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――「まず始めてみることが大事」とはいっても、40、50代からリスク商品を買ってみるとなると、大きな失敗はできません。初心者は何をどう買うのがいいのでしょうか。
目黒政明 資産運用の基本は、タイプが違うものをバランスよく選ぶ「分散投資」です。代表的なのは、日本株式、外国株式、日本債券、外国債券の4つ。これは日本と外国、株式と債券といったように、ある経済情勢に対して反対の値動きをしたり、異なるリスク要因で値が動く傾向にあるものに資産を分けて、経済の変化に全体で対応するという考え方です。
ただ株式投資といっても、資産運用は初めてという方が個別銘柄を選ぶことは難しいと思いますし、それなりの運用資金も必要になります。運用のプロがファンドに組み入れる銘柄を選び、運用を代行してくれる投資信託から始めてみるのがいいでしょう。
外国債券は、ある程度まとまったお金があればドル建てのアメリカ国債やユーロ建ての債券を直接買う方法もありますが、金利水準の判断など初心者には難しい面もあります。こちらもまずは、債券を組み入れた投資信託からはじめてみるといいと思います。
まずはいくらぐらい、あるいは資産のどれぐらいを資産運用に回せばいいのでしょうか。

目黒 本来はキャッシュフロー表をつくって、余裕資金の額を把握しないと答えられないのですが、ひとつ目安として「株式市場というのは、2割ぐらいの下げは珍しくない」ということはいえます。例えば1000万円の運用資金を全額投資するなら、長期投資の一時期には200万円ぐらい元本を割っても平静でいられるか、ということです。もし、「それじゃあ気がめいって、売るべきかそのまま持ち続けるべきか、冷静な判断もできなくなる。せめて100万円が我慢の限界だ」というなら、投資に回す500万円ぐらいにしておいたほうがいいですね。
いずれにしてもリスク商品に慣れていない方は、少額から始めてください。投資信託は1万円から買える商品なのですから、そのメリットを生かしましょう。一気に買ってしまうのは怖い、買うタイミングが分からないという方は、毎月一定額ずつを積み立てて買うのもひとつの手です。
――日本株、あるいは外国株の投資信託といっても種類はたくさんあります。
目黒 例えば国内市場なら、日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)といった市場全体の動きを示す指標(インデックス)があることをご存知だと思います。投資信託の中には、こういったその日のインデックスと連動した値動きすることを目指して運用されている「インデックスファンド」というものがあります。これなら値動きの背景が誰にも分かりやすく、長期にわたって持ち続けることができます。まず最初はこれから始めるといいと思います。
また最初にお話ししたような、将来的なエネルギー価格や食糧価格の上昇が心配ということであれば、そういった商品指数に比例して値上がりするコモディティ・インデックス投信や、エネルギー関連株や鉱山株などで運用する資源株ファンドといったもので、リスクに備えるという方法もあります。ただし、こういった値動きの要因が一般にはつかみづらい投資信託は、仕組みをよく理解してからでもいいでしょう。
――ところで投資信託の中には、運用収益の中から毎月分配金が支払われるものもありますね。定年後のお小遣い的な収入として魅力を感じている人も多いようですが。

目黒 毎月分配金を払う投資信託は外国債券に投資するものに多く、人気の高い商品です。ただ、例えば年率6%という相場以上の分配金がもらえたとしても、500万円買っていて月2万5千円。定期的な収入というには、少し物足りない気がします。
セカンドライフのお金の計画は、最後まで元本を減らさないというのは難しいですし、むしろ上手に計画を立てて取り崩していけばいいわけです。毎月の楽しみとして分配金をもらうというのもひとつの考え方ですが、効率的に元本を増やして、必要な時には必要な分だけ解約するというやり方もあります。定期預金とは違い、投資信託なら100万円のうち10万円を解約するといった取り崩し方も自由にできます。
――最後に、これから資産運用をはじめる方が長期的、安定的に運用を続けていくために注意点はありますか。
目黒今年8月、アメリカでサブププライムローンという信用度の低い借り手向けの住宅ローンが大量に焦げ付いたことをきっかけに、大手金融機関や個人投資家が多額の損失を出したというニュースは、日本でも大きく報じられました。「一日で、何百万、何千万円も損をしてしまった」といった個人の投資家がマスコミに登場したりして、「リスク商品というのは恐ろしいものだ」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、あの時に大きな損をしたのは「レバレッジ」といって、実際の投資金額の何倍もの投資を行う、FX(外国為替証拠金取引)や株式の信用取引などで失敗した方がほとんどです。自分が責任をもてる以上のお金の運用を行うことは、万一損失が出た時の取り返し期間が限られている世代の方たちにはおすすめできません。余裕資金を、少額から、分散投資で。繰り返しになりますが、これが資産運用の基本です。
目黒 政明 (めぐろ・まさあき)
ファイナンシャルプランナー。1959年生まれ。慶大法学部卒業後、証券会社、独立系FPを経て、92年ライフ&マネープランニング設立。現在は(有)生活設計塾クルー取締役として相談業務にあたるほか、セミナー講師や原稿執筆等で活躍。共著に「年金はこうしてもらいなさい」「退職金はこうして運用しなさい」(ダイヤモンド社)など。
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(更新日:2007年10月17日)
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