朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ホーム設定

Special Contents ひと

  • インタビュー
  • フロントランナー
  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

記事を印刷

備える SONAERU 年金はいくら?ついのすみかは?定年後の暮らしに必要な情報をお届けします。

  • 備えるTOPへ

終末期医療の意思表示

  • ページ1
  • ページ2

家族内の対話が重要
変わる心、選択肢…書面に懸念も

人生に終わりは必ず訪れます。昔と違うのは、医療技術の発達によって命を永らえる選択肢が広がったことです。死を間近にして、尊厳のある生を全うするため、どう意思表示したらいいか。考えてみました。

※クリックすると、拡大します

「無意味な延命措置をしない」。神奈川県に住む60歳代の女性は日本尊厳死協会(本部・東京都文京区)の会員になり、自宅の冷蔵庫に宣言書=図上=のコピーを張っている。9年前、夫が脳梗塞(こうそく)で意識を失った後、息子2人と相談して、延命治療をしないと決めた。同じ状況なら、自分もそうして欲しい。その意思を周囲に伝えたいという。

今年5月末、尊厳死協会の会員は12万人を超えた。91年の東海大安楽死事件(がん患者に担当医師が薬物を注射)、06年の射水市民病院事件(人工呼吸器の取り外し)が報じられた際、会員数は急に伸びた。

ただ、宣言書は問題点も指摘されている。生命維持装置を取り外せば医師は刑事訴追されるかもしれない、「不治かつ末期」「無意味な延命措置」という表現は判断の支えとして漠然とし過ぎている、などだ。

「治療の選択肢は複雑で、日々変化する。その時々で、十分な説明を受けられる医師を見つけておくことが大事」と、亀田総合病院(千葉県鴨川市)の関根龍一・緩和ケア科医長は言う。この病院では電子カルテに「患者さまの意思確認」という項目があり「延命処置を望むか」「希望する延命処置はどれか」という質問が並ぶ。ただ、実際に治療の判断材料にする場合は限られているという。

厚生労働省の終末期医療の検討会委員を務めた仙台往診クリニックの川島孝一郎院長は「紙に書いた意思表示」に強い懸念を抱く。「人間の心はどんどん変わる。本当に直近の意思なのかは分からない」

歩けなくても、人工呼吸器をつけても、尊厳ある生き方はできる。だが、その説明を医師が十分にできない現状での「意思表示」は、書面というかたちだけに本人以外の利益のために利用されやすいと感じる。

福岡県久留米市の斎藤如由(なおゆき)医師は、点滴すら拒否して家族を困惑させていた難病の女性に「私の四つのお願い」という事前指示書をつくってもらったことがある。治療や緩和ケアの内容に加え、「私(患者)の代わりに医療やケアを決める人」を選ぶ。夫を指定した患者に、斎藤医師は「1日でも長く生きていて欲しいご主人は、点滴を私に依頼されるかもしれません。それでも、(代理判断者に)ご主人を選んだ真意は何ですか」と問いかけた。

家族や医師が一緒に指示書をつくる。この作業を通して、治療拒否の根底にある患者の価値観を理解しようと家族が動き始め、ぎくしゃくした関係も修復された。「死を前提にした家族内の対話が重要。それなしに書いても意味がない」と斎藤医師。この指示書のひな型は、神奈川県の箕岡真子医師が米国の指示書を参考に作成し、ネットで公開している。

私の場合

苦痛の緩和に医師は関心を

昨秋に入院してから今年2月に95歳で亡くなるまで、母が受け続けた点滴治療は過酷だった。血管が細くなっていた母は「こんな痛い思いをしてまで生きたくない」と訴え、私も母に苦痛を与えてまで生きて欲しいと思わなかった。だが、医師は「中止すると他の苦痛がでる」と聞いてくれなかった。今の医療は延命に傾きすぎではないか。苦痛を与えてまで生き永らえさせるのは尊厳ある生き方とは言えない。痛みを和らげる医療にもっと関心を持ち、充実させることを医療関係者に望みたい。

(千葉県 無職女性 63歳)

3時間、何があったのか

17年前に心臓の病気で亡くなった夫は、最期を自覚した時、担当医に無駄な延命をしないよう、家族の前ではっきり頼みました。数日後、私たちが病室を離れた間、人工呼吸器が外れ、気づいた時には心電図の線も平らでした。すぐに医師や看護師が6〜7人入り、私は3時間後に入室を許可されました。夫の心臓は動いていましたが意識はなく、目は古い魚のように赤く濁っていました。生かされるため、どんなつらい目にあったのか。私は無駄な延命をしないよう書いた紙片を持ち歩いています。

(川崎市 無職女性 83歳)

さらに詳しく知るには

日本尊厳死協会のホームページはこちら
事前指示書「私の四つのお願い」はこちら

お知らせ

ご意見や体験をお寄せ下さい。ファクス(03-5540-7354)やメール(sonaeru@asahi.com)でも投稿できます。住所、名前、年齢、職業、電話番号を添えて下さい。

  • ご意見や体験はこちら

(更新日:2007年11月16日)

次のページへ
画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。