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お金と向き合う

なりたい自分になるための心得 その7 公的年金の不安を補う お小遣い型金融商品の仕組み

税負担の増大や公的年金の減額が見込まれる将来。今までの蓄えと退職金だけで、自分たちの世代は逃げ切れるのか、と不安を抱えているよりも、将来を見据えて現状を把握し、退職後に備えることが大切だ。このシリーズでは、浮利を追うことを嫌う40〜50歳代に知ってほしい金融知識と正しい運用の心構えをファイナンシャルプランナーの話を交えて紹介する。

人気が集中する「毎月分配型」は60歳以降向き

投資信託協会の発表によれば、今年8月末、投資信託の残高が6年2カ月ぶりに過去最高を更新(61兆5183億円)。株式投信は3カ月連続で過去最高を上回ったという。投資信託は運用初心者にも身近な金融商品として、もはや定着したといえる。

投資信託は、投資家から集めた資金を1つにまとめて、運用のプロが債券や株式などで運用する金融商品だ。投資家は運用成績に応じて売却益や分配金などの収益を得られる。ひとつの投資信託を買うことで複数の株式や債券に投資できるリスク分散効果と、自分のお金の運用を専門家に託すことができるのが主なメリットだ。

投資信託には、決算日に出た収益をその都度分配金として投資家に支払う分配型と、発生した分配金を再投資する分配再投資型、運用で成果が上がっても分配せずに収益をそのまま運用に回す無分配型がある。中でも人気が高いのは、信用格付けの高い外国の債券などに投資し、分配金を毎月受け取れる「毎月分配型」の投資信託だ。市場拡大で、この夏には残高が1兆円を超える投資信託が2つから4つへと増加したが、そのすべてが毎月分配型である。

毎月のお小遣い感覚でもらえる分配金は、購入者にとって、運用で得をした実感が得られる。そこに人気の理由もあるのだが、ファイナンシャルプランナーの和泉昭子さんは、「分配金が支払われる仕組みをよく理解した上で利用してほしい」と語る。分配金は、その都度10%(所得税7%・住民税3%)の税金が課され、購入者の手元に渡るのはそれを差し引いた分だ。無分配型は、中途解約や償還まで収益に対する税金はかからない。

下のグラフは、分配型、分配再投資型、無分配型の3つを比較したシミュレーションだ。仕組みをわかりやすくするため、基準価額1万円の投資信託を購入し、毎期の収益を4%、分配金を400円と仮定(実際の毎月分配型の分配金は月40〜60円程度。本来は運用次第で基準価額も分配金の額も変わる)。購入の翌月、3つのタイプはすべて4%(400円)の収益を上げている。分配型はその中から400円の分配金を出す。購入者には税引き360円が支払われ、基準価格は差し引き1万円となる。分配再投資型では、税引き後の分配金が再投資に回されるので基準価格は1万360円。無分配型は収益がそのまま再投資されるので基準価額は1万400円。分配金をはき出したことや税金で差し引かれる分の複利効果が、期間が長くなるほど大きな差になって現われる。

一定条件下の分配型と無分配型の収益比較

「毎月分配型の投資信託は、年金のほかにも毎月ストレスなく使えるお金が欲しいという高齢者のニーズに合った商品だと思います。特に、部分年金しかもらえない60代前半の方は、分配金を月々の収入の一部として活用するのもよいでしょう。一方、まだ現役で生活に十分な収入がある方は、老後のためのお金を効率的に殖やすことを優先的に考えて、無分配型の投資信託を検討されてはどうかと思います」(和泉さん)

税制面でメリットが多い変額年金保険

和泉さんは、「どらく読者の、公的年金に対する不安をカバーしたいという視点に立てば、変額年金保険も毎月分配型の投資信託のライバル」だという。変額年金保険とは、契約者が保険料として払い込んだ資金を運用して、その運用成果に応じて将来の年金額が変動する、年金と投資信託をミックスしたような保険商品。契約者は保険会社が用意した「特別勘定」と呼ばれる複数の運用商品から、自分が希望するものを選択し、必要に応じて商品を乗り替えたり、組み入れの割合を変更したりして運用を続けていく。

変額年金保険の大きなメリットは、税制面でのさまざまな優遇だ。加入時や増額時に支払った保険料は、生命保険料控除の対象となり所得控除が受けられる。運用中には課税が繰り延べられるため、運用が長期になるほど複利効果が期待できる。また変額年金保険は、運用期間中に契約者が死亡したときには積立金が死亡給付金(「500万円×法定相続人の数」の金額までは相続税が非課税)として支払われるため、相続時に有利だとして高齢者にも人気を集めている。ただし、変額年金保険は、一般的に10年程度の運用を前提にしており、途中解約するとペナルティ(解約控除)がかかり大きく元本割れしてしまう。

「現在の変額年金保険は、運用が不調に終わり元本割れしてしまっても、年金開始時には払い込んだ保険料相当額が保証されるタイプが主流です。ただし、変額年金保険には、保障コストに充てられる『保険関係費用』や、保険会社を通じて運用会社に支払う『運用関係費用』など、さまざまなコストがかかります。中には、これらのコストを合計すると、積立金の3〜4%相当になるケースも。つまり、それ以上の利回りで運用できなければ、コスト分のマイナスが埋められないということを知っておいてください」(和泉さん)

仕組みは異なるが、毎月分配型の投資信託と変額年金保険は、効率的に殖やすことよりも、ストレスなく使うお金を用意するための金融商品。したがって、老後のほかの収入源や、ライフプランそのものとの兼ね合いで、自分にふさわしい利用の仕方を見つける必要がある。ただ、どちらの商品も運用の成績によって収益や保険金額が変動するリスク商品のため、リスクの分散を行った上で利用することが必要だ。

(更新日:2006年10月04日)

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