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賢いお金生活

vol.10 深野康彦さんに聞く どう備える? インフレの不安

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食品や生活必需品の値段が、この秋から上がりはじめています。物価の上昇は生活にじわじわと影響を与え、後になってみると大きな打撃となっているもの。長らく続いた「デフレと低金利」に慣れてしまった生活感覚を、早く切り換えることが必要になっています。『家計崩壊――「見えないインフレ」時代を生きる』の著者、深野康彦さんにこれからのインフレ時代を生きるためのくヒントをうかがいました。

これからは生活実感を大切に行動を

深野康彦さん
深野康彦さん
ふかの・やすひこ。ファイナンシャルリサーチ代表。ファイナンシャルプランナー。クレジット会社、独立系FP会社2社を経て、2006年1月に有限会社ファイナンシャルリサーチを設立。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等、多数のメディアで活躍中。

――インフレの実感は国民の間で広がりつつありますが、「見えないインフレ」とはズバリどういうことでしょう。

深野康彦インフレはようやく「見える」ようになってきましたが、実はインフレは、とっくに始まっていました。皆さんも「ティッシュペーパーの1箱を使い切るのが早くなったな」とか、「ゴミ袋が以前よりも薄くなった」ということは、1〜2年くらい前から気がつかれていたと思います。これは企業が、量で価格を調整しているわけです。
 ただ、そういったニュースでも取り上げる話題の前に、問題の根本として知ってほしいことがあります。それは、「国の言っていることと自分の生活実感が違うと感じたら、これからは実感を正しいと思って行動しよう」ということです。

――確かに、経済の専門家がよく口にする「戦後最長の好景気」という実感は、多くの国民にはありませんね。

深野どこの話だ!と言いたいくらいですよね。なにしろ給料がほとんど上がっていないのですから。それに、この秋からずっと食卓に直結した食品が値上げラッシュなのに、消費者物価指数は07年2月から07年9月まで8カ月連続でマイナス。数字的にはデフレです。
 本(『家計崩壊――「見えないインフレ」時代を生きる』講談社+α新書)にも書きましたが、そこには「トリック」があります。例えば現在の消費者物価指数は、薄型テレビやパソコン、デジタルカメラといった、近年価格が大幅に下っている商品の影響が強く出るような統計のとり方になっています。国が発表しているデータと、我々の実生活があまりにもかけ離れている。要するにインフレが「見えない」の背景には、理由があるのです。
 だったら自分たちの実感のほうが正しいんだと思わなくてはいけないでしょう。インフレの一番深刻な点は、お金の価値は目減りするということです。本格的に値上げが襲ってきてから生活を防衛しようというのでは、手遅れになってしまいかねません。

――具体的にはどうすればいいでしょう。

深野生活を守るために節約するといっても、限界がありますよね。三度の食事を二度にはできません。収入を増やすといっても、サラリーマンのかたは給料を自由にコントロールはできない。ということは、やはりお金に働いてもらうしかないということになります。
 しかも、これから大切なことは、自分のお金に「成長しているところ」で働いてもらう、ということです。私も日本人ですから、できれば日本に投資して、自分の国の成長と共に自分のお金が増えてくれれば一番いいです。とはいっても、いい企業をピンポイントで探せて個別株に投資できるというかたは別として、安易に日本の市場全体の成長性に投資して大きな儲けを得ることは、今後はとても難しくなると思います。

――日本の将来に対して、かなり厳しい見方をされていますね。

深野 外国では、もっと厳しい見方をしている人がたくさんいますよ。「これからはジャパン・バッシングではなく、ジャパン・ナッシングだ」という人もいるくらいです。いま経済がよくないのは日本だけではありませんが、衆参のねじれもあって、日本の政治があまりに内向きになっていることも、海外の投資家から日本が敬遠されている大きな理由です。
 インフレや物価は、日本が世界とどう共生しているかという問題でもあります。コーヒー一杯だって、世界とつながっているからこそ飲めるんですね。原油価格がこの8年でなんと9倍になっていたり、サブプライムローン問題の影響を世界が受けているのに、いまの日本は世界経済の動きに鈍感です。国の政治には頼れないのなら、個人が世界に目を向けないと生き残れないと思いますね。
 中には「外国にお金を投資するのは気がひける」というかたもいらっしゃいます。昔の言葉でいえば「非国民」だと。でも海外へ投資して儲けたお金を、国内で使えばいいんですよ。国内の個人消費が活発になれば、国際貢献をしながら日本の景気にも貢献できる。そんなふうに考えてもいいと思います。


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