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賢いお金生活

vol.5深田晶恵さんに聞く だれと、どう暮らす? 定年後の住まい

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持ち家を貸して住み替える方法も

――次は、二世帯住宅に建て替えるケースです。これは各々の家族の場合によって目的も資金の準備の仕方も違うと思いますが、将来を見据えたアドバイスをうかがいます

深田晶恵 二世代住宅の話が持ち上がるのは、子供や孫と一緒に住みたいという親世帯のニーズと、一戸建てに住みたい、資金面で親に頼りたいという子世帯のニーズが一致したときです。よくあるのは、「二世帯ならお金がかからない」と考えてプラン作りをはじめたものの、後々1階は貸せるようにと玄関を別にしたりと、話が具体化すると共に思っていた以上に予算が膨らむというケースです。二世帯で住むなら、そのメリットとデメリットをきちんと踏まえた上で、親世帯と子世帯が遠慮せずに意見を交換することが大切です。

――具体的にはどのような点が、意見交換のテーマになるのでしょう

深田団塊世代とその子供たちの世代では、生活の価値観が大きく違います。例えば親世帯、特にお母さんは、キッチンも洗面台も「どうせ一緒に住むのだから、ひとつでいい」と考えがちです。母である自分が家の中心にいて、その下に息子と息子の妻という考え方がなかなかぬけないからです。
 しかしお嫁さんの側は、親世帯と自分たちを同列に考えているはずです。休日は遅くまで寝ていたい時もあるでしょうし、女性って洗面台の周りに化粧品を並べますよね。そういう些細なことでも、遠慮しなくてはならない生活というのはストレスです。
 反対に、夫が先に亡くなって妻だけが子世帯と暮らす場合では、子供たちが計画をリードする形になり、親にとっても暮らしの基盤は、「部屋」ではなく「家」なんだという視点を忘れがちです。ただ日当たりの良い1階の和室を与えられても、独立したキッチンがなければお友達が来てもお茶ひとつ入れるのにも気を使うでしょう。いくら親子仲がよくても、水回りとトイレは別々というのが基本だと思います。

――世代間で考え方に違いがあるのは当然なのですから、ひとつひとつ話し合えばいいということですね

深田それと二世帯住宅を建てる場合は、実態に合わせた登記をすることが原則です。4000万円の建築費を、お父さんが現金で2000万円、息子さんがローンで2000万円出すとしたとしたら、持ち分2分の1ずつの登記(共有登記)を行うことになります。そこにお母さんの保険の満期金やお嫁さんの預金も加わるなら、それも比率に応じて登記しなくてはなりません。
 親あるいは子だけが資金を出している場合は、一人の名義の登記(単独登記)になりますが、実際には親が資金をかなり援助しているのに、「相続の時に有利になるだろう」と子供の単独名義で登記をしてしまうかたがいます。そういった場合には贈与税が課せられることがあるので注意してください。また、構造的に独立性のある二世帯住宅の場合は、2戸に分けて、所有権を登記する区分登記という方法もあります。2戸にすると税金面でのメリットがあります。

二世帯住宅の登記は実態に合わせる
単独登記 二世帯住宅の所有権を1人の名義で登記する場合
両世帯が出資しているのに単独登記をすると、贈与税が発生するので注意
共有登記 二世帯住宅の所有権を複数の名義で登記する場合
その際はそれぞれの出資額の比率に応じて、持分を登記する
区分登記 二世帯住宅を2戸に分け、それぞれ所有権を登記する場合
2戸とみなされるには、玄関を二つに分けるなど設計・構造上の要件を満たす必要あり。完全分離型であっても単独登記や共有登記は可能


――三番目は「住み替える」というケースです。戸建てにお住まいの夫婦の中には、二人暮らしでは大きな家はもてあますので、生活が便利で子供たちの家にも近い都心のマンションに移りたいと考える方もいるようですが

深田 そういった人たちを対象に、金融機関や自治体などから「リバースモーゲージ」という制度が一部の金融機関や自治体などから提供されています。これは自宅を担保に融資を年金の形で受け取り、死亡時に自宅を処分して返済するものです。しかし、思ったほど利用者はまだ増えてはなくて、理由をいろいろ訊ねると「自宅を売りたくない」という声をよく聞きます。子供に土地を残してやりたいという思いが強いのですね。

――とはいえ、賃貸市場がある程度確立しているマンションとは違い、戸建てを貸すというのは、なかなか難しい面もありそうです

深田 ただ、本当は広い家で子育てをしたいけれど、買えるほどお金はないし、賃貸物件は出物が少ないからと、マンションで暮らしている30代家族はたくさんいるわけです。そうした両者のニーズをマッチングさせるために、昨年、国土交通省のバックアップで有限責任中間法人「移住・住みかえ支援機構」(http://www.jt-i.jp/)が発足し、「マイホーム借り上げ制度」という新しい仕組みを作りました。
 この制度は 50歳以上のシニア層から支援機構がマイホームを借り上げ、子育て世代の家族などに転貸するというものです。受け取る賃料からは支援機関が一定の手数料が差し引かれますが、仮に空き家になっても、その地域の賃貸市場の動向や建物の状況などから算出された、最低家賃が一生涯保証されます。家賃保証があれば、家賃を終身年金代わりとして、賃貸マンションの賃料などに安心して充てることができるでしょう。

――リバースモーゲージとの大きな違いは、どういったところでしょう

深田 「マイホーム借り上げ制度」では、貸し主とその配偶者が亡くなった後、子供に相続することができます。子供に土地や建物を遺したいというかたのニーズに合った制度だといえるでしょう。契約には「終身型」と「期間指定型」の2つのタイプがあります。「終身型」は、対象となる住宅に問題がない限り、利用者と共同生活者の両方が亡くなられるまで終身で原則借り上げをするタイプ。家に戻る必要が生じた場合は3年毎の転貸借契約(定期借家契約)の切れ目にも契約を打ち切ることもできます。「期間指定型」は、あらかじめ利用者が指定された期間借り上げをするタイプです。
 また「マイホーム借り上げ制度」には、貸す側と借りる側の現実に立った、ユニークなアイデアがいろいろと盛り込まれています。例えば、一般的には住まいを貸し出す場合は、内装をリフォームするのは貸し主の義務ですが、この制度では借り主が内装をします。貸し主世代と、借り手である若い子育て世代ではインテリアの趣味も異なりますし、子供が小さければどうせ畳や壁紙はすぐボロボロになるからですね。
 また、1部屋だけを賃貸の対象から外して、そこに住み替え先に持ち込めない大きな家具などを遺しておくこともできます。将来は子供たちと暮らすか、今の家に住み続けるか。あるいは介護付きマンションのような別の道を選ぶか。はっきりとした老後の方針がまだ定まらない団塊世代に向けて、こういった自由度の大きな暮らし方の選択肢が今後さらに増えていくことが期待されます。

深田 晶恵 (ふかた・あきえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)。有限会社生活設計塾クルー取締役。外資系電機メーカーを退職後、FP資格を取得。FP会社で実務経験を積み、98年 に独立。02年、生活設計塾クルー取締役に就任。著書に「住宅ローンはこうして借りなさい[新版]」、「3ヵ月でマネー美人になる!」(いずれもダイヤモ ンド社)など。

(更新日:2007年06月11日)

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