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賢いお金生活

vol.10 深野康彦さんに聞く どう備える? インフレの不安

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お金を働かせるなら、世界の成長の下で

――では、「成長しているところ」というのは、どういったところなのですか。

深野康彦さん
深野康彦さん

深野康彦 運用をされない皆さんも、BRICsという言葉は聞いたことはあると思います。ブラジル、ロシア、インド、中国といった、将来に大きな成長が予想される新興国たちで、これは米国ゴールドマンサックスが2001年11月に発表したものです。実はその時の成長の根拠は、「GDPがどれだけ増えるか」なんです。日本のGDPは世界2位ですが、彼らの予測によれば2030年には日本は3位、2050年には4位です。
 「3位なら銅メダル、4位でも入賞圏内でたいしたもの」と思うかたもいるかもしれません。でも、大事なのは順位ではなく、成長の勢いです。あくまでゴールドマンサックスの予測ですが、2050年までの日本のGDPの成長率は約1.6倍にしか過ぎないのです。
 実は、その国の株式市場の全体の時価総額(株価と発行株式数を掛けたもの)は、GDPの大きさを反映するといわれています。バブル的な好況期でも、過去GDPの2倍になったことはまずなくて、1.5倍とかその程度です。つまり40数年も運用しても、年率に換算して2%の儲けを得ることもかなり難しくなるということになります。そうなると高い成長性をもっている中国やインドなどへ投資したほうか、リスクは大きいけれどリターンも大きくなるということになります。

――世界の成長に目を向ける大切さは分りますが、新興国への投資には値動きが激しいとか、情報が乏しいといったような不安要素も多いとききます。

深野自分の資産の大部分を、新興国に投資しましょうという話ではありません。だた、その割合は、今後は少し増やすことも考えたほうがいいでしょう。
 投資の世界には、「賢者は歴史に学ぶ。愚者は経験に学ぶ」という言葉があります。中国やインドを絶賛するつもりはありませんが、日本の歴史を学んでほしいということですね。
よく「中国の景気拡大は、来年の北京オリンピックで弾けて終わり」という人がいますよね。でも、 日本で東京オリンピックが終わった後、お祭り気分が揺り戻されて、成長が止まったでしょうか。バブル的な加熱は落ち着くでしょう。日本ではオリンピックによって高速道路や新幹線ができ、社会インフラの整備が後の経済成長の基盤となりました。同じようなことが、中国でも起こる可能性のほうが高いのではないか。それが歴史に学ぶことだと私は思います。

――「どらく」は、そろそろ定年後を見据えたお金の計画を立て始める、40代以降の読者のかたが多いのですが、そういったかたたちに深野さん流のアドバイスはありますか。

深野50代にもなれば運用のリスク許容度が低くなるから、後は預貯金や国債などの債券中心の安全運転でいきなさい、というのがこれまでの常識でした。私はそれは間違いだと思いますね。 60歳定年というのは、人生のゴールではなく、マラソンでいえば折り返し地点です。運用という観点でいえば、まだ20年以上も時間があります。 私は、定年後の時間を60代、70代、80代と3段階に分けて考えることを提案しています。老後のお金はずっと同じ額が必要なわけではありません。アクティブに旅行や食事をしたい60代と、だんだん外に出る気力がなくなる70代、食も細くなる80代以降では、おのずと変わってきます。 60代は用意するお金を厚く、それ以降は少なめに考えていてもいいでしょう。50代からの運用だとしても、例えば500万円を70代以降の資金と考え、年率2%で複利運用できれば、20年間で利息は240万円ぐらいになります。時間というのは、運用にとって味方につけられるものです。そう考えると、老後のお金にも前向きな希望がもてませんか。

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深野康彦著 『家計崩壊──「見えないインフレ」時代を生きる知恵』
(講談社+α新書)

物価や金利の上昇は約20年ぶりの事態。しかし、私たちの「マネーの常識」は、デフレ社会型に染まりきっています。本書では、見えざるインフレの危機を解き明かし、新時代に対応する個人のマネープランを提案します。
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(更新日:2007年12月10日)


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