Sさんの希望通りの目的地と期間で撮影旅行をしていると、退職後は年間200万円以上の赤字。
退職金は約10年で底をつきます。
どれだけ退職金や預貯金を取り崩していくかを夫婦で決めて、その予算内で旅行プランを立ててみてはどうでしょう。

深野康彦さん
(有)ファイナンシャルリサーチ代表。金融資産運用設計を得意とするファイナンシャルプランナー。資産運用や家計管理の大切さの広めるため、新聞やマネー誌、経済誌などに積極的に執筆と取材協力を行っている。セミナー講師、ラジオパーソナリティとしても活躍中。


Sさんは撮影旅行に反対する奥様を説得するための、資産運用プランを知りたくて相談にきました。お話をうかがうと、到底、運用プランを提案できるほど、状況を把握されていないとわかりました。
退職前にまずやっておかなければならないことは、セカンドライフの収支バランスをしっかりみきわめておくことです。これができていない「どらく」世代の男性が実に多い!これまで家計を妻まかせにしてきた人が多いのか、月々にどれくらい支出があるかすらわかっていなかったりします。
もう一つ。まとまった額の退職金が入るため、あれこれやりたことや夢は広がるのは結構。だけど、それにいくらかかるのか厳密に計算したことがある人が少ないんですね。たとえば、Sさんが希望するアフリカ・マサイマラへのパッケージツアーは8日間で35万〜50万円が相場。Sさんが希望する2週間のツアーはあまり聞きませんから個人手配とすると、おそらくひとり50万円以上かかるでしょう。海外旅行1回につき夫婦2人で100万円として4回、秘湯めぐり1回10万円として6回出かけると計算すると、1年で460万円はかかる計算になります。やりたいことや夢があるならば、それに対する費用はいくらかかるかは今のうちから調べておきましょう。現実のお金に置き換えることから、セカンドライフの夢実現の第一歩が始まります。


「セカンドライフの夢は、あきらめるしかないんですね…」と、意気消沈してしまったSさんですが、ちょっと待ってください。あきらめる必要はまったくありません。退職後の支出がはっきりすれば、余裕資金がいくらなのかわかりますから、やりたいことの優先順位をつけ、可能な範囲で実現していけばいいのです。S家の場合、年間200万円以上の余裕資金があるので、旅行の回数を減らせばアフリカや南米にだって十分出かけられます。あるいは近場への短期間の旅行にして1回あたりの費用を抑えて、細く長く旅をし続けるという選択もあります。
また、奥様の「旅行ばかりにお金を使っていたら、70代、80代の家計が不安」というのはもっともな意見ですが、赤字が出ないように汲々として毎日を過ごすのは楽しくありませんよね。そこで私は、「どらく」世代の方々には<前厚型>の資産運用を提案しています。
70代、80代になったら、遠方への海外旅行はできにくくなります。実際、健康でいる限り、年をとればとるほどお金は使わなくなるもの。ですから、60代は多少預貯金を取り崩してでも、積極的に出かける。寿命は誰にもわからないけれど、セカンドライフの20〜30年で借金を残さなければいいんです。メリハリをつけたお金の使い方をしていきましょう。


「定年までに預貯金を1500万円に増やしたい」と、Sさんは現在、家計にゆとりがあるので、月に10万円、ボーナス時に30万円、年間計180万円の貯金を目指しています。このままのペースでいくと、退職時には退職金と合わせて3500万円になります。この資産を年1%(税引き後)で運用すれば、35万円の運用益になり、3回分の秘湯めぐりの資金になりますね。
Sさんはこれまでご自身で資産を運用されてきた経験がありませんから、余裕資金があるうちに行動を起こしてみる。きっとセカンドライフの資産運用でその経験は生かされます。それに、預貯金を取り崩すだけでなく、しっかり資産運用し、その運用益を旅行費用の足しにするとお話しすれば、奥様も納得してくれるのではないでしょうか。
※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。