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第9回 テーマ:仕事(前編)人生の第二ステージでは独立・起業を

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地下1階のバーはアジア&アフリカのアンティーク家具を基調にした、くつろぎの空間。「落ち着いた雰囲気のなかで、おいしいお酒を飲みながら会話を楽しんでほしい」と村田さん。BGMは真空管のアンプによるジャズが中心。音響効果がよく、「不定期でライブをやるのですが、アーティストや専門家からの評価が高いのですよ」とのこと。
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ひときわ存在感のある井戸が「ちめんかのや」のシンボル。
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1階部分はオリジナルブランド「TATOPANI」の店舗になっている。アジアやアフリカの民族衣装をコンセプトにした内野敦子デザインによる1点ものの洋服を販売する。
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2階はギャラリー。「展示の機会に恵まれないアーティストは相談に乗りますよ」と村田さん。この日はロンドン在住のアーティスト、Miyuki Kasaharaさんが展示を行っていた。
Miyuki Kasahara
http://www.miyukikasahara.com
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オーナーの村田茂廣さん。お店のコンセプトは、「五感で感じる気持ちよさ。肩の力を抜いて、リラックスして楽しんでいってください」とのこと。

自分のやりたいことを仕事にする
〜自分スタイルの独立〜

東京都中野区でバー&ギャラリー「ちめんかのや」を経営する村田茂廣さん(58歳)。元商社マンとして、海外での石油化学プラント事業に携わってきた。国の威信をかけた取り引きや何百億円という金額を扱う仕事だけに、やりがいも自負心もあった。しかし緊張の連続だった。「学生時代から会社員をやらないというのを目標としていたのに、気がつけば20年も勤めていた」こともあって、手がけていた新事業が軌道に乗ったのを見届けて会社を辞める決意をした。94年のことだった。そして約1年後、店をオープンした。

「会社を辞めたからには、自分も楽しめる仕事がしたかった。それが私の場合、お酒と絵画と音楽でした。そしてこの家。建築家の齋藤裕さんの設計によるもので、1988年に建築大賞を受賞しました。この空間を使ってと、考えたときに出たアイデアが、バーとギャラリーだったのです」と村田さん。

店名の「ちめんかのや」は齋藤裕さんがつけた作品の名前。漢字では「地面下の家」と書き、その名に違わぬ独特の地下空間が特徴だ。玄関から階段を下りた地下1階は、大きな井戸がある土壁のバー。アジアやアフリカのアンティーク家具や楽器などが置かれ、隠れ家的な空間をつくっている。2階部分はギャラリーとなっている。

主な収入源はバーでの飲食代とライブ、それに洋服の販売だ。

「バーは開店初年度から黒字続きですが、収益は徐々に下がっています。それが理由ではないのですが、最近は洋服の販売に力を入れています。他にも、家を建てたい人と建築家とをコーディネートしたり、造園業をやったりと、いろいろなことをやっています。私の場合、収益が目的で独立したわけではありませんが、ひとつがダメになってもそれをカバーするアイデアがないと、長く続けていくのは難しいかもしれませんね」と、幅広く活動する理由を話してくれた。

ギャラリーは「お酒を飲みに来た人が見てくれればいい」と収益は考えておらず、むしろ、「一般のギャラリーからは『収益になりにくいから』と、敬遠されてしまうような作品も展示していきたい」という。

独立・起業の目的は、収益だけではない。村田さんのように、やりたいこと、自分が楽しいと思うことを仕事にできるのは独立・起業の魅力だ。ただし、収益と楽しむことを両立するのは難しい。村田さんもこの点については、「独立の目的が収益なのか、楽しむことなのかは、はっきりさせたほうがいいと思います。とくに中高年の独立では、売上目標が達成しなくても大きく影響しない範囲で考えてみるとよいのではないでしょうか」と話す。

「失敗してもひとりで責任を取ればいいから気楽」という村田さん。逆に言えば、ひとりで責任を取れる範囲で独立するのが賢明といえるのだろう。

   ◇

村田さんのように自宅を飲食店にするのは、ケースとしてはまれといえるだろう。店舗は賃貸するのが一般的で、「東京都内で15坪程度の飲食店を開業する場合、保証金や敷金、内装・外装工事費、什器備品、開業経費などで、1500万〜2000万円くらいかかる」(「アントレ」編集長の藤井薫さん/リクルート)という。

村田さんの場合、自宅で開業という選択をしたため、「初期投資は500万円くらい」だったが、その反面、住宅街という立地のハンデがある。村田さん自身、「生活の糧にするのであれば、人通りの多い立地で店舗を借りるといった選択をしたと思う」と話している。

飲食店を開業する際の資金計画の例
東京都内・都下で15坪程度の物件(賃料20万円)の例
項目金額(約)
保証金・敷金200万円
内装工事費500万〜600万円
設計管理費60万円
電気、水道、ガス等設備費200万円
機器類、什器備品等300万〜400万円
開業経費・予備費100万〜200万円
合計1360万〜1660万円

(更新日:2006年11月10日)

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