税負担の増大や公的年金の減額が見込まれる将来。“今までの蓄えと退職金だけで、自分たちの世代は逃げ切れるのか”と不安を抱えているよりも、将来を見据えて現状を把握し、退職後に備えることが大切だ。このシリーズでは“浮利を追うこと”を嫌う40〜50歳代に知ってほしい金融知識と正しい運用の心構えを、金融庁の話を交えて紹介する。
いま私たちが買える金融商品は、種類も数も膨大だ。何を買えばいいか分らないという人は、「これを買えば儲かる」「私はこれで○千万円得をした」といった情報につい目が引き寄せられてしまう。投資は自己責任で行うものだ。投資にはリスクが伴うということを、認識しておかなくてはならない。
リスクというと、一般には損をするというマイナスの印象が強いが、得も損も含めた「変化の振れ幅」があることをおさえておいたほうがいいだろう。ハイリターン、つまり大きく儲ける可能性が期待できる金融商品ほどリスクも大きく、確実性が高い金融商品は概してリターンの幅が少ない。
リスクには下の表に挙げたようなさまざまな種類があり、金融商品によってリスクは異なる。一般的には株式投資は価格変動リスクが相対的に高く、外貨預金や外国債券には為替リスクが存在する。いくら預金の金利が高くても、経済状態が不安であったり地理的・政治的にテロに巻き込まれたりする可能性が高い国への投資には信用リスクが伴う。


投資のリスクを知ることは、ふたつの点で重要だ。第一に、投資はリスクの低い金融商品や、得をしたり損をしたりする仕組みを自分が理解できる商品から始める方がいい。第二に、リスクを知って、要因や大きさの異なる商品を組み合わせれば、市場の変化に対応できず、大きな損をするのを回避できる可能性が高まるからだ。

金融商品のリスクとリターンの仕組みが分らなかった場合は、「分かるまで聞くことが大切」だと金融庁総務企画局政策課の野崎英司氏はいう。
「相手が特定の証券会社や銀行でも、株式、投資信託などリスク商品について断定的な判断を提供することや、お客さんの知識レベルを超えたリスク商品を勧めることは法律上規制されています。1社だけでなくできるだけ多くの意見を聞き、判断材料にしてほしい。セミナーなども上手に活用できると思います」(野崎氏)
リスクとリターンの特徴が異なる金融商品を組み合わせて、安定的な運用を目指すことを「分散投資」という。代表的なのは、株式と債券の組み合わせだ。一般に、景気がよいときは株価が上がるが、 金利も上昇するため債券価格は下落する傾向がある。反対に株価が下降している局面では債券価格は上昇する傾向がある。そこで株式と債券を併せて持てば、資産全体としての変動を安定させることができる。
また国内の金融商品と外国の金融商品をもつことも、リスク分散になる。具体的に、どの商品をどれぐらいの割合で持ち分散するかは、ひとりひとりの運用への積極性によって変わってくることになる。
(更新日:2006年08月09日)

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