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賢いお金生活

vol.4畠中雅子さんに聞く 元気なうちに考える  医療と介護

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定年後の心配の中でも、病気や老いは、いつ、どのような形でやってくるか分からないもの。そんな不安を漠然とかかえたままで、具体的な準備を後回しにしている人が多いようです。しかし、いざ病気になったり、介護が必要になった後では限られてしまう選択肢も、元気なうちに「自分の生き方」を考えておけば、具体的な準備ができ、お金ことも見えてきます。自分らしく生き、老後を迎えるための医療と介護のポイントを、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんにうかがいました。

医療へのお金のかけ方は自分次第

畠中雅子さん
はたなか・まさこ。ファイナンシャル・プランナー(CFP)。新聞、雑誌、WEB上に20本以上のレギュラー執筆を持つほか、セミナー講師、講演、定年後の生活設計をはじめ相談業務などを行う。著書に「老後が危ない! 年金16万円の生き残り術」(講談社)など。プライベートでは3児の母。

――これまで元気に働かれていた団塊世代も、年齢を重ねれば、当然ながら病気の心配が高まると思います。定年後の医療に備えるお金は、どう考えればいいでしょう。

畠中雅子高齢期の医療費負担は引き上げられつつありますが、全体的に見れば日本の健康保険制度はとても機能的にできているんですよ。健康保険が適用できる治療なら、医療費の1割または3割の負担で治療が受けられますし、高額な医療費がかかる時も「高額療養費」の制度によって負担が抑えられています。
 ただし、今の高齢者の方を見ていると、治療に対する意識がものすごく変わってきていることを感じます。最先端の治療を受けることに積極的ですし、ネットで情報を集めたり、日本では認可されていない治療を海外で受ける方もいます。団塊世代には、さらに旺盛なチャレンジ精神で病気に立ち向かう方も多いでしょう。しかし、こういった治療では健康保険がききません。ですから将来の医療負担を考えるなら、「いくらかかるか」ではなく、「どこまでお金をかけるか」というご自分の方針をもつことが大切だと思います。

――では、安心材料の方である、高額療養費の仕組みから説明してください。

畠中高額療養費の対象となる医療費は、1カ月単位(1日から月末まで)で計算され、下の計算式を超えた場合、その超過分が後から還付されます。例えば1カ月に100万円の治療費がかかったとしても、一般の所得者である70歳未満の方なら、病院の窓口で支払う金額は3割負担の30万円。その後で約21万円のお金が還付されます。高額医療費の対象に1年間に4回以上なりますと、4回目以降の自己負担額がさらに減額され、先ほどのひと月100万円のケースであれば約25万円が戻ってきます。
 また今年4月からは、入院する際に事前に申請をすれば、最初に支払う金額が自己負担額だけで済む現物給付化がはじまりました(70歳未満の一般の所得者が対象)。ですから大前提としては、病気になっても、お金がなくて治療が受けられないという心配はさほどないのです。ポイントはそれにプラスして、健康保険が利かない治療まで自分が受けたいかどうか。また、差額ベッド代については高額療養費の対象になりませんから、「お金がかかっても個室がいい」という方は、相応の準備をしなくてはなりません。


―――健康保険が適用されない治療というのは、どのようなものでしょう。

畠中代表的なものは、「先進医療」です。これは大学病院などの高度で専門的な技術を持つ医療スタッフと十分な設備を持つ医療機関だけに認定された、新しい医療技術です。現在、国に承認されている先進医療は116種類(2007年4月1日現在)。どこの病院でどんな先進医療が受けられるかは、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)で紹介されています。
 かつては先進医療にあたる治療は高度先進医療と呼ばれ、これを行うと本来は健康保険が適用される治療の医療費までが全額自己負担になりました。しかし昨年12月に保険併用療養制度が導入されて、先進医療にかかる費用は全額自己負担ですが、健康保険が適用される診察や検査、投薬、入院料などの費用は、一般の保険診療と同様にあつかわれます。つまり保険外診療が受けやすくなったわけで、これは非常に喜ばしい一方、これまで以上に医療費がかかるケースが多くなるともいえるでしょう。

――今後、増大するであろう医療費に対して、どのように備えればいいでしょうか。

畠中医療保険でまかなえるのは、健康保険が対象となる治療です。最近では先進医療を受けた場合に、技術料に応じた給付金を支払う特約を設けた医療保険もありますが、老後の医療費の基本はあくまで貯蓄だと私は思います。病気というのはどんな病気に、いつなるか、ならないか誰にも分かりません。無数の可能性を想定して心配し過ぎるのはかえって病気のもとですね。例えば退職時に、300万円から500万円ぐらいを医療費のためのお金として取り分けておくといった備え方の方が、精神的にもよいと思います。
 ただし、いま加入されている医療保障の見直しは必要です。団塊世代のサラリーマンの方は、死亡保険の特約に医療保障をつけられている方が多いではないでしょうか。そういう方は医療保障を切り離し、単独の医療保険に加入することを検討した方がよいと思います。高齢期に入って死亡保障は要らなくなった場合でも、医療保障を続けたいために保険が解約しづらくなっては保険料が無駄になります。
 その際は終身タイプに入ることが理想ですが、保険料が高くなってしまい、家計のバランスを崩してしまうのは問題です。男性の場合は80歳満期タイプや定期タイプなどと保険料を比較して、将来もある程度余裕をもって払える方を選択した方がよいと思います。

――先進医療には開腹をせずに腹腔鏡やレーザーを使う手術のような、身体への負担が少ない治療も多いと聞きます。自分は「健康保険の範囲の治療でいい」と思っていても、家族の心情としてはできる限りの治療を受けさせたいと考えるケースもあるでしょうね。

畠中だからこそ、元気なうちに自分のスタイルを決めて、家族で話し合っておくことが大切なのですね。

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