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賢いお金生活

vol.4畠中雅子さんに聞く 元気なうちに考える  医療と介護

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「お金がないから自宅介護」の落とし穴

――次は介護についてお聞きします。病気についてはあれこれ心配する方でも、自分や自分のパートナーの身体が動かなくなった時のことを考えるのは少々怖さもあり、先送りしがちなテーマです。

畠中雅子介護というのは、それが必要な状態になれば一生続く可能性が高いことですし、お金も大きく動きます。どんな病気になるかは分からなくても、老いは必ずやってくるわけで、もっと真剣に考えていただきたいテーマです。
 介護についてお話する時、質問が出るのは「要介護になったらいくら必要か」とか、「公的介護保険を受けるには」といった、自分がいよいよ自立した生活ができなくなった時の心配ばかりです。元気で自宅で暮らしている現在と、寝たきりの状態でどこかの施設で面倒を見てもらっている将来の間に、段階的なイメージが不足しているのですね。
 確かに昔はぎりぎりまで家で耐えて、特別養護老人ホームの順番待ちをして、自宅での介護が難しくなれば生涯利用施設ではない老人保健施設などで待機というのが一般的でした。しかし最近では、健康なうちから高齢者施設に入る人が増えていますし、介護の受け方も多様化しています。 
 施設を見て回るにしても、健康な時に見に行かないとどうしても点が甘くなるでしょう。まだまだ元気な団塊世代の皆さんなら、介護になったらどうしようとただ不安に思っているより、夫婦で施設を見学したり、情報を集めたりと、具体的に動いてみることが大切だと思います。

――団塊世代の中には、「お金のことが心配だから、自宅で介護をしたい」と思われている方も多いと思いますが。

畠中実はそれが誤解なのです。一般的にいって、老後の暮らし方の中で一番費用がかかるのは自立型有料老人ホームに入居する場合で、3千万円の退職金があっても入所一時金だけでなくなってしまい、夫婦で月々25〜30万円程度のコストがかかります。その次に費用がかかるのが、自宅に住み続けて死ぬまで介護を受けるケースなのですね。自宅で介護を受けた場合、公的介護保険が使える範囲を超えると、全額が自己負担になってしまうからです。
 下の図は在宅サービスを受けた場合の支給限度額の目安ですが、公的介護保険では足りない家庭では、20〜30万円の費用がかかっているケースも珍しくありません。 


 ところが「ケアハウス」といって、基本的には自立している方を入居対象としている施設では、入居金が数百万円程度で、月々のコストが10万円台で暮らせるようなところが今はたくさんあります。入居時に自立していれば、途中で介護が必要になっても、一定段階まで暮らすことができますし、本当に重くなったらそこから介護型の老人ホームへ移るということもできます。介護専用型の老人ホームは入居一時金が数百万円で済むので、住み替えも可能でしょう。

――考えたくないことですが、つまりやがては寝たきりや認知症になったとしても、そこに至るプロセスをどういうところで、どういうふうに過ごすかを、もっと考えるべきということですね。

畠中その通りです。それによって結果的にも費用の総額も違いますし、パートナーの精神的、肉体的な負担も軽減されると思います。
 「そうはいっても、老後のイメージがまだできない」という方は、これからの人生を3つの段階でとらえてみればどうでしょう。第一は75歳ぐらいまでの、「第一自立期」。これは誰の手も借りずに生活ができる期間で、自宅をベースに考えてもいいでしょう。田舎暮らしや海外でのロングステイもこれに当てはまります。第二は85歳ぐらいまでの「第二自立期」。民間有料老人ホームやケアハウスなどの、自宅でも施設でもない住まいです。そして第三は、特別養護老人ホームや療養病床などで過ごす「介護期」です。「介護期」が介護や医療の質で場所を選ぶとするならば、「第二自立期」には、自分らしく生きるための生活の質で場所を選ぶといえると思います。

――介護というと後ろ向きなイメージが付きまといますが、お話をうかがって、老後の暮らしおける自分らしさを見つけるよい機会かもしれないと感じました。

畠中 介護の話は医療と違い、選択肢があまりにもあるのでモデル化して説明することが難しいのですが、ひとつヒントになるのは、お子さんがいらっしゃるなら、子供との関係をどう築いていくかということも重要だと思います。
 年をとっていくと子供との関係は、お互いが依存する形になりがちです。子供は親の経済力をいつまでもあてにするだろうし、親も年を重ねると子供に自分を世話して欲しいとあてにしがちです。私自身のことをお話しすれば、自分は親としてそこを割り切れる自信がなかったので、夫婦どちらかが一人になったら家を出て、曖昧な相互関係を切り離そうと思いました。そのための資金として、夫婦でお互いに終身保険を掛け合っているんです。じゃあどんなところに、どういう形で暮らしたいか。自分の希望を描きながら、ひとつひとつ施設を見て回っている最中です。

畠中 雅子 (はたなか・まさこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)。新聞、雑誌、WEB上に20本以上のレギュラー執筆を持つほか、セミナー講師、講演、定年後の生活設計をはじめ相談業務などを行う。著書に「老後が危ない! 年金16万円の生き残り術」(講談社)など。プライベートでは3児の母。

(更新日:2007年05月30日)

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