「60歳で定年になったら年金生活」は過去のこと。年金の満額受給の年齢が少しずつ引き上げられていくなかで、60代で働く人も珍しくなくなりました。フルタイムから短時間勤務まで、働き方の選択肢もさまざまです。自分にあった仕事探しをするには。
仕事をしているか探している人の割合(労働力率)は60代前半で55%、65歳以上でも20%(総務省「06年労働力調査」)。日本の高齢者の就労意欲の高さは、世界でもトップレベルだ。
背景には、高齢者を取り巻く環境がある。60歳から満額支給だった公的年金は年金財政の悪化を受けて、01年度から段階的に支給開始年齢を遅らしており、25年度(女性は30年度)から65歳にならないともらえないことになる。年金が満額受給できるまで働きたいというニーズは高い。
さらに少子高齢化による働き手の減少で、現状のままだと労働力人口は30年に1070万人減ると推計されている。このため、厚生労働省は「70歳まで働ける社会」を掲げて、環境整備を進めている。
高齢者側の事情もある。定年前の団塊世代を対象にした調査では、働く理由は「生活のため」「健康のため」など多様だ=グラフ。
高齢期の生活設計の相談を受けているNPO法人「らしさ」のフィナンシャル・プランナー、山田静江さんは「何のために働くのか、目的に合った働き方を選ぶことが大事」と助言する。
定年後も同じ会社で再雇用、ハローワークで見つける、シルバー人材センターに登録する……。仕事探しの選択肢はさまざまだ。
「例えば、住宅ローンが残っている、子どもの教育費がかかるなどの理由で家計のために働かなければいけない場合、シルバー人材センターのような臨時・パート的な仕事では収入は足りない。逆に、健康や生きがいのために働くのであれば、フルタイムで働く必要はない。生活に応じた働き方を」と山田さん。
退職金などのまとまったお金が入ると起業を考える例もあるが、「甘い見通しで始めると危険。老後の資金計画を立てた上で、経営や財務の勉強をするなど2〜3年は準備期間をとった方がいい」と忠告する。
注意したいのは年金との関係だ。厚生年金受給者の場合、会社勤めで厚生年金に入ると、収入によって年金が減る「在職老齢年金」という制度がある。
60〜64歳の場合、年金(定額部分と報酬比例部分)1カ月分と、月給(ボーナスを含む年収を12等分した額)の合計が28万円を超えた場合、超過分の半分(年金が28万円を超える場合は給料の半額相当分)が減る仕組みで、給料が48万円を超えるとさらに計算方法が変わる。
65歳以上の場合は年金(報酬比例部分)と月給を合わせて48万円を超えた場合に、超過分の半分が減額される=図下。複雑なので最寄りの自治体や金融機関の年金相談窓口で尋ねてみるのも手だ。
定年後9年になるが、「こんなに素晴らしい老後になるとは夢にも思わなかった」というのが、今の素直な思いだ。現役時代の知識と技術を生かせる仕事で、無理のない週2日の勤務というのもいい。水族館での解説という仕事柄、子どもから大人まで様々な人たちと接することができ、海の生き物の話や命の話などをしている。経験を生かした私の話で、感動していただけるのが何よりうれしい。楽しみのお手伝いという気持ちで、肩の力を抜いて一緒に楽しむという姿勢がよいのかなと感じている。
(熊本県 男性 66歳)
人事部門にいた経験を生かして、定年後、管理職教育など人材マネジメントの仕事をしていたが、体力を過信して病気になり3年前に辞めた。今は趣味の鎌倉彫と、森林の下草刈りのボランティアなどをしながら、スーパーマーケットのアルバイトをしている。定年後の仕事は、家庭、趣味、社会寄与、健康などのバランスが必要だと思う。部屋に「自己管理板」を置き、家事、地域交流、ボランティア、趣味などの項目ごとに、今やっていることが一目でわかるようにして偏らないように気を付けている。
(横浜市 男性 67歳)
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(更新日:2008年01月11日)
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