賃貸住宅でも、介護や食事のサービスがあったり病院が併設されていたりと、高齢者を意識した物件が登場しています。では、高齢期になって賃貸住宅に住み替えようと思った時、どのような仕組みが利用できるのでしょうか。
「高齢者居住法」が01年に施行されて以降、高齢者向け賃貸住宅の整備が進められている=図。
民間や公社で高齢者が入居できる物件は、高齢者住宅財団のホームページや都道府県の窓口で閲覧できる。高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」は約11万件、高齢者向けの「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」は約1万3千件が登録されている
高円賃は対象を高齢者に限らないので、設備は一般と変わらないことがある。一方、高専賃は高齢者専用で、介護サービスの有無など高円賃より詳しいデータの公表が求められる。いずれも事業者による登録制で設備などの規制はない。
高専賃の中でも「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」は認定制で、公営やUR都市機構の物件も対象。居室25平方メートル以上など条件を満たし、事業者は最低10年適切な管理を求められる。収入が不安な人向けには、自治体やUR都市機構の家賃を抑えた「シルバーハウジング」がある。
高齢者向けとはいえ賃貸住宅は福祉施設とは別。賃貸契約と、介護や生活援助は別契約なので、金額や内容は十分な確認が必要だ。
高齢期の賃貸生活を支える様々な仕組みもある。「家賃債務保証制度」は家賃が払えなくなった時に備える。「高齢者居住支援センター」の場合、高円賃登録なら、滞納家賃は6カ月まで、原状回復や訴訟費用は家賃9カ月相当まで、2年間保証する(更新可)。2年分の家賃の1.45%相当の保証料が必要だ。
「終身建物賃貸借制度」はずっと住み続けたい人向け。死亡まで契約が継続し更新の必要はない。1年間の仮契約ができ、住み心地を確認できる。ただ、認定数は07年4月で265戸。
国の06年調査では、民間賃貸住宅の家主で入居制限をしているのは、「高齢のみの世帯不可」が7.1%、「単身高齢者不可」が8.4%。外国人なども含めた入居制限の理由は「居室内での死亡事故などの不安」が48.4%で、4年前より20%増えた。
「高齢者の場合、保証人より身元引受人が重要」。終身建物賃貸借を手がける学研ココファン(東京都)は指摘する。終身契約でも認知症や寝たきりになった場合は退去もあり得る。「住みかえ先は用意していても、その意思決定をする人が不可欠」と同社。身寄りがない時は「成年後見制度」も考えておきたい。
東京都の「あんしん入居制度」は見守りサービスの他に、葬儀や家財整理も代行する。死亡診断書の手続きから遺骨引き渡しまで40万5千円、家財の片づけは25万5千円(10年間)。同様の公的サービスは福岡市などにもある。
両親の介護に明け暮れた10年の経験で、どんな生き方がベターなのか考えてきました。行き着いたのが、UR都市機構の賃貸住宅。住居と別に、団地内の「シニアハウス」を拠点にした食事・入浴サービスや、緊急時や介護が必要になった時の介護居室の利用に900万円の利用一時金と管理費月額4万2千円で契約しました。「安心」を買ったつもりです。認知症や歩行困難でやむを得ぬ事態に至らない限り、住み替えはしない。ライフスタイルを変えることない生活をエンジョイしてます。
(大阪市 女性 72歳)
老後は日常生活に便利でにぎわいもある所に気心知れた妻と住みたいと思っている。私は自立している頃から夫婦で入居して、環境に早くなじみたいと思っているが、妻は気乗りしないらしい。年をとると最初から人間関係を築くのが大変で気疲れするので、現状維持でいきたいという。子どもに世話になりたくない点では一致しているが、このままではどちらかが介護が必要になってから行動を起こすことになりそうだ。仕方がないと思ったり、それからでは遅いのではないかと心配したり、気持ちは複雑だ。
(大阪府 男性 68歳)
(更新日:2007年05月03日)

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