気になる老後の住まい。前回は住宅の種類をご紹介しましたが、中でも費用に幅があるのが有料老人ホーム。介護が必要になったら出て行く「健康型」もあるが、将来を見越して「介護付き」への住み替えを検討する場合どんな費用を考えればいいのでしょうか。
民間の相談機関「高齢者住宅情報センター東京」は月数回、入居検討者を対象にセミナーを開く。「施設や入居者の目的によって幅がある。『かかる費用はこれ』とは断言できません」(山田礼子室長)としながらも、考え方の目安として紹介するのが、図で示した二つの例だ。
一つ目は、70歳で元気なときに入居するケース。「今は元気だが、将来が心配」「子どもに世話をかけたくない」と自分で決断する場合に多い。
検討するのは(1)入居時の一時金(2)入居後に月々かかる費用(3)介護が必要になったときの費用の3点だ。
「入居一時金」は家賃の前払い相当分で、一定期間内に退去した場合は返還の対象になる。ここでは3千万円としたが、同センターによると、入居時に元気な人が入れるタイプは1千万円台から数億円まで、施設によってばらつきがある。
「入居後の費用(月額)」は、ホームに支払う管理費や食費、自分で支払う医療費、交際費などだ。
「介護費用」は介護保険の自己負担額やおむつ代などの実費に加え、入浴介助の回数を増やすなどの費用。要介護度が高くなると負担も増える。基準以上の人員を配置しているホームでは別途「人員過配置サービス費」がかかることも。
この図では80歳で介護が必要になり、85歳で要介護度が高くなり、90歳で亡くなると仮定した。
二つ目は、要介護状態になってから85歳で入るケース。「同居の家族がいるが、在宅介護できない」などが想定される。
要介護者が入るタイプのホームは一般的に、居室は18平方メートル前後と小さめ。入居一時金はここでは比較的安い500万円としたが、共用部分の設備や広さにより大きく違う。入居一時金をゼロにする代わりに月額が高い施設や、支払い方法を選択できる施設もある。
入居一時金を「いくらぐらい払えるだろう」と思ったときの目安の計算式が図下。「生活費」はホームでの月額利用料、医療費、税金、介護費、小遣いなど。「予備費」は旅行や入院医療費、残したいお金などだ。どんな暮らしをしたいかで額は変わる。あと何年生きるかは、厚生労働省の簡易生命表が目安になる。
事業者でつくる全国有料老人ホーム協会には「こんなに長生きすると思わなかった。ホームの費用を払えなくなる」との相談も寄せられるという。五十嵐さち子事務局次長は「契約内容は施設により違うのでしっかり確かめて。資金計画も大切です」と話す。
51歳のとき、夫をがんで亡くした。一昨年、長女夫婦の一戸建て新築時に、自宅マンションを売って、頭金を援助。同居している。娘の連れ合いはやさしく、孫も小学5年生。友人たちは、私の老後は幸せだと言ってくれる。私も不満があるわけではないが、ひそかに、子育てをしたときに住んでいた団地で、一人暮らしをしたいと願っている。同居の娘に子どもが生まれたので、しばらくは子守。でも、65歳になったら団地に戻りたい。身内より友人のほうが、老後のよりどころになると思う
(横浜市 主婦 63歳)
築40年以上の賃貸の団地に住んでいる。高齢者の割合が高く、一人暮らしの人が多い。私も女性の一人暮らし。乏しい年金生活で、有料老人ホームはとても手が届かない。老朽化した団地の建て替えも話題に上がるが、家賃などの面で不安だ。1DKや1LDKで十分なので、公的な家賃補助制度が利用できる高齢者向けの団地が身近にできないだろうか。市場としては魅力はないだろうが、低所得の高齢者も大勢いるのだから、古い団地の再生に真剣に取り組んでもらいたいと思う。
(神奈川県 無職女性 66歳)
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(更新日:2007年09月14日)
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