日本が世界に誇る美術品の代表格は、江戸時代に隆盛を極めた浮世絵だ。今回は浮世絵の収集に関する「気になるいくら?」を調べてみた。


「うなぎ屋さんならうなぎの絵、蕎麦(そば)屋さんなら蕎麦の絵が欲しいというケースが多くあります」と語ってくれたのは、古典版画 東洲斎の店主、内藤誠司さん。「風景画であれば、自分の住んでいる近くの場所から集める人が多いですね。浮世絵の絵柄はたくさんありますから、どんな絵を集めるかは人によって千差万別です」
古典版画 東洲斎は、東京・神保町にある浮世絵専門店。内藤さんは学生時代に浮世絵コレクターの知人から勧められ、「浮世絵を一番身近に見ていられるから」という動機で浮世絵専門店で修業し、18年前に自分の店を構えた。
人気があるのは北斎や広重の風景画で、「価格帯でいうと、5万円から50万円くらいのもの」だそう。
江戸時代には「お蕎麦一杯分」という、庶民にも手の届きやすい値段で売られていた浮世絵だが、現在の価格の決め方は「減点方式」なのだと、内藤さんは教えてくれた。前提として、この作家のこの絵はいくら、という上限金額があり、そこから虫食いや汚れ、裏打ちなどの保存状態によって、値段が下がっていくのだ。
また、その浮世絵が初摺(しょずり)か後摺(あとずり)かという、摺りの時期も重要なポイント。木版画である浮世絵は、同じ絵柄でも摺りの回数を重ねるうちに、色合いや線の太さが変わってくる。
「摺られた当時の姿をそのまま残しているものがパーフェクトです。もともと高価なものではなかったので、当時の人は自分で画帳を作る時に、浮世絵の縁(ふち)を切ってしまうことがよくありました。縁が残っていることも、評価の対象になります」
浮世絵の中でも、歌磨や春信などの時代が古いものは数が少ない。また、一度美術館に収蔵されたものは、その後市場に出回ることはない。流通する浮世絵の数は減る一方なのだ。
「浮世絵の値段はこれから高くなる可能性があります。ここ1、2年においても、確実に高騰しています」と内藤さんは言う。
世界的にも浮世絵の評価は高く、浮世絵を扱う業者は世界各国の大都市に存在する。
「浮世絵は世界中に通用している美術品です。浮世絵の価格は、世界中が引っ張り合って形成いる価格なのです」
内藤さんは、年に7、8回は、海外のオークションで浮世絵を購入するのだという。
浮世絵を購入するにあたって、気をつけることは何か? それは内藤さんいわく「実物を見る」ことだという。
「手に取って見て、品物を判断する。数を触れば、紙質などいろいろなことがわかってきます。たくさんの数を見ることが望ましいですね。
風景画の中でも雪の絵だけを集める人や、美人画で評価の高いもののみを集める人など、浮世絵には「なにがベスト」ということはありません。その人の価値観や好みで集めたものが、コレクションになるのです」





※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。