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Vol.42 アートに親しむ日々が生み出した 遊び心満載の「シトロエン2CV」 小川力久さんを訪ねて

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2CVの屋根にすだれ、窓にはペイント

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愛車2CVの屋根に見えるものは…

都心までものの30分ほどの千葉市郊外。古くは田畑におおわれていたであろう土地に広がる住宅街に、「RIKI DENTAL OFFICE」の表示を出す、モダンな建物がある。歯科医の小川力久(りきひさ)さんの診療所だ。

電話での指示に従って、敷地の裏側に回る。そこは雑木の茂る広々とした土の庭。鳥のさえずり、枯れ葉や草の匂(にお)いも心地いい。そして、奥にちんまりとたたずむのは……丸っこい形も愛らしいシトロエン2CVだ。コンクリートの建物を前に、木々に囲まれて停車した光景は、まるでパリのアパルトマンの中庭でも見ているかのようだ。

「今日は写真を撮ってもらうからね、ひさしぶりにワックスもかけたんですよ」

登場した小川さんは185センチの長身。小さな愛車と並ぶ姿は、凸凹コンビの風情でなんだか楽しい。

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画集のページを張った部分がガレージの扉

「この2CVは22年前に新車で購入したもの。今も毎日乗っています」

シトロエン2CVは1948年の発表以来、大きなモデルチェンジもなく90年まで生産され続けた、フランスが世界に誇るベストセラー車。開発者は身長2メートル。背の高い人も、教会などに行く時にシルクハットをかぶって乗れるよう考え抜いてデザインしたものだそうだ。小川さんがラクに運転できるのも、その車高ゆえ。

「もともとシトロエン社の車が好きで、若いころはGS、CXプレステージ、BX、XMにも乗ってきました。でも、2CVが一番ぴったりきたんです。気負ってないし、乗り心地もやわらかい。言葉にすると違ってしまうんですが、つまりは、気持ちいいんです」

しかし、このシトロエン、どうもヘンだ。

ヒンジで上下二つ折れになるサイドウインドーや、フロントについている通風用ベンチレーターなどは、2CVならではのユニークさ。クーラーはないため、風を通す機能は必須だ。でも目を引くのは、そうした基本仕様だけではない。

後の窓ガラスに、色が塗ってある。本来はキャンバス地の幌(ほろ)がついているはずの屋根に、すだれが乗っている。手描きとしか思えない文字が、そこここに入っている。これは一体……?

「まあ、僕の部屋に入ったらわかりますよ」

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バイクのパーツを使った明かりのオブジェ

うながされて、車の前の建物に向かう。母屋に隣接するガレージ兼用のアトリエだ。周囲にはミシンや鋼管、機械部品などを組み合わせたオブジェにつる草がからまる。扉を開けると、中はいっそうの不思議空間だ。動物の頭がい骨、なにかの機械、紙や金属で作られたもの、竹や枯れた枝、印刷物……さまざまな素材をもとにした制作物が、見渡すかぎり。

なるほど、これは、車の状況と相通じるものがある。

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