東京都小平市では、小平第六小学校にとどまらず、市内の全校に地域連携の取り組みが広がろうとしている。小平市教育委員会教育部指導課で地域連携アドバイザーを務める稲田百合さんは、「小平市の人口は約17万5千人ですが、昨年度、1年間の学校支援ボランティアの延べ人数は4万4千人を超え、本年度はそれを上回るペースです」と活動の輪の広がりを話す。




小平市では、2001年度より教育改革を掲げ、地域ぐるみの教育環境づくりを推進しており、「地域で育てようすこやかな子ども」を基調に、地域の力を学校運営に取り込もうとしている。学期ごとに年3回設けられる学校公開週間の実施もその一環だ。学校公開週間の1週間は、市内の小中学校全校をいつでも訪問できるというもので、保護者のみならず地域の人々に教育への関心を持ってもらうことがねらいだ。
「教員、子ども、地域という3者のなかで、教員は担任するクラスや赴任先が変わり、子どもは成長していきます。唯一、変わらない地域が定点になることで、教育が地域に根ざしたものとなり、大きな力になるのです」と、稲田さんは地域重視の意味を強調する。
稲田さんは、小平第六小学校の前校長として、市内の他校に先駆けて地域に開かれた学校づくりを推進してきた。学校に不審者が侵入したり、子どもを巻き込んだ不幸な事件が立て続けに起きたりするなか、「学校にたくさんの人を入れ、たくさんの大人の目で子どもたちを見守ることが犯罪の抑止力になる」と考え、実践してきた。当初は内外からの反対もあったというが、今日まで着実な成果を上げており、これといった事件は起きていない。
また、地域と連携することで、今までにない授業場面をつくれるようになったという。「地域のお店で職場体験をしたり、その道のプロの方を『ゲストティーチャー』として呼んで講演をしてもらったりと、子どもたちに多様な学習機会を提供できるようになりました」と稲田さん。
小平市では、「コーディネーター」と呼ばれるボランティアが、学校側に授業の企画・提案を行い、学校・教員の協力のもとで内容に見合った人材(ゲストティーチャー)への声かけや授業場面の設定などを行うケースがある。小平第六小学校では、02(平成14)年に、地域からの提案によりコーディネーターとの連携で、小平市の画家・山口長男(たけお)氏の展覧会を「六小美術館」として開催し、そのなかで図工の授業を行った。06年10月にも、コーディネーターの発案で、地域に暮らすプロのバイオリニストをゲストティーチャーに招いてコンサートを開いて音楽鑑賞の授業にした。このような取り組みを重ねていくことで、地域との連携は深まった。その結果、地域の側からの授業提案の機会も増えた。稲田さんは「非常にうれしいこと」と喜ぶが、一方でコーディネーター不足は課題だという。「学校支援ボランティアを知らない人に知ってもらい、一人でも多くの人に参加してもらいたい」と話す。
子どもの未来のため、地域とのコミュニケーションのため、「どらく世代」にかけられた期待は大きいのである。
小平市のような学校支援ボランティアのしくみは、全国の自治体で導入が進んでいる。興味がある方は、インターネットの検索サイトで「学校支援ボランティア ○○市」などと検索してみるといいだろう。


(更新日:2006年12月25日)
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