お二人に投資信託のアレコレをお答えいただくこの連載、最終回は、メンテナンスや解約について質問します。保有期間中や、解約を検討する際に知っておきたいことをチェックしましょう。
下がっている理由にもよりますけど、基本的には売らない!
いいファンドなら、下がったときはむしろ買い増しのチャンスですよね。
そう。例えば、ベンチマークのTOPIX(東証株価指数)が10%ダウンのときに基準価額は7%ダウンなら、それは問題ない。でも、ベンチマークから大きく外れてダウンしていたら、何か問題があるでしょうね。純資産高を見て極端に減っていたら、「他の投資家が逃げている」っていうことですよ。逆に基準価額が下がっても純資産高があまり減らなければ、投資家たちがそのファンドを「信じている」ってこと。純資産が大きく減っちゃうと、運用面で支障をきたして、ファンドマネージャーの腕がふるえなくなっちゃいますから。
投資信託のデメリットはそこですね。たとえば「外国の『債券』と『債券ファンド』を買うので、何が一番違うのか」って考えると、何か大きな事件があったときなんです。個別の債券への直接投資なら自分が満期まで持ってれば済むけど、ファンドはパニックになった人たちがワーッと逃げちゃうとキャッシュを準備するために荒れてしまう。それがみんなで持つことのリスクかな、と思うんです。
投資家が同一の目的で買っていれば、荒れないはずなんだけどね…。まあ、投資信託って、そもそも基準価額を見ながら頻繁に売買するものじゃないですよね。売るのを考えるときって、「どうしても他にほしいのが見つかったけど手持ち資金がない」、「投資していた国の成長が止まった」、「当初の目的を失った」、「方針に疑問を持ち始めた」とか。
そう考えると、私はあんまり売ってないな〜。手放すのは「ずっと持っていたけど、全然伸びないから他の商品に乗り換えよう」っていうときくらい。
「同じような運用スタイルでもっとコストが安いのが出てきたから乗り換える」っていうのもありますね。あと、人によっては「目標リターンを得たから」っていうのもあるかな。例えば、基準価額が2倍になったら半分だけ売るとかね。そうすれば元本は回収できて、あとは全部リターンでしょ。そういう投資スタイルはありますよね。株は単元でしか売買できないけど、口数で解約できるっていうのは投資信託のメリットですから。
外せないのはファンドマネージャーのコメント!
そう、コメントは大事。「こういう形で運用してきました」っていうのは読まなきゃね。
とくに下がったときはちゃんと読まないとね。わかりやすくて、潔いコメントが好きです(笑)。だってマーケットが大きく動いて、仕方なく下がるときもあるんだし。
あとは売買回転率。これが1倍を超えてたら、銘柄が全部入れ替わっているってことなんです。それでパフォーマンスが上がっていればいいけど、上がっていなかったら、運用で余計な売買手数料がかかってるってことじゃないですか。1倍を超えていてもいいんだけど、市場よりパフォーマンスが悪いときは、ムダな入れ替えをしている可能性がありますね。
それと、大きく投資配分が変わったときはチェックかな。
運用報告書は半期か1年に1度なので、途中で気になることがあったら、運用会社のホームページでマンスリーレポートなどを見てみるといいですよ。
世界情勢や経済で大きな変化があったときね。戦争とか通貨危機とか。
たいてい緊急レポートが対応してますよね。それは運用会社の義務じゃなくてサービスですけど。
あと、保有ファンドの状況チェックってことで言えば、運用会社が作成したレポートをメルマガで送ってきてくれる販売会社もありますよ。とくに新興国の情報は日本で詳しく報道されないから、メルマガが便利。私も情報収集できないほど忙しいときは、あとでメルマガを読んで「へえ、そうだったんだ」ってことがありますよ。
あとは、わからないことがあったら、遠慮しないで運用会社や販売会社に聞けばいいんですよね。
そうそう!
分配金(普通分配金)は10%源泉徴収(2008年4月から20%)、自動的に差し引かれるので気にしなくていいです。売るときは解約請求と買取請求があって、ちょっと違います。解約請求は、満期償還と同じ考え方で、利益の10%が源泉徴収され終了。他の譲渡損失等と損益通算できません。ただし、解約時に損していた場合は、通算も可能です。買取請求なら、利益も損失も他の譲渡損失等と損益通算でき、利益10%が申告分離課税です。
いろいろな金融商品を持っている人は損益通算できる買取請求がいいですね。
買取請求なら株取引などの利益や損も通算できますからね。そのあたりが面倒なら特定口座に入れておくのがオススメ。特定口座でない場合、買取請求したときや他と損益通算したいときは、確定申告が義務づけられています。ただし、一部には、特定口座を開けない銀行もありますし、銀行によっては買取と解約が選べないところも。それは確認しておいたほうがいいですね。
細かいことだけど、分配金には特別分配と普通分配がありますよね。
特別分配は元本の返却とみなされるので非課税です。ただし、特別分配は個別の投資元本が下がってしまいますね。
以前は、税金対策で特別分配ばかり出してるファンドもありましたけど(笑)
このあたりの税制の複雑さは、おそらく今後改善されていくでしょうね。
配当金は再投資に回します。優待も換金できるものはすべて現金化して、元本に組み込んで再投資。
そうなんだ〜。金券ショップでお米や缶ジュースを売っているところがあって、金融機関が持ち込んでるという話を聞いたことがあるのだけれど、これも優待なんですかね(笑)。
これは気をつけたほうがいいですよね。とくにカリスマ的な人が代わるときは、評価会社もしばらく警戒期間にして観察しますよ。
心配なときは、運用会社に問い合わせて、チームの体制や今後の影響を確認してもいいと思いますよ。最近はほとんどチーム体制になっているけど、どのくらいその人に依存していたかは、ファンドによりますから。
とくにアクティブ型の場合はね。インデックス型ならそんなに大きな影響はないけど。
場合によっては、何度もファンドマネージャーが代わることがありますよね。人事異動があったり、管理職になると「運用に携わっていたいから」って独立しちゃったり。スターはスターで引き抜きがある。私も、「この人が運用するなら!」って買ったファンドで、その人がいなくなって、動機がなくなっちゃったことがありますよ。
日本の投資信託は運用規制も多いし、いいファンドマネージャーをつなぎ止めておくのは難しいでしょうね。最近では規制の少ないヘッジファンドに行っちゃう人も多いようですし。
ファンドマネージャーのことだけじゃなくて、自分で調べてもわからないことは、運用会社に聞いていいんですよね。最近は、投資家も成熟してきて、みんな販売会社を飛び越えて、運用会社に電話してくるんですって。
販売会社じゃわからないことが多いもんね。運用会社も電話してもらえれば投資家の生の声が拾えるんだし。
難解な運用報告書も変わってくるかもしれないですね。
そう。金融はサービス業なんだから、お客様の声でどんどんよくなっていくべきなんですよ。
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