脳卒中や骨折で入院。治療が一段落し、いざリハビリと思ったら転院を促される――。不満や不信を抱く患者・家族も少なくないようです。なぜこんなことに? あらかじめ医療の仕組みを頭に入れておいたほうがよさそうです。
広島県の男性(72)は、脳出血で倒れた妻(65)の入院先から転院の相談を受け、驚いた。「まだ十分に歩けず、回復していないのに」。昨年4月救急車で運ばれて、2週間後だった。
この男性は「患者の家族になって初めて、リハビリが転院を前提に動いていることを知りました」と、ため息をついた。
転院を促されたのには理由がある。専門病院で集中的なリハビリを受け、機能の早い回復を目指すためだ。厚生労働省はリハビリを、発症後間もない「急性期」、その後の「回復期」、取り戻した機能を保つ「維持期」に分けて=図=、病院や施設ごとに役割分担をすすめている。
患者にとっては1カ所で続けられれば理想的に思えるが、毎日新たな患者が運ばれる病院の現状を考えると、「ベッド数は限られており、機能を分けたほうが効率的」(東京都内のリハビリ科医)というわけだ。
治療後間もなく、主にベッドサイドでの「急性期リハビリ」が始まる。その後、残った症状の回復を目指し集中的なリハビリをするのが「回復期リハビリテーション病棟」だ。男性の妻もこの病棟がある病院に転院を勧められた。
回復期リハビリ病棟では、医師や看護師、理学療法士らがチームを組み、集中的にリハビリにあたる。病気の種類によって異なるが、おおむね発症後1〜2カ月以内の患者が対象だ=表。こうした制度を十分に教えられないまま転院を促されることが、患者側の不満や不信につながる。
多くの病院には入退院の相談に乗るソーシャルワーカーがいる。聖路加国際病院(東京都中央区)では患者は原則として転院前に、ソーシャルワーカーと相談する。症状や希望に添った転院先を見つけるためだ。ソーシャルワーカーの西田知佳子さんは「たいていの入院案内には、窓口が載っているので気軽に相談してみましょう」と助言する。
地域の回復期リハビリ病棟についての情報も集めておきたい。全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会のウェブサイトに一覧がある。
回復期リハビリ病棟も病気の種類によって2〜6カ月が入院対象なので、再び転院を促される人も多い。後遺症がある程度回復し、機能を保つための「維持期リハビリ」に入るためだ。
自宅に戻ったり、老人保健施設に移ったりするが、この際、適用される保険が医療保険から介護保険に変わり、介護認定の申請手続きなどが必要な場合がある。困ったり迷ったりしたらソーシャルワーカーやケアマネジャーが相談に乗ってくれる。
高額療養費が月単位で精算されることに矛盾を感じます。1月中旬〜2月上旬、重度のやけどで近くの病院に計20日間入院し、50万円近くの医療費がかかりました。日数では、ひとつの月内に収まるので、自己負担額は8万円程度でいいと思っていました。でも、入院が二つの月をまたいだために、1月分は高額療養費が適用されたものの、2月分は適用されず、通常の負担になりました。結局、自己負担額は計12万円程度。同じ日数でも入院した日によって負担が違ってくる。理解できません。
(奈良県 無職男性 68歳)
夫が脳出血で倒れ、次の病院へ転院しなければならなくなり、院内の医療相談室に行きました。4カ所の医療機関を紹介され、「実際に見学するといいですよ」と助言を受けました。4カ所とも見学させてもらい、インターネットでも調べ、リハビリのスタッフが充実していた病院を選びました。でも決め手は病院の持つ温かな雰囲気だったのかもしれません。とてもよくしていただきました。その後また転院の話が出たときも、看護師長さんは「何でも助けるよ」と言ってくれ、在宅を選びました。
(札幌市 自営業女性 56歳)
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(更新日:2007年11月09日)
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