財産を子に引き継ぐ方法は、相続だけではありません。子のマイホーム購入を資金援助したい人もいるでしょうし、相続財産を減らして相続税を少なくしたいと考える人も多いでしょう。二つの生前贈与の課税方式について考えます。
生前に財産を贈るときにかかる贈与税の課税方式としては、まず「暦年課税」と呼ばれる通常の贈与税がある。
これは、1年間に贈与された財産の総額に対して課税されるもの。110万円以内は非課税だが、それを超えると最高50%の累進課税がある。相続税逃れ目的の生前贈与を防ぐため、相続税よりもかなり負担が重い。
ただし、生前に長期にわたって贈与をすることが可能なら、節税に利用することも可能だ。年110万円以内で贈与を繰り返すと、相続時に課税対象となる財産が徐々に減る。しかし、最後の贈与から3年を超えずに相続した場合、その贈与財産は、相続税の課税対象に加えられる。さらに全く同じ額で贈与を長年繰り返すと、開始時にすべての金額の贈与の意思があったとみなされ、一括して贈与税がかかることがある。
もう一つの方式は「相続時精算課税制度」。相続税と贈与税を一体化し、親から子への資産移転の促進を狙って03年に創設された。65歳以上の親から20歳以上の子への贈与が対象だ。
この制度では、生前贈与の非課税枠は2500万円。これを超えた贈与財産に一律20%の税率をかけて税金を払う。相続時に、贈与された財産もすべて合算し、相続税として支払額を確定。結果的に払い過ぎていたら差額は還付される。今年末までなら特例で、住宅取得資金を贈与する場合に限り、非課税枠が3500万円まで拡大される。
土地や株券など値上がりが見込めるものを贈与しておくと、税額の計算は相続時ではなく贈与時の評価によるため、節税効果が期待できるのが特徴だ。
国税庁の調査によると、05年の相続税の課税対象者は4・2%。ほとんどの人にとって、相続時精算課税制度で生前贈与を受けて贈与税を支払っても、相続時の精算で還付されることになる。
ただし、注意しておくべきなのは、相続時精算課税制度を利用するには、最初の贈与を受けた翌年の確定申告期間中に税務署に届けなければならず、いったん選択すると通常の贈与税に戻れないことだ。相続に詳しい税理士の藤井和哉さんは、「制度の利用は慎重に選択したほうがいい」と指摘する。
例えば、値上がりを見込んで贈与した土地や株券が相続時に逆に値下がりしてしまい、贈与時の高価格のまま税額が計算される可能性があるという。さらに「贈与のない子と公平を図るため、贈与を受けた子に相続財産の最低限の取り分である遺留分を放棄させるなど、相続人の間でのバランスを考えたほうがよい」と勧める。
私の夫は2人兄弟の弟。33年前、義父が急死した。夫の実家は地方の県庁所在地の一等地にあり、夫にもそれなりの相続分があったはずだ。
ところが、若かった私たちはあまりにも無知で、義姉から郵送された書類の意味をよく理解しないまま署名と印鑑を押して返送し、相続を放棄してしまった。結局1円ももらわなかった。
自分の子どもにはこんな思いはさせまいと、長女と長男には財産をどう分けるかちゃんと言い残しておこうと思っている。
(東京都多摩市 女性 64歳)
10年前に夫を亡くした。遺産は土地、家屋、株、現金などで相続人は私と2人の娘だった。娘たちの配偶者はともに長男で、両親は健在。娘たちと遺産相続について話し合ったとき、夫と私が築いた財産であり「自分のことは自分で」を原則に生きていきたいことを説明し、遺産の多くは私が相続することを理解してもらった。
その後、娘夫婦が転勤で首都圏に戻り、自宅を購入する際には、まとまった金銭を贈与した。どこかで娘たちを頼りにしている気持ちの表れでもある。
(千葉県習志野市 女性 66歳)
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(更新日:2007年07月27日)
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