朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ホーム設定

Special Contents ひと

  • インタビュー
  • フロントランナー
  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

記事を印刷

ライフスタイル

  • バックナンバー

シンプルライフ

Vol.41 自然本来の美を伝えるために作り続ける「植物のあかり」 川村忠晴さんを訪ねて

  • ページ1
  • ページ2
  • ページ3

作品を通して伝えたいのは自然の大切さ

写真
ネコジャラシを使って照明を作る

仲間とともに取り組む、環境保護の活動も続いていた。原発問題、自然破壊、各国先住民の人権問題……。1988年夏に長野県の高原で開催した「いのちのまつり」は、全国に散っていた元ヒッピーから、環境問題に関心のある若者まで多くの参加者が集い、伝説的ともいえるイベントとなった。

作家としての転機は、14年前、ある美術館で担当したシャガール展の装飾だ。片隅に野のものを使った照明を置いてみた。自然素材の持つ力強さは来場者の注目を集めた。

「それを見た友人が、面白いから自分のギャラリーで展覧会をやろうと声をかけてくれて」

八ケ岳のギャラリーで開いた個展は、予想を超えた反響を呼ぶ。少しずつ近づいていた自然志向の時代と、見事にクロスしたのだ。以来、各地のアートギャラリーからのオファーは引きも切らず、川村さんの作るあかりは全国に広まっていく。

「僕自身、いまだにあっけにとられている感じ。環境問題をやっていく中でこうなってきただけで、本当に作家と言えるのかどうか。だからテレビ取材などは全部遠慮させてもらっているんですけれど」

写真
ミニひょうたんで極小スピーカーも

でも、作品を通して自然の持つ価値が人々に伝わっていくのはうれしい。今は、作るのはあかりだけではない。草の実を入れた万華鏡、小枝の形を生かした人形、小さなひょうたんで作るスピーカー……アイデアあふれる品々は、どれも見ているだけで楽しくなる。小さいころの、木の実でコマをこしらえたり、摘んだ花で冠を編んだりした輝かしい日々を思わせるような。

「そう。みんな、自分で作ったらいいんです。小学校の授業などでも、こんな自然工作を採り入れたらいいと思うんですけれどね」

ときおり開くワークショップでも、自閉症の老人が葉や木の実にふれて、ものを作るうちどんどん笑顔になっていく。都会に住む子供たちも、万華鏡の中に展開する自然の造形に誰もが夢中になる。そんな経験が、自然への慈しみを生む。

「季節労働」が若干途切れる夏の間、川村さんは、森で静かな時間を過ごし、デザインを考え、またボランティアにも打ち込む。この20年あまりは、アマゾン流域少数民族への支援を行うNGO「熱帯森林保護団体(レインフォレストジャパン)」のイベントなどを手伝っているという。南米先住民の人々の自然とのかかわり方や、造形の素晴らしさに学ぶことも多い。

写真
枝が踊る人の姿に見える作品「ダンシングツリー」

「裸に近い生活をしていても、その誇り高さや気品にはかなわない。彼らの持つ価値観には、目からウロコの落ちる思いです」

自分たち団塊の世代は、地球環境や古来の文化をどれだけ壊し、汚してきたか。その責任は大きいと川村さんは言う。わずかなりとも、自然の大切さに気づいてもらい、残された貴重な環境を守っていく手助けができれば――。ほんのりとともる美しいあかりのひとつひとつには、そんな思いが深々とこめられている。

3月の節句に作りたい
植物を使った簡単工作
「山芋の実のお雛(ひな)様」

  1. 材料
    [材料と道具]
    厚手の和紙8×6cm、金箔(ぱく)の千代紙2.5×6cm、枯れた山芋の実(ほかにドングリなどでも)、草の実やツル、ボンド、はさみ
  1. 1
    1. 金箔の千代紙を、1.5cm幅に4つ折りにして、屏風(びょうぶ)を作る。
  2. 2
    2. 屏風の下辺にボンドを塗り、だ円形に切った和紙の台の適当な位置に立てる。
  3. 3
    3. 山芋の実の形のよいものを2個選び、ひとつは実の一辺を柄の付け根の部分から斜めに切り取って落とす。
  4. 4
    4. 花のもうひとつの実は柄を残しておき男雛に。3で柄を切り落とした方は、すそをちょっと開いて十二単(ひとえ)に見立てて女雛に。
  5. 5
    5.2個の実のすそ部分にボンドを塗り、屏風の前に並べて貼る(他の木の実などを使う場合は、形を見て2個を適宜並べる)。
  6. 6
    6. 軸のついた草の実は、台に画びょうなどの針で穴を開けて軸先にボンドを塗って立てる。ツルなどもお供えに見立てて、手前にボンドで張れば、できあがり。

PROFILE

川村 忠晴(かわむら ただはる)

川村 忠晴(かわむら ただはる)

1948年東京都生まれ。若者文化の中心であった青山で育ち、小学生のころは絵描きになることを夢見た。和光大学卒業後は、民放テレビ局で制作担当に。半年で退社し、フリーランスで仕事を続ける。同時に海外各地を訪ね、当時全盛だったヒッピームーブメントや、アジアの人々の精神文化にふれた。結婚を機に長野県で山暮らし。5年間を過ごした後、東京に戻り、造形デザインの仕事をスタート。友人たちと立ち上げた事務所「モンゴネットワーク」では、環境保護にかかわる多くのイベントなども手掛けた。14年ほど前、イベント美術で作った照明をきっかけに、自然物を使った造形作家として活動をはじめる。個展・グループ展など多数。作品は、JMギャラリー(東京・渋谷)にも常設している。

  文  :秋川 ゆか
写真:山口 敏三

(更新日:2008年02月22日)

前のページへ
画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。