離婚するとき、夫婦で築いてきた財産をどう分けあうかは大きな問題です。分け方に決まりがあるのでしょうか。身勝手な行動のツケとなる慰謝料はいくらぐらいなのか。4月から年金分割制度も始まりました。今週は、離婚にまつわるお金の話を取り上げます。
実際に離婚した夫婦は、財産をどの程度、分けているのだろう。約9割を占める協議離婚については統計がない。家庭裁判所が介入する調停離婚と、調停で合意できず家裁が成立させる審判離婚を例に、実態を見てみよう=図。合計で離婚の約1割にあたる。
財産分与(慰謝料を含む)の取り決めをしたのは、全体の28%。払われた額は「100万円以下」が最も多かった。
ただ、年を重ねるほど財産が増えるためか、結婚年数によって状況がかなり違う。5年未満の夫婦では財産を分けたのは2割未満で、額は100万円以下が約半数を占める。一方、25年以上の夫婦だと52%が財産を分けており、100万円以下は8%だけ、1千万円超が24%もいる。
分けられる対象は結婚期間中に手に入れた財産。一方が相続などで得たもの以外は、1人だけの名義でも住宅や預金、株券、退職金などすべて対象となる。
取り分は半分ずつが基本。多くの離婚事例にかかわってきた澤田行助弁護士は、「主婦のおかげで夫が収入を得ているという考えが定着し、共働きだけでなく、専業主婦世帯でも折半が増えてきた」と話す。
離婚に備えて隠し口座を作る人もいて、分けるべき総額の把握は簡単ではない。「離婚前にいかに相手の資産を調べられるかが重要です」と澤田弁護士。
慰謝料だけならどうか。芸能人などの離婚では数千万円という話も飛び交う。一般の人の場合、いくらぐらいが相場なのだろう。
離婚の約1%にあたる裁判離婚を分析した研究によると、平均190万円。結婚年数や、離婚に至った責任の重さ、支払い能力などを考慮して額が決まる。大阪弁護士会が会員弁護士らにアンケートし、97年に新たな基準として示した額は図の通りだ。
子どもがいれば養育費も生じる。支払いは原則20歳までだが、高校卒で就職、大学進学などが前提だと、支払期間も変わる。
額の基準は、東京と大阪地裁の裁判官らが作成した「算定表」。年収や子どもの年齢などにより、おおよその養育費が分かる。14歳以下の子1人、支払い側が年収600万円、受け取り側が200万円で、ともに給与所得者だと月4万〜6万円、という具合になる。
熟年離婚に影響の大きい年金分割が4月に始まった。離婚時に、結婚期間中の厚生年金(会社員)や共済年金(公務員ら)の記録を、話し合いか家裁の調停などで割合を決めて分ければ、それぞれが年金を受け取れるようになる。
社会保険庁によると、分割の請求は4月に293件あり、4分の1は男性からだった。相談も約1万2千件と、3月以前より急増している。
2年前、子ども2人も大きくなったので離婚にふみきった。自宅の土地を買ってくれたのは私の父だったので、私が「ここは渡さない」と主張して自宅を得て、互いの預貯金は夫の言い分通りにそのままで別れた。私の蓄えはわずかだったが、安いけどパートの収入があり、少しだけ年金ももらっていたので、住むところさえあれば、細々とでも食べていけると見通しを立てることができた。実際に離婚した後は、実家からの援助で、経済的な心配はないようにしてもらっており、ずいぶん助かっている。
(岐阜県 パート女性 63歳)
暴力や不貞行為だけでなく、最近は「夫が家庭を顧みない」といった理由での離婚もよく聞く。女性の反発を受けるだろうが、毎晩遅くまで仕事をこなし、疲れて帰ってきた夫は、専業主婦とは違う。そこまで求めるのは無理だと思う。法的にも年金分割や財産分与の割合など離婚を奨励するようにもとれる動きが加速しており、離婚に積極的な女性に対し、疲れた男性の声が無視されているような気がする。長年家族を養った会社での仕事を、家庭でも正当に評価してほしいと思う。
(東京都世田谷区 会社員男性 39歳)
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(更新日:2007年06月08日)
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