
「生涯学習」とは、「自己の啓発や充実のためや、生活の向上、職業上の能力の向上などのために、自分の自発的な意志に基づいて、自分に適した手段や方法によって生涯にわたって行う学習活動」(文部科学省ホームページより)を指す。
1965年のユネスコ成人教育推進国際委員会で「生涯学習」という考え方が最初に提起されて以来40数年。生涯学習は現在、自治体の取り組みから企業活動にいたるまで、言葉だけでなく実際の市民生活にも深く根付いた感がある。
「どらく世代」の「学び」に対する意識の高さについて、通信教育大手のユーキャンは、「中高年の男性、特に50代後半〜60代前半の学ぶ意欲が旺盛です。趣味を充実させたいと考える人がいる一方で、『生涯学んでいたい』『ずっと働いていたい』と考える人もまた多いのです」(同社通信教育事業本部)という。そこで今回は、向学心旺盛な「どらく世代」に向けて、「ユーキャンで学ぶ50〜59歳に人気の講座」のデータを元に、主な人気資格&講座の最新事情を見ていこう。

| 順位 | 講座名 | 学費(※1) | 標準学習期間 | 試験の合格率(資格のみ)(※2) |
|---|---|---|---|---|
| 添削回数 | ||||
| 1 | 実用ボールペン字 | 2万9000円 | 6カ月 | |
| 15回 | ||||
| 2 | 実用書道 | 2万9000円 | 12カ月 | |
| 10回 | ||||
| 3 | 宅地建物取引主任者 | 4万7000円 | 6カ月 | 17.3%(平成17年度) |
| 6回 | ||||
| 4 | 行政書士 | 4万7000円 | 6カ月 | 2.62%(平成17年度・全国) |
| 7回 | ||||
| 5 | マンション管理士(※3) | 4万7000円 | 6カ月 | 7.3%(平成17年度) |
| 8回 | ||||
| 6 | 英会話(ピンズラーアメリカ英語) | 2万9000円 | 3カ月 | |
| なし | 7 | 二級ボイラー技士 | 3万5000円 | 6カ月 | 47.9%(平成17年度) |
| 5回 | ||||
| 8 | パソコン入門 | 機械付(※4):29万8000円 | 8週間 | |
| 機械無:5万9000円 | 5回 | |||
| 9 | 社会保険労務士 | 5万9000円 | 7カ月 | 8.9%(平成17年度) |
| 11回 | ||||
| 10 | ファイナンシャルプランナー(2級FP) | 5万9000円 | 6カ月 | 学科:33.8% 実技:33.5% (平成18年5月) |
| 8回 | ||||
| 11 | 第二種電気工事士 | 4万7000円 | 8カ月 | 筆記:56.9% 技能:74.5% (平成18年度) |
| 8回 | ||||
| 12 | 中国語(ピンズラー標準中国語) | 2万9000円 | 3カ月 | |
| なし | 13 | 危険物取扱者〈乙種・丙種〉 | 3万5000円 | 6カ月 | 乙種:47.7% 丙種:54.0% (平成18年8月) |
| 6回 | ||||
| 14 | ケアマネジャー | 4万7000円(※5) | 6カ月 | 25.6%(平成17年度) |
| 6回 | ||||
| 15 | 福祉住環境コーディネーター(2級・3級) | 4万7000円 | 6カ月 | 3級:46.1% 2級:29.6% (平成18年度) |
| 8回 |
男女、世代を問わず不動の1位は、ボールペン字講座。メモやFAXの送信表、宅配便の宛名書きなど、パソコン時代とはいえ、手書きが必要となるシーンはなくならない。冠婚葬祭やお礼状など、本当は手書きのほうが好まれるとわかっていても、字にコンプレックスがあるために筆が進まないという人もいるだろう。
2位の実用書道は、特に50代以上に人気がある。 「書道には作品づくりの面があるので、精神的な充足感や心の安らぎを得たいという目的の方が多いのではないでしょうか」
「受講者の提出課題の字を拝見すると、まったく下手という方は少ないです。自己流でもそれなりに書けるけれど、さらに上を目指したいということが動機のように思います。ある程度上手に書ける方でも自分の字にコンプレックスがあり、きちんと習いたいと思われるのではないでしょうか」(ユーキャン通信教育事業本部 ※以下同)

