セカンドライフを穏やかに暮らすためには、退職金+預貯金+国債の2600万円はそのまま残す資金計画を立てること。
マンションを購入して、便利にはなったけれど、生活が苦しくなって遊びにも出かけられないようでは、元も子もないじゃないですか。

深野康彦さん
(有)ファイナンシャルリサーチ代表。金融資産運用設計を得意とするファイナンシャルプランナー。資産運用や家計管理の大切さを広めるため、新聞やマネー誌、経済誌などに積極的に執筆と取材協力を行っている。セミナー講師、ラジオパーソナリティとしても活躍中。


子供たちが独立して家計にゆとりができ、2年後には2100万円の退職金がもらえることが視野に入ったKさんは、完全に舞い上がって、お金に振り回されています。このようなことはKさんに限った話ではないんです。こういうときこそ冷静になって、退職後の収支バランスを検証してみましょう。都心のマンションを購入する前に、これから生きていくためのお金の確保のほうが先決だと、はっきりわかるはずです。
今の時点で、手持ちの資金を減らさない最も確実な方法は今の家に住み続けるという選択。都心に引っ越して、生活は便利になったけれど、手持ちの資金不足が不安要因となって、生活が苦しくなるようでは意味がありません。退職金2100万円+預貯金350万円+国債150万円=2600万円は、老後を安心して生きるために必要なお金の最低レベルです。これを一気に取り崩すような使い方は絶対にしてはいけないと考えます。


Kさんは定年まであと2年。子供達が独立した今は、競馬でいえば第4コーナーで、今からの頑張り次第でセカンドライフは大きく変わってきます。
たとえば、夫婦ふたりだけになったのをきっかけに生活費を思い切って節約し、なるべく早く住宅ローンを返済し、できるだけ預貯金を増やす努力をしていきましょう。手持ち資金を500万円増やして、3100万円からスタートすると84歳で底をついたはずの預貯金が87歳までプラスで推移し、90歳の時点での赤字は600万円以上少なくてすみます。

セカンドライフの資金計画や運用プランを考えるとき、理解できない・していないものには手を出さないことを鉄則にしてください。Kさんはリバースモーゲージや、定年後でもOKの住宅ローンがあることを聞きかじってはいましたが、内容をきちんと調べていないだけでなく、日々の生活に与える影響もイメージできていませんでした。収入を増やすことが難しいセカンドライフでは、この中途半端な判断が墓穴を掘るといえます。
自分ひとりで考えていると、客観的な視点でマネープランを捉えられず、いいところだけを見て判断しようとしてしまいます。この失策を避けるためにも、現状と定年後のお金の動きを精査して、十分理解してからプロに相談してみるといいと思います。自らの現実がわかって、「相手の説明が理解できないうちは購入しない」と決めていれば、プロの知識の活用はメリットが大きいからです。
運用は誰にでも与えられた権利。運用上手になれば、その分、選択肢が増えますから、セカンドライフを謳歌できるようになりますよ。
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