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サブプライムローン・ショック、リーマン・ショックと大きな出来事が続いた世界経済。今年に入りやや持ち直したかと思いきや、ギリシャ問題に端を発したユーロ経済圏の混乱という新たな懸念材料が世界を揺るがしています。日本経済も円高傾向が続き、まだまだ先行きが不透明です。 世界経済はいったいいつになったら回復するのでしょうか。米国の政治・経済に詳しい東洋英和女学院大学教授の中岡望さんに、今後の動向を伺いました。
今振り返ると、サブプライムローン・ショックやリーマン・ショックを受けての国際金融市場の混乱はやや過剰反応だったように思えます。
金融不安そのものよりも、「100年に1度の危機」などと言われたために、消費者は過剰に反応し、消費を抑制しました。また、そうした消費低迷に対応しようと多くの企業が過剰な在庫調整をしたことが、世界的な景気低迷の最大の要因でした。世界中の企業が一斉に生産調整へ走り、それがさらに消費を低迷させるという悪循環が起こり、消費や生産が一気に落ち込んだのです。
米国経済の動きをみると、底を打って徐々に回復へと向かっているのは事実だと思います。2009年の第4四半期、今年の第1四半期はいずれも成長率は堅調な回復を見せていますが、その理由は二つあります。
一つは在庫調整が終わり、新たに在庫の積み増しが行われたことです。企業が必要以上に慎重になり、在庫調整をやり過ぎた反動として、在庫投資が大きくでてきました。その在庫の積み増しが実態以上に国内総生産(GDP)を押し上げたのです。
もう一つは、景気刺激効果です。昨年2月にオバマ政権の景気政策である「アメリカ復興再投資法」で7870億ドルの景気浮揚策が打ち出され、さらにエコカー減税で自動車販売が回復したほか、住宅購入減税などで新築住宅建設件数が持ち直したのです。
問題はこの先です。徐々に回復してきているとはいえ、GDPの水準も雇用も、まだ米国経済が堅調だった07年の水準にまで回復していません。そのうえ、政府の経済政策効果は一巡してきており、第2四半期、第3四半期はやや経済成長のペースが落ちると予想されています。
米国経済が本格的な拡大局面に入るためには、何はともあれ個人消費の回復が必須条件になってきます。
というのも、米国経済は個人消費で支えられているからです。たとえばGDPに占める比率では、個人消費が全体の75%も占めています。これだけ個人消費の占める比率が高いと、米国景気が本格的に回復するには雇用回復と所得増が不可欠です。
問題は、雇用回復がなかなか進まないということです。6月5日には5月の米雇用統計が発表され、失業率は9.7%となり、前月に比べて0.2ポイント回復しました。非農業部門雇用者数は前月に比べて43万1000人増となったものの、これは市場の事前予測を下回りました。経済成長ほど雇用は増えていないのです。失業保険の給付が切れる人も現れるので、仕事がないうえに失業給付も受けられなくなり、個人消費などに大きな影響を及ぼすことになりそうです。
オバマ政権としては、政府の経済対策効果が落ち込む今年第2四半期、第3四半期に、何とか追加の経済対策を打ち出して景気や雇用の浮揚につなげたいところでしょう。ですが、財政政策で雇用増を図れば、既に史上最大規模に膨れあがっている財政赤字がさらに膨れあがるのは間違いありません。景気と雇用の浮揚のために財政出動を行えば、財政赤字問題がクローズアップされてしまいます。共和党は新たな景気刺激策に絶対反対の立場を取っているうえ、世論調査でも、財政赤字の縮小は上位にランクされており、その面でもオバマ政権の政策の余地はかなり狭まっています。
他にもいくつか懸念材料があります。
設備投資については、今年に入ってやや回復しているものの、大半は更新投資です。これも一巡してしまえば、それ以上は期待できず、米国国内における設備投資はほとんど期待できない状況にあると言えます。
もう一つは、米国の輸出企業がこのところ堅調だったのは、やはり為替レートが米ドル安に推移していたからでしょう。
しかし、米ドル安に頼りっぱなしというわけにもいきません。ギリシャ問題に端を発したユーロ不安によって、ユーロが米ドルに対して大きく売り込まれているからです。ギリシャ問題は今後、ポルトガルやスペインなどの南欧諸国、さらには東欧諸国にまで波及する恐れがあります。そうすると、さらにユーロ安が加速する恐れがあります。ユーロ安が進めば、その一方で米ドルが買われることになりますから、米国の輸出産業にとっては、決して望ましい状況ではないのです。
本来、大きな調整局面を経てからの回復は「V字回復」などと言われるように、かなり急な回復を見せることがあるのですが、どうも今回は景気回復の頭を抑え込んでいる要因が多く、なかなかそういうわけにはいかないでしょう。
日本でも、2002年から2007年にかけての景気回復局面は、戦後最長と言われながらも、なかなか個人ベースでは景気回復感を実感できないままに終わってしまいました。その時のように、だらだら感のある回復になると考えています。









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