公的年金は生年月日のわずかな違いや、加入している年金の制度によって、支給開始年齢や支給額が異なります。自分は年金を「いつから」「いくら」もらえるか、きちんと把握しておくことは、第二の人生設計ための大切な準備。また昨年4月からは、65歳までの雇用継続を企業に義務付ける制度が始まり、定年を先延ばしして働くことを選択する人たちも今後は増えそうです。定年を迎える前に知っておきたい年金のポイントを、ファイナンシャルプランナーの浅井秀一さんにうかがいました。
――公的年金は、定年後の人生を支える大きな柱です。やがて迎える年金生活の前に、団塊世代がいまから知っておくべきことは何でしょう。
浅井秀一まず知っておきたいことは、自分の年金はいつから、何がもらえるかということです。老後の公的年金制度は、二階建てになっていることはご存知の方も多いと思います。一階部分は国民共通の「老齢基礎年金」。国民年金などに原則25年以上加入した人が、65歳からもらえる年金です。二階部分は、民間企業にお勤めの会社員の方なら「老齢厚生年金」。こちらは過去の月給に基づいた年金額が支給されます。
現在の老齢厚生年金は、65歳からが本来の受給年齢と定められていて、60歳から64歳までは「特別支給の老齢厚生年金」という形で支給されます。特別支給の老齢厚生年金は、老齢基礎年金にほぼ相当する「定額部分」と、老齢厚生年金に相当する「報酬比例部分」の2つで構成されているということも、知っておいてください。
――いろいろな年金の名前が登場しましたが、つまり名前は変わっても65歳からの「本来の老齢給付」とほぼ同額が、60歳からもらえると考えてよいのですか。
浅井かつてはそうだったのですが、残念ながら現在では違います。平成13年度から定額部分の支給開始時期の先送りが始まり、団塊世代が60歳からもらえる年金は、厚生年金の報酬比例部分とほぼ同額の「部分年金」のみなのです。
満額支給がスタートするのは、男性を例にとると昭和20年4月2日から昭和22年4月1日生まれまでが63歳から、昭和22年4月2日から昭和24年4月1日生まれまでが64歳からです。昭和24年4月2日から昭和28年4月1日生まれの方は、65歳まで部分年金のみとなり、さらにそれ以降の世代は部分年金の支給開始も段階的に引き上げられます。このように生年月日によって年金のスタート時が違うため、どういったパターンで自分がもらえるかを知っておくことが重要なんですね。
――年金の仕組みが把握できたら、自分の部分年金や満額支給額が具体的にどのくらいの額かが気になるところです。
浅井50歳以上の方は、社会保険事務所に年金相談にいけば見込み額の試算をしてもらえますから、これを利用するといいでしょう。さらに58歳になると、自宅宛に過去の加入記録に関する書類が送られます。その中に同封されている、試算サービスを希望する旨の用紙を送れば、社会保険庁から概算額の試算結果が届きます。また今年度以降は、50歳以下の方に対しても年金額を順次通知するサービスを始めていく予定のようです。
――事前に支給額は分かるけれど、自分からの働きかけが必要ということですね。厚生年金はもらえる金額に個人差はありますが、大まかな金額の目安はどのくらいでしょう。
浅井上のグラフのカッコ内の金額は、これから60歳を迎える団塊世代をモデルに算出した目安です。大学を卒業してからずっと民間企業で働き、だいたい平均的な月給をもらわれていたケースの金額と思ってください。2階部分の年金が月10万から12万円ぐらい。満額支給がスタートすると年金を再計算することになりますが、妻が65歳になるまでは年間240万円、月20万円ぐらいが目安になるでしょう。
ちなみに「経過的加算」というのは、計算上、65歳までの定額部分より65歳以降の老齢例基礎年金がわずかに少なくなるので、その差額を補填するものです。ここではあまり気にされる必要はありません。
――上のグラフでは奥さんが自分の年金をもらうようになると、夫の年金から「加給年金」の項目がなくなっています。これは何ですか。
浅井加給年金は、公的年金における扶養手当のようなものです。支給開始は夫の満額支給が始まってからで、厚生年金なら20年以上加入している方で、配偶者や高校生以下のお子さんがいた場合に支給されます。奥さんが65歳になって年金をもらいはじめると加給年金は終わり。その代わりに「振替年金」が奥さんの年金に加算されます。つまり夫婦合わせた形では、年金が減らないようになっているわけですね。奥さんが厚生年金に加入していたら、もちろんその分のプラスもあります。
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