

仕事編の最後に、ユニークな職種を紹介しよう。
「シニアモデルの数は業界全体として明らかに不足しています。需要に供給が追いついていない状態です。特に少ないのが男性」と、話すのはジャズモデルエージェンシーの岡本真理子さん。
「どらく」世代のリタイアを控え、中高年をターゲットにした商品開発は盛んになる一方。それに応じた広告分野の仕事、あるいは中高年向け雑誌の創刊ラッシュに伴う、中高年モデルの需要が活性化している。同社には50代以上のモデルが男女あわせて約10名所属しているが、「仕方なくメイクや衣装で実年齢より上の年齢に見せているケースもあるほどです。年齢が上になればなるほど数が少ない」(岡本さん)という。
モデル向きの人は「より多くの人に受け入れられるような親近感が持てるタイプ」(岡本さん)というが、仕事が来るかどうかは、(広告などの)依頼主の求める内容による。
同モデル事務所に所属する吉元大二さん(52歳)も「最大公約数としての好感度や親近感は大切だと思いますが、やはり依頼主の要求や、時代の空気にマッチするかどうかによって仕事量は大きく異なります」と言う。
モデルの仕事は必ずしもキャリアが長ければいいというわけではないのだ。言い換えれば、キャリアが短くても成功する可能性があるということ。この点については吉元さんも、「その人だけが持っている個性や存在感は非常に大切。モデルの素人であっても人生の玄人という人もいます。それまでの人生で培ってきたもの、持って生まれた雰囲気でスターになれる可能性がある仕事です」と話す。
ただし、気を付けなければいけないのが、「すべて自己責任の世界だということ。事務所に所属していても、仕事が来ない場合はある。それは自分にニーズがないから、ということを正面から受け止めなければいけません。このような場面がたくさんあります。また、見えないところで費やす努力の量は人並み以上だと思います。そして、その努力が報われないことも多い」と、モデル業の厳しさを語る。
吉元さんは、20代の時に役者になることを夢見ていた、しかし、30歳を前に「役者の仕事は自分に向いていない」と、その夢を封印。30代の10年間は会社勤めをしてきた。だが、40歳の時に封印を解き、「何かを表現する仕事がしたいと思い、モデルの仕事を本格的に始めるようになった」という。
「今現在、自分に対する投資は、金額としては0円」という吉元さんだが、人に見られる仕事であるがゆえ、自己の鍛錬は欠かさない。「剣道・剣術に基づいた呼吸法やトレーニング、山伏修行で感じ取ったことなど、若いころの体験が50代になってやっと収斂(しゅうれん)してきたような気がします。毎日、新しい発見の連続です」と、吉元さんは日々の充実ぶりを笑顔で話してくれた。
年間1千万円近く稼ぐ人もいるという中高年モデルの世界。自己責任、自己研鑽(けんさん)が苦でないなら、大きなチャンスをつかむ可能性は十分にありそうだ。興味があればチャレンジしてみてはいかがだろう。
ジャズモデルエージェンシー
1981年設立のモデル事務所。現在、大人約80名、パーツ(手や足など)約35名、子ども約180名のモデルが所属する。


(更新日:2006年11月28日)
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