

前回お話したように、投資信託の良し悪しを判断するには、過去の実績を見るしかありません。ただここでもう一度、「金融商品におけるリスクとは、損をすることではなく、期待リターンからのふれ幅のこと」だということを思い出してください。ふれ幅の小さいローリスクの金融商品であれば期待リターンもそれに見合ったものになりますし、より大きなリターンを得るためには、リスク許容度も上げなくてはいけません。この表裏一体の性質を頭に入れて、「よい実績の投資信託」とは何かを考えてみれば、ある一定のリターンを、より小さな価格変動のふれ幅(リスク)で実現しているもの、ということになるでしょう。
このような投資の効率性を見る時に便利なのが、「標準偏差」と「シャープレシオ」という数字です。「標準偏差」とは、一定期間における価格のふれ幅のことで、この数字が大きいほどリスクが高いと考えてください。シャープレシオは、リスクを取ることで余計に得られたリターン(超過リターン)を、標準偏差で割った指標です。シャープレシオは同じタイプの投資信託を同じ土俵の上で評価する時に便利で、数字が大きいものほど、効率的にリターンを得ていると考えられます。シャープレシオは投資信託を販売している窓口で教えてくれますし、ネットでも格付け機関が定期的に発表している数字が拾えます。気になるファンドを比較してみてもいいでしょう。



セミナーなどで分散投資の大切さをお話しすると、「私は複数の投資信託を買っています」と、どんなファンドをお持ちか教えてくださる場合があります。ところが、名前は違っても、中身がよく似た投資信託を何本も持っている方がけっこういらっしゃるのです。分散投資とは、単純に資産の数を増やすことではなく、値動きの違う多彩な資産を組み込むことです。例えばバランス型の投資信託を資産の組み合わせの中心にして、さらに違ったファンドも買ってみたいのであれば、現在お持ちのファンドとはタイプの違う投資先の投資信託を持つようにしてください。「自分が持っている資産のリスクを補う商品は何か」といった目的のはっきりした質問をすれば、金融機関のアドバイスも具体的になります。
最後になりますが、投資信託は、プロに運用を託す金融商品ですから、そのためのコストを投資家が支払います。そのコストを運用という専門性の対価として考えるだけではなく、「運用をプロに任せることで、自分は自由な時間を買っている」ととらえることも大切だと思います。株式や金利の勉強にエネルギーを費したり、パソコンの前で株価の値動きを一日中じっと見つめている――。それを趣味として楽しめる方は別として、多くの方たちは、そのような生活を望んでいらっしゃらないでしょう。投資信託で時間のコストを買い、自由な生活時間を手にする――。そんなイメージをもって、セカンドライフの運用を考えていただきたいと思います。


和泉昭子さん
生活経済ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー。出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに転身。現在は、メディア出演や講演活動、個人相談などを通じて、マネー&キャリアの情報を発信。女性FPを中心としたライフコンサルタントのネットワーク「プラチナ・コンシェルジュ」主宰。
※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。