定年後の暮らしに欠かせない退職金。ただ、額も受け取り方も、勤め先によってさまざまです。退職時に一括して受け取るか、年金で少しずつもらうかを選べる会社も多く、悩む人もいるでしょう。今週から始まる「財産」編。まずは退職金について考えます。
退職金には、退職一時金と、年金として将来にわたって受け取る退職年金という二つの制度がある。退職年金は、国民年金など公的な年金とは違い、各企業が独自に持つ年金だ。
勤め先が持つ制度や、実際の支給額は、企業規模などにより大きく異なる。
10〜299人の企業を対象にした東京都の調査によると、「一時金制度のみ」が半数を超え、「退職年金との併用」は24%。大卒の定年時を想定した支給額は図の通り(年金分の額は退職時の現在価値)。
千人以上の企業も対象に含む厚生労働省の調査では、退職年金を採用する企業が「併用」もあわせると半数近い。支給額も都調査より6〜7割多い。
さらに、大企業だけを対象とした中央労働委員会の05年調査だと、「一時金のみ」は4%にすぎず、「併用」が87%など、退職年金のある企業が大半だ。
退職年金には5種類ほどあるが、厚労省の調査では退職年金の66%が適格退職年金。企業が払った掛け金を信託銀行などが運用し、退職者に給付する年金だ。
適格年金を採用している企業は、9割が支給を終身ではなく有期(大半は10年)とし、ほぼ全企業で一時金に換えて受け取れる。厚生年金基金などほかの退職年金でも、一時金にできる企業がほとんど。退職時に年金としてもらい始めても、途中で残りを一時金にできるケースも多い。
実際は、退職者の約6割が、年金分をすべて一時金にしてもらっている。
どちらが有利か。厚労省調査の支給額を例に、税金を考えてみよう=図。
退職一時金は、税制上かなり優遇されている。特に勤続20年超なら控除額が大きいうえ、控除後の残額の半分にしか課税されない。
この例では、年金分を年金のままにすれば一時金は非課税。年金分も一時金にすると計2656万円で、課税額は計50万円近い。
ただ、年金のままの場合は年金への課税が増える可能性が高い。公的年金とあわせた年金額が、60〜64歳なら70万円、65歳以上では120万円以下ならば非課税。しかし、退職年金は大卒の定年退職者で平均150万円近い(03年)。
退職年金は、かつては5.5%などの高利回りが約束されていた。しかし今は2〜3%程度という。
コンサルタントの大高直美さんは「まずは勤め先の制度がどうなっているか確認を。年金でも利回りによっては一時金でもらって自分で運用した方が有利と思う人もいるし、借金があれば一時金をできるだけ返済にあてた方がいい。結局、有利不利はその人の考え方次第でしょう」と話す。
約14年前に夫を亡くした。夫は厚生年金に18年加入しており遺族厚生年金が受け取れると思っていたが、加入期間内の死亡ではないので、期間内に初診日があることを証明する病院の領収書などがあり、かつ初診日から5年以内の死亡でないと、支給されないという。領収書など残しておらず、私の収入で生活はできたのであきらめてしまったが、釈然としない気持ちは残った。先週の「備える」で取り上げられた遺族年金の男女差もおかしいと感じる。遺族年金の見直しが必要だと強く思う。
(大阪府茨木市 女性 60歳)
05年10月末に60歳で定年退職した。土地を買って自宅を建てた十数年前の借金がまだ残っていたので、退職金はすべて一時金にしてローンの返済にあて、残りは妻が貯蓄にあてたようだ。まとまったお金が入ったことは、よかったと思う。 定年後、関連会社で誘ってくれたところがあり、再雇用されて働いている。収入が目的というより、仕事を続けた方が健康にいいと思ったから。65歳までは働くつもりで、多少はまた退職金がもらえるようだ。使い道はじっくり考えようと思う。
(愛知県知立市 会社員 62歳)
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(更新日:2007年07月06日)
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