家計の支え手を失ったときの助けになる遺族年金。国民年金や厚生年金など、加入している制度によって給付に違いがあることは先週お伝えしましたが、実は、同じ制度の中でも、受け取り手が妻か夫かによって、大きな差があります。
共働きで家計を支えたり、会社勤めの妻が家計の主な支え手になったり。家族の形はさまざまだが、年金制度は「働く夫と専業主婦」というモデルから抜け出せていない。
象徴的なのが遺族年金。「寡婦」という言葉がしばしば使われることからもわかる通り、対象として考えられているのは「夫を亡くした妻」だ。
例えば、国民年金加入者が亡くなった場合。遺族が妻の場合は、18歳未満の子どもがいると遺族基礎年金が支給されるが、夫は子どもがいても対象外だ。
会社勤めの人たちが加入する厚生年金ではその差はさらに広がる。
妻は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が受けられる上、夫が亡くなった時点で40歳以上65歳未満だと、子どもが18歳に達して遺族基礎年金を受給できなくなった後も「中高齢寡婦加算」がある。
また、国民年金が強制加入になる以前の人たちが、中高齢寡婦加算がなくなった途端に年金が減るのを防ぐために、1956年4月1日以前に生まれた人たちには生年月日に応じて「経過的寡婦加算」もあるが、これらの加算はいずれも妻の場合だけだ。
妻が亡くなった時点で55歳に達している夫には、遺族厚生年金を受ける権利が認められるが、支給停止期間があり、実際には60歳になるまで給付は受けられない。
男女でどうして、このような差があるのか。厚生労働省は「一般に男性の方が女性よりも稼得能力が高いため」(年金局年金課)と説明する。夫の場合は、高齢期を除けば自分で働いて生活ができるはず、というわけだ。
しかし、現役世代の夫は年収がどんなに低くても、子どもがいても遺族厚生年金を受けられないのに、妻は夫の死亡時に年収850万円に満たなければ、その後、収入が増えても支給が続く。それで整合性が保たれるのか。厚労省は4月から、30歳未満で子どものいない妻への遺族厚生年金を5年間に制限したが、不公平感はなお残る。
また国民年金には、保険料を納めた期間や免除期間が合わせて25年以上であれば、子どもがいなくて遺族基礎年金の給付を受けられなかった妻も、60歳から64歳まで「寡婦年金」が受けられる制度がある。これは稼得能力に配慮したと言うよりむしろ保険料が掛け捨てにならないようにという配慮の色濃い制度だが、遺族が夫の時は、妻が同様に保険料を納めていても夫に支給はない。
「働く人と養われる人が性別ではっきりと分かれていた時代の制度なので、今は合わなくなっている面があるのも事実。今後の検討課題です」と厚労省は話す。
40代半ばでサラリーマンから自営業に転じた夫が、4年前に64歳で亡くなった。遺族厚生年金は2カ月分で5万円弱。転職したためか夫の厚生年金加入は20年に少し足らず、年60万円近い中高齢加算はもらえない。60歳まで国民年金保険料を支払ったが、子どもがもう大きかったので遺族基礎年金ももらえず、十数万円の死亡一時金だけ。今の年金問題をみると加入期間が本当だったのかと思うし、20年は長すぎる。できるだけ制約を減らし、払った分に見合うものを公平に受け取れる制度にしてほしい。
(東京都八王子市 主婦 62歳)
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(更新日:2007年06月29日)
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