宅建、行政書士がランキングの3、4位に入った。ともに、流行に左右されない安定した人気の資格だ。
「行政書士は法律の入門、宅建は仕事の幅を広げてくれる資格といえるでしょう。どちらの資格も、取得してすぐに独立して稼ぐということに関しては難しい面があります。中高年の受講動機としては、『これまでのキャリアを生かしたい』『知っていればトラブルを回避できる』という、自己啓発や生活向上に関するものが目立ちます。ちなみに、行政書士は昨年の合格率が2.6%と極めて低く、難しくなったという印象があります」
マンション管理士は、2001(平成13)年にできたばかりの新しい資格で、管理組合が管理会社と交渉を行う際に、第三者的な立場からアドバイスなどを行う資格だ。
「ですが、現時点では、そうした第三者にお金を払って、間に立ってもらうということはまだ少ないと思われます。管理組合に属する人が『組合の運営に役立つから』という理由で受講するケースが多く、住民意識や資産に対する意識の高まりが表れているといえるでしょう」
ボイラー技士はビルなどの空調設備の管理者に必要な資格。電気工事士は建物の屋内配線やアース施工などをする際に必要な資格。危険物取扱者は燃焼性の高い特殊な物品を取り扱う施設等で必要となる。いずれも、転職・再就職目的で取得する人が多い。求人では年齢制限がない、または高齢でもOKな場合があるなど、年齢的なハンデが少なく、未経験者でも比較的仕事に就きやすいという点が人気の理由に挙げられる。ボイラー技士については、管理・点検が主で肉体的な負担が少ないことも人気に結びついている。
「さらに、試験回数の多さも魅力です。試験が年間1回しかない資格だと、不合格の場合、また1年間勉強しなければなりません。その点、ボイラー技士と危険物取扱者は年間の試験回数が多く合格率も高め。チャンスが多いぶん、中高年の再就職狙いには好適といえます。ボイラー技士と危険物取扱者の両方を持っているというような、複数資格の保持者はより高く評価される傾向があるので、W資格にチャレンジするのもおすすめです」
社会保険労務士は、人事・労務管理のエキスパート。仕事、地位、収入、さらには転職、独立開業という面でも、大きな飛躍が可能だ。しかし、試験範囲が広く覚えることが多いうえ、法改正や社会制度の変更も頻繁にあるため、宅建などと比べると試験対策がしにくい部分がある。こうした点が、ハードルの高さにつながっているようだ。
「難関資格ゆえ、中高年でこの資格にチャレンジする方には純粋に敬意を表します。中高年の受講者では、長年、総務や人事に携わっていた方は有利なようです。難関資格ですが、企業における労働形態の多様化や、社会保険・労働保険の手続きが煩雑化していることから、絶えず需要があり安定した収入も見込めます」
ファイナンシャルプランナーは、個人の資産管理や運用のスペシャリストとして、相談者にアドバイスをしたり、コンサルティングを行ったりする。
「資産運用やリタイアメントプランニング、相続、保険など、生活と密接な関係があるので、自分のために役立てられる資格です。実際、『実生活に役立つから』という受講動機の方も多くいます。この資格だけで独立して稼ぐのは難しい面はあるものの、就・転職に有利なことは間違いありませんし、身につけた知識が仕事でも活用しやすいといえるでしょう」
ユーキャン
1954年設立の通信教育のパイオニア。人々に広く学びの機会を提供する意味から、2002年より「生涯学習のユーキャン」をブランドネームに掲げている。現在、資格・実用・趣味など約160講座を展開。
通信教育という特性上、わかりやすい教材づくり、続けていくための環境づくりを心がけており、「初学者でも抵抗なく学べるよう、内容はもちろん、例えばテキストを開いたときの見た目にも気を付けています。また、励ましの手紙やホームページ(「学びオンライン」)などで、継続的な学習を支援する仕組みを設けています」という。

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