチックケースが20個あまりも積まれている。手作りの仕掛けをストックする場所だ。もちろん中身はぎっしり。ケースはそれぞれ、クロダイ、ムツ、タラ、カサゴ、オニカサゴ、キンメ、メバル、イカ、ヒラメ、タチウオ、フグほかさまざまなラベルが張ってある。魚種別に仕分けてあるのだ。「青物」にはサバやアジ用、「大物」とある箱にはカンパチやヒラマサ用の仕掛けが入っているという。
釣りに出られない休日、直彦さんは仕掛け作りに没頭する。ダイニングテーブルに道具を並べ、ムツ用など大きいものは1日に5、6組、小さい仕掛けなら40組近く。ルークをかたわらに朋子さんと話しながらこつこつ作業していると、時間が過ぎるのもあっという間だ。

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