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賢いお金生活

vol.12 日本消費者協会に聞く 契約前に注意 金融商品のトラブル

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今から知っておきたい老後の備え

内田紀子さん
内田紀子さん

――これまでうかがったお話は、リスクに対する売り手と買い手の認識のズレが根底にありました。そのほかに、手口が明らかに悪質なトラブルもあると思いますが。

内田紀子一昨年あたりからご相談が多いのが、未公開株のトラブルです。「近々上場する企業の株を安く買えますよ」と持ちかけられ、お金を振り込んだけれど、その後連絡がつかなくないという話がたくさんあります。ご相談にくるのは、「夫が亡くなって資産を相続したら突然電話がかかってきた」というかたもいれば、「新規上場で大金を手にした人の話は聞いていた。自分もと思い引っかかった」というかたもいて千差万別です。
 業者は実在の有名企業の名を出して、株券の預かり証を渡したり、本物ではあるけれど名義の書換えが出来ない、渡された当人には無価値の株券を渡す場合もあります。それとこれは悪質商法に共通する手口ですが、最初は10万円程度の少額から誘い懐を緩ませるのです。そして狙った相手に接近し、動かせるお金がどのくらいか見当をつけると、「今ならもっと買えます」と、考える暇を与えずに大金を支払わせようとします。

――後になって考えてみると「どうしてあんな話に」といった手口に、人生経験を十分に重ねた人たちが騙されてしまうのはなぜでしよう。

内田高齢者に話を絞れば、お年寄りの不安は、お金、健康、孤独です。相手はこの3つにつけもうとします。お年寄りはお金もあり、話を聞く時間もあります。贅沢な暮らしを望んでいなくても、年金は心配、物価や税金も上がりそうです。将来への不安でいっぱいなところに、向こうからいい話がやってくると、つい耳を傾けてしまうのでしょう。「うまい話はない」ということを、改めて肝に銘じていただきたいと思います。
 それともう一点注意していただきたいのは、ご自身の資産運用をファイナンシャル・プランナーに相談する場合です。一言でファイナンシャル・プランナーといっても、独立系のかたもいれは大きな企業に所属しているかたもいらっしゃいます。そのかたのバックグラウンドがどういうものか、資産運用にどういった考え方をお持ちなのか。いざ相談するとなればご自分の資産をすべて明かすわけですから、本当に信頼できるかどうかを見極めることが大切だと思います。


金融商品のトラブルにあわないための心得
1.向こうからやってくる話には気をつける。
  相手はこちらの都合ではなく、自分の都合で売りたい商品があるから近づいてくる。

2.話を聞いたその場で、すぐ契約をしない。
  「今だけ」などと、契約を急かす業者は特に注意。冷静に考える時間をもつこと。

3.自分だけで判断せず、意見を求めること。
  家族や友人に相談を。専門家や業界団体に意見を求めるならバックグラウンドを確認。

4.トラブルにあったら、日本消費者協会や地元の消費生活センターにまず相談。
  弁護士といっても専門はさまざま。もし頼む場合は消費者問題に熱心な人に。


――最後に、特に高齢者のかたに向けたアドバイスをお願いいたします。

内田これからご夫婦がお年をとっていく世代は、「成年後見制度」という制度を知っていただきたいと思います。これは、もし自分やパートナーが認知症など判断能力が十分でなくなった時に、そのかたがお持ちの預貯金や不動産などの財産管理や介護施設への入退所などの契約を、本人に代わって行える法的な権限を後見人に与える制度です。
 家族名義の預金口座から現金を引き出す場合、ご夫婦であっても預金名義者の委任状が必要です。キャッシュカードで引き出せる1日の金額は限られていますから、まとまったお金が必要な時に、パートナーが判断能力を失っていると非常に困るケースがあります。また、「家族が知らない間に、認知症の親が高額なリフォームの契約をさせられていたが、契約をした本人でないと取り消しはできないと相手が主張している」といった相談を日本消費者協会でも受けることがあります。このよう場合にも後見人を専任してあれば、その人が金融機関の取引や、契約の取り消しなどを行うことが法的に認められます。

――どのようにすれば、成年後見制度を利用できるのでしょう。

内田 成年後見制度には、本人の判断能力に問題がある場合に、家庭裁判所が状況に応じて保護者(成年後見人・保佐人・補助人)を選ぶ「法定後見制度」と、事前に本人が自分の意思で代理人(任意後見人)を選んでおき、自分の判断能力が不十分になった場合の財産管理などの代理権を与える契約を結ぶ「任意後見制度」の大きく2つに分かれます。つまり、まだご本人がお元気な場合は、任意後見人を選んでおくということになります。
 任意後見人には、ご夫婦同士や信頼できる弁護士や友人を選ぶこともできますが、成人のお子さんがいらっしゃる場合は、お子さんにするのが一般的でしょう。任意後見契約を結ぶ人を選んだら、その旨の公正証書を公証人役場で作成します。任意後見人が契約した代理権の効力は、裁判所により任意後見監督人(任意後見人を監督する者)が選任された時点で発生します。詳しいことは、地元の自治体や社会福祉協議会、弁護士会、公証役場などに相談してください。

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内田紀子

うちだ・としこ。(財)日本消費者協会消費相談室相談主任・消費生活コンサルタント。日本消費者協会は、1961年に消費者啓発活動を推進する機関として設立された公益法人。消費者相談、商品テストのほか、『月刊消費者』の刊行、消費者力検定の実施、消費生活コンサルタント養成講座の開講などを行っている。http://www1.sphere.ne.jp/jca-home/

(更新日:2007年12月25日)


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