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賢いお金の知恵

真壁昭夫さんに聞く 世界経済は「100年に1度の危機」から立ち直ったのか?

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リーマンショックから1年。株価は徐々に回復し、経済指標にもようやく底打ちの兆しが見え始めました。世界経済は、100年に1度と言われた経済危機から立ち直ったのでしょうか。信州大学経済学部教授の真壁昭夫さんに、今の世界経済の現状、資産運用をする際に、この状況とどう付き合っていけばよいのかなどについて、うかがいました。

世界経済の現状は?

経済の現状を判断する場合は、2つの視点から考えるのがよいと思います。ひとつはフローの流れ、もうひとつはストックの流れです。

私たちの生活に関連するお金の流れから考えると、フローは毎月のお給料やボーナスから得られる所得、ストックは預貯金や株式、債券、不動産など、保有資産から得られる所得が該当します。

真壁昭夫さん

これを、もっと大きな世界経済の流れに当てはめて考えてみましょう。

まずフローですが、これは大分、回復してきています。リーマンショックによって、欧米や日本の経済が大きく落ち込むなか、中国をはじめとするアジア各国の経済がいち早く回復へと向かいました。こうした動きに引っ張られる形で、日本経済も生産活動は2月に底を打ち、2009年4〜6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動を除いた実質値で前期比0.6%増、年率換算で2.3%増となりました。

それでも昨年の一番高いところが100だったものが、70くらいに戻ったという程度ではありますが、自動車の生産活動に関していえば、一時はピーク時に比べて3割くらいまで減少したのが、7割くらいまで戻ってきているのですから、最悪期は脱したといえるでしょう。これは、世界的にも同じことが言えるでしょう。フローの面は、徐々に明るくなってきていると思います。

一方、ストック面についていえば、まだバランスシート調整が進んでいません。不良債権の処理も進んでいませんし、米国の住宅価格は今年5月に下げ止まって回復していますが、商業用不動産の下落が鮮明化しています。商業用不動産は、オフィスやショッピングセンター、ホテルなどが該当します。これらの価格が、春先から一段と悪化してきているのです。

そこで何が起こるのかというと、商業用不動産を証券化したCMBSと呼ばれる証券の価格が下落し続けており、米連邦準備制度理事会(FRB)はこれを買い支えているのが現状です。

もうひとつは、商業用不動産を担保にして銀行が行っている融資の焦げ付きが、深刻化しています。特に地方銀行は、商業用不動産価格の下落によって、融資する際に確保していた担保の価値が目減りしています。結果、貸し出しを回収しようとしても、担保価値が目減りしているため、回収しきれない。これによって、90行以上の銀行が倒産しています。ちなみに、昨年の米国における銀行の倒産は25行ですから、いかに深刻な状況になっているのか、お分かりいただけると思います。一部では今後、200〜500の銀行がつぶれるという声もあります。

銀行が破綻(はたん)するということは、経済の血液であるお金が回らなくなるということですから、中小企業などにお金が回らなくなり、さらに倒産が相次ぐことになります。ストック面での調整には、まだ時間がかかるでしょうし、その問題が解決しない限り、米国発の経済混乱は収まらないと考えた方がよいでしょう。

100年に1度の経済混乱を10年に1度まで抑えている政府の経済対策効果

確かに、フロー面から見ると回復しつつあるかのように見える世界経済ですが、この100年に1度の危機を、あたかも10年に1度の危機程度まで抑えていられるのは、各国政府がなりふり構わずに経済対策を打ち続けているからです。

しかし、これを永遠に続けるわけにはいきません。何しろ、経済対策を打ち続けている限り、各国の財政事情は悪化の一途をたどっています。ですから、これから問われるのは、経済対策のつっかえ棒をはずした時に、世界経済が自分の足で立つことができるかどうかということです。

正直、これは非常に難しいと思います。やはり第二弾の経済対策が必要です。

藤井財務相は「必要に応じて対策を打つ」と明言しています。二番底を相当怖がっているということでしょう。ただ、私が思うには、二番底はありえません。二番底というのは、底を打ってそこから力強く回復するからこそ二番底といえるのですが、恐らく日本経済はL字形回復になります。つまり、大きく落ちた後、強く反発するのではなく、そのままダラダラと回復するだけということです。恐らく、今後2年くらいは、回復スピードが非常に緩やかな状態になると思います。

なぜそう思うのかというと、つい最近まで世界経済がバブルだったからです。2003年から2006年まで、世界経済は5%を超える成長を続けていました。でも、世界経済の成長率の巡航速度は3%程度です。

つまり、この間、2%のおまけが付いていました。これは、アメリカの個人消費が、借金をして消費をしていたからです。

しかし、こうした借金体質を維持することは困難ということが明確になりました。経済は徐々に正常化へと向かっています。米国がモノを買ってくれないということになれば、3割を超える輸出依存度を持つ中国経済が、かつてのように10%超の経済成長を続けるのは、極めて難しくなってきます。

先進国はかなり疲弊していて、世界経済の成長を支えるだけの力がない。かといって、先進国経済の低迷が続く以上、先進国への輸出によって成長を続けている新興国の経済も伸び悩む。世界的に実体経済が厳しい状態は、まだしばらく続きそうです。

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