古いおもちゃや日用雑貨を集める人たちがいる。「骨董(こっとう)」とまでは言えないのだが、今では手に入れるのが難しい品々。子供のころに家にあったような、どこか懐かしいもの。それはブリキのロボットだったり、ガラスの薬瓶だったり、振り子時計だったり。
駅弁容器や箱根細工、ぬりえ、レコード、オハジキまで、どんなものにもコレクターがいるものなんです」
神奈川で歯科医を開業する栗原英次(えいじ)さんの、自慢のコレクションはコンペイトウ瓶。かつては中にコンペイトウを入れて売っていたものだ。子供が喜ぶ凝ったデザインの容器は、食べ終わった後は遊び道具になる。自動車型ドロップ缶やサイコロキャラメルなどと同様、お菓子とおもちゃの両方が楽しめるこうした品は、「菓子入り玩具」と総称されるそうだ。

英次さんがこれまでに集めたコンペイトウ瓶は300点以上。2年前には、コンペイトウそのものの歴史までも織り込んだ本「いろはにコンペイトウ」も書き上げた。これはぜひ、実際に見せてもらいたい。
待ち合わせは、日々の仕事の場である診療所の前。
「家に行く前にこっちもちょっと見ますか」
うながされて玄関を入る。13年前に近くに自宅を建てるまでは、住居を兼ねていた建物だ。日中は夫婦ともこちらで過ごす時間が長いため、室内は今も事務所兼住まいの様相を保っている。ところが2階に上がると……。
「ここはおもちゃ部屋なんです」という1室は、壁全面にガラスケースが 置かれ、中にはブリキのおもちゃがぎっしり。自動車、飛行機、人形、ロボット、動物。小さなものも、大きなものも。
「昔、仲間と競い合って集めたの。でも、ブリキのおもちゃはすごいコレクターが何人かいて。かなわないからやめました」

別の部屋ものぞいてみる。以前は子供部屋だった和室には、木製の氷冷蔵庫、氷かき、アイスキャンデーの木箱、「氷」の文字が入ったビーズのれん、氷コップ……。
「氷ものも集めた時期があったんですよ」
天狗(てんぐ)煙草の長持ちや自転車、オートバイといった大物もある。さらに隣の部屋には置き時計、看板、ブリキ缶、菓子の陳列棚なども。
「骨董市などでおもしろいものが出ると、なんでも一応買っておくんですよ。でも、こうしていろんなものに手を出し過ぎてね。どのコレクションも相撲で言えば『小結』程度」
とはいえ、どれも好きな人にはたまらないものばかりだ。
「診療室にも少し飾って、患者さんにも楽しんでもらっています。以前に来た方が、前のロボットはどこにいったの、なんて聞いてくれるの」
ていねいなつくりや、独特の色使い。ひとつひとつ見ていると、どんどん時間が過ぎていく。これではいっこうにコンペイトウ瓶まで行き着けない。

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。