定年を迎えたら別の会社で役に立ちたいとの意欲を持った人も少なくありません。長い勤めで得た経験や人脈、能力を生かし、「新天地」で働くにはどうしたらいいのでしょうか。
手段の一つが、中小企業庁が日本商工会議所に委託している「企業等OB人材マッチング事業」だ。
新事業の展開や経営改善を進めたいが、自社で対応できず人材を育てる時間もない中小企業・ベンチャー企業。中堅・大企業勤めを終え、意欲も能力もあるが役立つ場が見つからない定年退職者。そんな両者をすくい上げ、出あいの機会を提供するのが狙いだ。
定年退職者の相談や登録の窓口は主に各地の商工会議所が担っている。職歴や専門分野などを人材データベースに登録し、企業側はその情報を照会する。都道府県ごとに置かれた地域協議会が企業から支援依頼を受け、マッチングと呼ばれる調整作業にあたり、登録者に連絡する=図。
求められる仕事の熟練度に基準はないが、地域によっては、一つの専門分野で通算10年程度の実務経験があり、登録時の年齢は50歳以上といった条件がつくことも。登録や照会は無料。
支援内容や報酬など具体的な条件は、登録者と企業が直接交渉して決める。中小企業庁の坪田一郎企画官(経営支援担当)は「はじめから社員として雇用契約を結ぶわけではないので、中小企業の負担感が少ない。OB側も、ライフスタイルに合わせて専門知識を生かす機会ができる」。
アドバイザーなどとして週1、2回出社し、報酬は1日1万8千円ほどが平均的。年金などで暮らしには困らないが、技能を役立てることに生きがいを感じたり、接点の薄かった地元とのつながりを求めたりして登録する人が多いという。
働くには心構えが求められる。「大企業に勤めていたころの『名刺』は通用しない。あなたの人間力が問われますよと、よく言うんです」と、日本商工会議所中小企業振興部の星川孝宜課長。規模の小さな会社では、何事も自分から進んで動かないと信用は得られない。「中小企業は人材の育成まで手が回りにくいのが実情。そのため、若い世代も育てようと意欲的な方が好まれるようです」
登録者は03年度に約1300人だったが07年12月末には約8千人に。企業からの照会は約1万件あり、実際に支援に至ったのは累計で約4千件にのぼる。
同庁は08年度から、「新現役チャレンジプラン」(仮称)と衣替えして事業の拡充を計画している。
都道府県の取り組みもある。大阪府は昨年5月から、「産業支援スーパー現役創出プロジェクト」を始めた。企業を定年退職した人たちで組織するNPO法人8団体と連携。大阪市内に設けた府産業支援シニア活動センターを拠点に、中小企業やベンチャー企業からの相談を受け、個人やグループで支援する。意欲のある人材を掘り起こすセミナーも開く。
私は製造業の会社に勤めていますが、定年後に再就職したりした60代後半の方々が、肉体労働に携わっています。なかには、お孫さんが5人いる方もいるのですが、鍛えられた筋肉はすごくて、とてもそのような年齢には見えません。仕事の経験談を聞くのも勉強になります。悠々自適とまではいかなくても、年金などで食べていけるので、社会とかかわることに重きを置いて働いていらっしゃるようです。定年でリタイアするのもいいですが、生涯現役も楽しいだろうなと思いました。
(愛知県 男性 44歳)
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(更新日:2008年01月25日)
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