
畠中雅子さん
新聞・雑誌・インターネットなどに20本を超える連載やレギュラー執筆を持つほか、セミナー講師、講演活動をおこなうファイナンシャルプランナー。3児の母として生活実感あふれるマネーアドバイスに定評がある。著者は「教育貧民」(宝島社)、「なぜか幸せなお金のルール」(幻冬舎)ほか。


「退職金の運用のポイントは手取りを減らさない作戦を立てることが大事。ところが、中途半端の知識から株価が急騰している銘柄や投資用マンションなどに退職金を費やしてしまい、日々の生活費をまかなうお金が不足するといった人が意外に多いんです。長期にわたって安定的に収入が入ってくることをねらう、バランスのとれたマネープランを考えましょう」(畠中さん)
退職金のほとんどを使って投資用マンションを購入。入居者がいなくて収入ゼロ…
退職したのはゼロ金利のとき。これでは退職金が目減りするだけと、「11%以上の利回りは確実です」という営業マンの言葉に惹かれて、退職金の三分の二にあたる約1500万円で投資用マンションを購入。ところが、期待した利回りの家賃は高すぎるのか、いまだに入居者が見つかりません。こんなことになるなら、定期預金のほうがよっぽどよかった…。
ひとつの商品につぎこむのは失敗のもと。余剰資金を投資に回しましょう

Yさんのように、「とにかく退職金を増やさければ…」と考える人がなんて多いんでしょう! 短期間でお金を増やすには、どうしてもまとまった元手がいります。そのため、退職金の大半を一つの商品につぎこんでしまうんですね。これが失敗のもと。
けれど、ちょっと立ち止まって考えてみてください。Iさんのように投資用マンションに1500万円をつぎこんでも月々に入ってくるお金は10万円に満たないでしょう。確かに年金だけでは心もとない生活費を補うことはできますが、流動性が低いですし、空室時のリスクも。いざというときに簡単に現金化できないうえに、時勢に合わせて資産運用のポートフォリオを組み替えにくいんです。
退職金の使い道は、日々の生活や病気のときに必要な額を算出し、その分は運用に回さず、定期預金や個人向け国債などでプールしておく。その残りの、いわば余剰資金を運用に回すようにしたらどうでしょう。これならば、多少リスクの高い商品にも思い切って投資することができますよ。
優待をねらって株式を購入。けれど、株価がそんなに上がらず得した気になれない…
友人たちの話を聞くと、株主優待で航空券が安くなったり、商品をプレゼントされたり、ずいぶん得したようなので、優待ねらいの株ばかりを購入。確かに株主優待はあるのですが、もともと株価が高くてそんなに数を買えなかったため、思ったような優待がなく、更に株価が安定しているため、資産総額はまったくといっていいほど増えていません。かと言って株価が上がらないので、売却するのもためらってしまっています。何のために株を買ったのか、わからなくなってしまいました。
退職金運用の目的は少なくなった手取り収入を補うためのはず
本来の目的を見失ってしまうと失敗する

Tさんは優待がほしかったのでしょうか? それとも年金生活に入って、手取り収入が少なくなった分を補うために配当金を目的に株式を購入したのでしょうか? おそらくTさんは、投資の目的をはっきり決めていなかったために、どっちつかずの結果になってしまったのでしょう。
退職金運用では、それまでに自分に合った手法を見つけておいたほうがいいですね。大きくわけてタイプは2つ。当座の資金が潤沢にあり、同じ個別銘柄を長期にわたって保有し優待のメリットをフルに活用したいタイプなのか、それともひんぱんに売り買いして値上がりをねらっていきたいのかを現役時代から見極めておいたほうがいいでしょう。たとえ長期保有の優待ねらいでも、株価が安くなったと判断したときに買うべき。株式にしても、外貨にしても、自分なりの基準を持って、相場が安いと判断したときに買う勇気がもてるようになると、運用上手になれると思います。
また、株式に関しては、損切りができるようになれば中級者になれるかもしれません。損切りがうまい人は損失を大きくしなくてすむから、株上手、運用上手になれるんです。私も株式では今でも失敗していますが、利益が出た株と抱き合わせで売却し、総額では損をしないように心がけています。
セカンドライフでは賢く、自分に合った資産運用をしていく一方で、税金や社会保険まわりの知識を身につけておくことが肝心です。会社員のときには給料から天引きになっていた税金や社会保険料も、退職すると自分で払わなければならなくなります。特に、健康保険の任意継続(退職後2年まで)が終わって、夫婦そろって国民健康保険に変わったあとは要注意。国民健康保険料は前年の所得税や住民税に応じて算出されるため、個人年金保険で1年間にまとまった年金をもらったり、株で大きな利益が出たりすると、国民健康保険料がアップするケースもあるからです。運用も大切ですが、定期的に支払わねばならない金額を把握しておくと、退職後にあわてずにすみますよ。
※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。