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大勢の仲間が集まって仕込む手前みそ

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ゆであがった大豆をミンチにする

小淵沢の駅から車で15分ほど。静かな高原に遅い春が近づき、あたり一帯をおおう雑木林もわずかな芽吹きの気配が漂う。ゴールデンウイーク前とあって、週末でもまだ人気(ひとけ)のない別荘地を行くと、やがて小道の先ににぎやかな話し声が聞こえる。庭に向けて広いデッキを張り出した角ログの平屋。玄関前の空き地には大勢の人が集まっている。芝地さんの家だ。

人垣の中心からは、煙と湯気がもうもうと立ちのぼる。見れば、3つの簡易かまどに薪がたかれ、大きな鍋でぐつぐつと大豆が煮えている。いいにおいだ。

「この大豆は全部、自分たちで育てたもの。ゆうべから水につけておいたんです。やわらかくなるまで、だいたい3時間はゆでますね。親指と小指ではさんでつぶせるくらいが目安」

と、迎えてくれた正履(まさぶみ)さん。屋内のキッチンをのぞくと、妻の喜代子(きよこ)さんが忙しく立ち働き、大量のもち米をふかしている。今日は、芝地家恒例のみそ作りの日なのだ。

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こうじやもち米を混ぜるのは女性たち

大豆をゆで、米を蒸し、こうじと塩を混ぜて1年ほど寝かせる。簡単なようだが、数百キロの量ともなれば一大イベント。仲間が集まり、皆で手分けして作業し、仕込んだ後は翌年の完成を待って分けるのだという。もちろん作業は1日では終わらない。毎年、3月になると週末のたびにみそ作り。昨年は5回に分けて540キロを仕込んだ。

「大豆が若干不作だったので、今年の仕込みは4回。それでも432キロのみそができます」

1回に集まるメンバーは十数人。近隣の別荘地に住む友人や木工仲間、かつての仕事の同僚などさまざまだ。

「今日は18人だから、ふだんよりちょっと多めかな」

女たちは、大豆がゆであががるまで米やこうじの準備。男たちはかまどの番をしながら、のんびり会話を楽しむ。とはいえ、鍋にわきあがるアクをすくったり、薪の量を調節したりと、それはそれで忙しいらしい。

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たるの中めがけて勢いよく投げ込む

大豆が芯までやわらかくなった。口に入れてみると、ほんのり甘みがあっておいしい。ザルに取り、手回しの道具でミンチ状にする。古い道具だ。ひき肉を作るミンサーによく似ている。昭和初期に、みそ専用として使われていたものだという。いくつもの穴から、大豆ミンチがぐんぐん出てくる様子に、子供たちの歓声が上がる。

つぶした大豆を大テーブルに広げ、もち米と米こうじ、麦こうじ、塩を混ぜる。十分にこねたら、だんごにする。ここからがまたおもしろい。用意したたるに、力いっぱい投げ入れるのだ。これは、間に余計な空気が入らないようにするため。見事な音を響かせる人、勢い余ってたるの外までこぼす人……。交代でバシンバシンと投げこむたび、笑い声がこぼれる。八分目まで入れたら表面に塩をまき、封をすれば、仕込みは完了だ。その間にも、かまどでは次の大豆が煮えはじめている。

みそ作りは、高原での暮らしがもたらした芝地夫婦の楽しみのひとつ。スタート以来、今年で8年目になる。

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