何度行ってもワクワクするのが春の京都。名刹と桜の組み合わせは、およそ日本人が思い浮かべる春の風物詩として、ベストなもののひとつだろう。だがここは敢えて大人の余裕を見せ、観光ではない、ぶらり普段着の極上京都散歩といきたい。というわけで、「気になるいくら? 番外編」の最終回は、京で最も大きい花街・祇園甲部の芸妓(げいぎ)、山口小喜美(こきみ)さんと歩く、「芸妓さんと行く、ぶらり京都さんぽ」と題してお届けする。
案内人の小喜美さんとは、白川にかかる巽(たつみ)橋にほど近い辰巳神社で待ち合わせた。現れた小喜美さんは、芸妓の衣装ではなく「おねえさん髪」に結い上げた髪に普段着の着物。28歳とは思えない大人っぽい、まさに「おねえさん」という雰囲気の持ち主だ。「春には神社を包むように桜が咲くのんどす」と、しだれ桜を見上げ小喜美さん。祇園の芸妓さん、舞妓さんにはこの神社はなじみ深い。もともとは、辰巳の方角を守るために建てられたのだが、いつのころからか芸舞妓をはじめ祇園の芸能関係者を集めるようになり、芸事の上達が祈られるようになったらしい。
春ともなれば多くの観光客で賑わう祇園・白川かいわいだが、その季節はもう間もなくである。
辰巳神社から花見小路を抜け、八坂神社へ。京都のメインストリート、四条通の「どんつき」に位置する由緒正しき神社で「祇園さん」の愛称で親しまれる。四条通側の堂々たる朱塗りの楼門は実は西門で、正門は境内を入って右手にある。境内の正面には、祇園造と呼ばれる建築様式で建てられ、国の重要文化財に指定されている本殿、その右には舞殿がある。舞殿には、祇園かいわいの料亭やお茶屋の奉納ちょうちんがずらりと並び、祇園という花街と共に発展し、栄えた歴史を感じられる。


八坂神社の正門をくぐり、ぶらりと足の向くまま石塀小路へ。ここは、下河原から高台寺へと抜ける幅2メートルほどの路地で、石畳と石塀のしっとりとした京情緒が味わえる。小料理屋や旅館などもひっそりとたたずんでおり、そのたたずまいは短い通りながらも通りそのものが隠れた名所のような風格。この石畳の石には、昭和50年に廃止された市電の軌道に使われていた敷石が、一部リサイクルされている。散策ルートとして隠れた人気があるが、それでも人通りはまばらだ。

「人がたくさんいるところは苦手どすし、こういうところが好き。ちょっと歩くとまた人がいっぱいどすけど」などと話しているうちに、観光客で賑わう「ねねの道(高台寺道)」へ出る。高台寺は、正しくは高台寿聖禅寺という臨済宗建仁寺派の寺院で、豊臣秀吉没後、その菩提を弔うために夫人であった北政所(ねね)が、慶長11年、1606年に開創したといわれる。春、ライトアップに浮かび上がるしだれ桜は、まさに京都の王道、見事である。

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