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高齢期の住まい編

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リバースモーゲージ 普及阻むリスク三つ
地価下落で貸し付け停止も

自宅を担保にして、住み続けながら生活費などを借り入れ、亡くなった後に自宅を売って返済する「リバースモーゲージ」。老後の暮らしの選択肢のひとつですが、欧米と比較して普及していないのも事実です。背景には「長生き」「金利上昇」「住宅価格の下落」という三つのリスクがあるといわれます。

※クリックすると、拡大します

「長生きリスク」は、利用者が予想より長く生きて、生活費などの借り入れが「限度額」に達してしまうことだ。その時点で返済を義務づけられている場合、住む家を失う。「亡くなってから返せばよい」(中央三井信託銀行など)という場合も、生活費などは借りられなくなるため、生活保護に切り替えるなどの対策が必要だ。

81年の制度開始から、延べ104人に約15億円を貸し出してきた東京都武蔵野市では、長生きのため借り入れが限度額に達したケースが現在6件あり、いずれも貸し付けは停止されている。借り手は80歳代〜100歳代で13年前から停止されている人もいるという。

ただ、元利あわせて約13億7千万円はきちんと返済されている。「予想よりも早く亡くなる方もいる。リスクは平準化されます」と窓口の財団法人武蔵野市福祉公社は説明する。

「金利上昇リスク」は、金利の変化で使える総額が変わるリスクだ。毎月の借入金には金利がかかり、利用者は死後、または月々、金利を払わなければならない。借り入れ限度額は決まっているため、金利が上昇すると使える総額は目減りする。

「住宅価格の下落リスク」は、利用者が死去するなどで契約が切れ、担保物件を売った時、地価の下落などで担保割れとなるリスクだ。遺族が相続を放棄すれば、貸手にリスクがふりかかる。

こうしたリスクが表面化しそうな例もある。ある自治体で自宅の評価額の5割弱を限度に貸したところ、予想以上に地価が下落。途中で貸し付けを停止したが、借り手が死去した今年、評価額は当初の3分の1以下まで下がっていることがわかった=グラフ。売却すれば担保割れになりかねないケースだ。

利用者がリスクを避ける方法はないのか。みずほ総合研究所の野田彰彦・主任研究員によると、「長生きリスク」を避けるには、借り入れ限度額に達しそうな年齢から終身カバーできる年金保険に入る方法が考えられる。が、日本にはこうした商品はほとんどないのが実情だ。「金利リスク」は、固定金利か、金利の上限を定めたものを選べばよいが、自治体や社会福祉協議会の制度などしかない。

「住宅価格の下落リスク」も現状では避けがたい。特にマンションは、さら地にして売るわけにはいかないため担保の対象にしないところが大半だ。野田さんは「欧米のように、良質で長持ちするマンションや住宅を造り、資産価値が適正に評価されるようにならなければ、根本的な解決は難しい」と指摘している。

私の場合

自立できて満足

年金は月7万5千円。持病があり医療費もかかるため、自宅を担保にして、約半年前、武蔵野市のリバースモーゲージの契約をした。月8万円の生活費を借り、看護師などのサービスを受けている。生活は楽ではないが、自立できて大変満足している。限度額は2600万円。せっかくだから長く大切に使いたい。子どもはいるが、身内はあてにならないし、資産も残す気はない。死後、もし金が残ったら、生きがいにしている国際交流のボランティア活動にあててもらいたい。

(東京都 無職 77歳)

先だつものは

父(86)と母(78)は、入居時に自立が要件のケア付きマンションに移り、10年以上たつ。数年前、父が吐血して倒れた時はスタッフの対応で九死に一生を得た。母も腰痛で手厚い看護を受けている。高齢の父母だけなら共倒れになったろう。夫の母(77)は特別養護老人ホームに入り、家庭的な雰囲気で暮らしている。前より顔色もよく、こぎれいになった。親の人生を教訓に、一人息子に負担をかけず自立した老後を送りたいと思うが、今のしくみではお金がないと無理だと身にしみて感じる。

(東京都 英会話講師 51歳)

さらに詳しく知るには

日本でもっとも古くから実績のある武蔵野市のケースはこちら
武蔵野市福祉公社はこちら
金融機関ではもっとも早くから商品を導入した中央三井信託銀行はこちら
みずほ総研の、問題点やリスクなどが整理されたリポートはこちら

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(更新日:2007年10月12日)

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