税負担の増大や公的年金の減額が見込まれる将来。“今までの蓄えと退職金だけで、自分たちの世代は逃げ切れるのか”と不安を抱えているよりも、将来を見据えて現状を把握し、退職後に備えることが大切だ。このシリーズでは“浮利を追うこと”を嫌う40〜50歳代に知ってほしい金融知識と正しい運用の心構えを、金融庁の話を交えて紹介する。
「貯蓄から投資」へという社会の大きな流れの中で、行政サイドが強く認識しているのが「金融投資教育」の必要性だ。例えば金融庁は、ホームページで一般向けの金融情報を充実させたり、各地でシンポジウムなどを開いたりしている。同庁総務企画局政策課の野崎英司氏は「金融商品の勉強の前に、自分と家族の生活設計をしっかり考えることが大切」と語る。
「将来、自分はどんな生き方をしたいのか。それによって、いつまでにどのくらいのお金が必要なのか、どのくらいの余裕資金を投資に回せるのかという条件が大きく変わってきます。目的が明解になれば、運用商品の選択もある程度絞られてくるはずです」(野崎氏)


最近の50代には、セカンドライフに自己実現の夢をもっている人が多い。具体的な夢があるなら、お金の面からも準備をしっかりと始めることだ。そうすれば、老後の心配という漠然とした不安からも解放され、自分がやるべき人生の目標と同時にお金の目標もはっきりとしてくる。
資産運用を焦る必要はないが、早めに始めれば、それだけ無理をしなくても済む。例えば、45歳で500万円の資金を運用に回せるとして、定年まで年5%の利率で複利運用(得たリターンを元本に合わせて、そのまま再投資すること)すれば、15年で約540万円の収益で利益率は107.8%。55歳からの5年間なら、収益は約140万円で利益率は27.6%。運用期間は15年の1/3だが、利益率は1/4近くまで下がる。
将来の夢を具体的な設計図にするため、まず「ライフプラン」の作成が必要だ。「どらく」読者には教育費や住宅ローンなどの出費をすでに終えた方も多いと思うが、まずは家族全員の将来を見渡し、年間の出費のほか、子どもの結婚や車の買い替えなど大きな事柄にかかる費用を大まかに計算してみよう。
次に、預貯金や金融商品、生命保険といった「今の手持ち資金」と退職金や年金などの、「将来もらえるはずの資金」など、とりあえずは大まかでいいので、将来にわたる生活の資金となるお金を数え直してみる。そして、毎年の収入と支出をシミュレーションし、貯蓄残高の推移を予測して、資金が足りるかどうかを把握する。

もし収入が足りなければ、支出を見直したり、収入をふやす方法を考える必要がある。夫婦ともにまだまだ元気に働ける年代ならばともかく、ある程度の世代になれば、おのずと夢を描ける可能性は決まってくるはずだ。そこで無理な運用をするのではなく、「ふやしたいお金」の目標数値を可能な範囲におさめることが大切だ。逆にいえば、資産運用でいくらお金をふやしたとしても、何のために、どう使うためにかが分かっていなければキリがないということになる。
例えば、退職金やこれまでの貯金などを足してみて、10年後の退職時に、あと1千万円の資産があれば夢がかなうとする。手元の資金すべてを運用に回せるわけではなく、運用に使えるのは余裕資金の中のお金だ。それが毎月5万円だとしたら、年5%の複利運用で、約790万円。ちょっと足りないということになる。そこで、目標額を下げるか、毎月の出費を抑えて投資に回すお金をふやすか、あるいは安全な範囲内でよりリスクは高いがリターンも高く期待できる商品を選択して目標を目指すか。その人の金融知識や生き方のスタイルによって変わってくる。自分が見え、目標が見えてきたところで、次に具体的な金融商品の性格を知り、その選択に入っていくわけだ。
(更新日:2006年07月26日)

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