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気になるいくら?

番外編 神田古書店街で司馬遼太郎の作品を集める

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未収録作品の多い司馬遼太郎。全作品コンプリートは不可能?

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(写真上)厳南堂書店の司馬遼太郎の棚。神田古書店街でもここまでそろえている書店はほとんどない。
(写真下)司馬遼太郎の色紙なども扱う。
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出版化されていない作品が掲載されている古い雑誌などもマニアを中心に高値で取り引きされている。

司馬遼太郎さんの(1923〜1996)全作品を集めると果たしていくらになるのか? 東京・神田の古書店街を訪ねてみた。約180の古書店が軒を連ねる全国一の「古本タウン」である。ここならば、すでに絶版となった作品もはずだ。しかし、何も手がかりがなくては始まらない。まずは、聞き込み調査を開始。

数軒の古書店に入り、「司馬遼太郎さんの作品を探しているのですが」と尋ねると、どのお店からも「そういうことならば……」と、名前が挙がったのが厳南堂書店。古書店同士の横のネットワークに感謝しつつ早速、厳南堂書店へ向かった。

厳南堂書店は、1937(昭和12)年開業で、このかいわいでも老舗(しにせ)の古書店。店主の西塚定人さんは3代目になる。先代までは法律書や掛け軸を中心に扱っていたが、2003(平成15)年に司馬遼太郎と松本清張の専門店にリニューアルし、この分野では神田古書店街でも有数の品ぞろえを誇る。

西塚さんに司馬遼太郎の全作品を集めたいと伝えると、「それは無謀ですよ」と、一笑に付されてしまった。なんでも、近年の作家の中で出版化されていない作品の多さで司馬遼太郎の右に出る者はいないそうだ。そのような未収録作品の数がどのくらいあるのかは、「かなり調べましたが、まだよくわからない部分があります。研究家や司馬遼太郎記念館ですら把握していないはずです」と、西塚さん。いわく、全作品を集めるのは現時点では限りなく不可能に近いというのだ。そこで、企画を変更し、現在は絶版となった作品や、出版化されていない作品が掲載されている古い雑誌などを中心に、司馬遼太郎作品の「気になるいくら?」をリサーチしてみた。

ご存じの方もいるだろうが、有名作家の絶版本・初版本にはプレミアがついているケースが多い。司馬遼太郎も例外ではない。特に、1960(昭和35)年に「梟の城」で第42回直木賞を受賞する以前に書かれた作品のなかには、数万円〜数十万円するものもある。作家として名前が売れる前なので、当時の発行部数も現存する本も少ないためだ。さらに、保存状態がよいもの、帯が付いている完品、というように条件が加わっていくと、現在まで残っている数は限りなくゼロに近づいていくのである。

古書店で高額で取り引きされる本の条件
・有名作家の作品であること
・初版本で、発行部数が少ないこと
・帯がついていること
・直筆サイン入りであること など
 &保存状態がよいこと

ちなみに、文庫化されていて現在も一般の書店で入手できるような作品であれば、古書店では1冊100〜200円で買うことができる。

司馬遼太郎の代表的な希少作品

※厳南堂書店での販売価格、または販売予定価格。 ※小説の場合、初版・帯付・函付の価格。

「わが生涯は夜光貝の光と共に」
15万円〜
「ブディスト・マガジン」創刊号
1950(昭和25)年 浄土宗西本願寺
 司馬遼太郎が福田定一の名で発表した初めての作品とされる。昭和25年、浄土宗西本願寺が発行する小冊子「ブディスト・マガジン」の6月創刊号に掲載された、「わが生涯は夜光貝の光と共に」である。厳南堂書店では「現在は売り切れで、入荷もほとんどなく、在庫もありません」とのこと。司馬遼太郎は、「ブディスト・マガジン」で数回、作品を発表しているが、そのなかで、「正法の旗をかゝげて−ものがたり戦国三河門徒」(昭和26年)、「長安の夕映え−父母恩重経ものがたり」(昭和27年)の2作品は、西塚さんもまだ見たことがないという。「司馬さんは終生、大阪で執筆活動をされていましたから、関西方面にはこうした作品がまだ眠っている可能性があります」とのこと。家の本棚などを探してみると、思わぬお宝に出合えるかも?

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「名言随筆・サラリーマン」
30万円
1955(昭和30)年 六月社
 古今東西の名言を引用しながら、サラリーマンの処世術を説いた作品。福田定一の名で発表された。後年、「ビジネスエリートの新論語」として改題され、1972(昭和47)年に新装普及版として発行された。「『ビジネスエリート〜』は5万円くらいの価値があります」と西塚さん。

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「役の行者」
15万円
「吉野風土記」
1958(昭和33)年 吉野史談会
 限定100部だけ発行されたガリ版刷の小冊子。うち50部は外部に販売されたという。修験道・密教を興したといわれる役の小角(おづぬ)の伝承について書かれた作品で、4ページの読み切りとして発表された。

「ある不倫」
5万円
「小説 中央公論」
1960年 中央公論社
 不倫がテーマとなっている8ページの読み切り小説。「歴史小説家・司馬遼太郎となってからは見られないような、濡れ場も描かれています。その点で極めて珍しい作品です。全集などに収録される予定もありません」(西塚さん)という。

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「魔女の時間」
30万円
「主婦の友」
1962(昭和37)年〜63(昭和38)年 主婦の友社
 雑誌「主婦の友」で1年間にわたって連載された小説。値段は、雑誌が全冊そろっての価格。連載開始直前号で予告として掲載された「作者のことば」はエッセーエッセイ集「司馬遼太郎が考えたこと〈2〉」に収録されているが、作品の本編は未収録となっている。 婦人誌に連載されていた未収録作品としては、ほかに、1963年10月から64(昭和39)年11月までの「婦人生活」(婦人生活社)に連載された「大阪物語」がある。こちらは全冊そろって「30万円くらいの価値がある」(西塚さん)という。

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「豚と薔薇」
8万円
1963年 東方社
 1960年発表の小説。司馬作品には珍しい推理小説だ。「昭和35年版と昭和38年版とでは、基本的なデザインは同じですがケースと表紙の装丁の色が異なります。1968(昭和43)年にも再版されていますが、こちらは7万5千円くらいです」(西塚さん)という。 推理小説としては、1962年に講談社から発行された「古寺炎上」という作品もある。こちらの価格は30万円。「『古寺炎上』のなかには、『豚と薔薇』が収録されているので、1冊で2度おいしいんですよ」とのこと。

厳南堂書店

http://www.gannando.com/

昭和12年開業の古書店。司馬遼太郎と松本清張の専門店として、神田古書店街でも有数の品揃えを誇る。希覯本も数多く扱う。

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