定年後は、地域や社会に貢献できる活動をしたい。そう考える人は多いようです。活動の中心となっているのが、民間の非営利組織NPO。98年にできたNPO法で、法人を設立できるようになりました。第二の人生にNPO。どうしたら作れるのでしょうか。
東京都の03年の調査では、50代の人のうち、NPOやボランティア活動に参加しているのは1割程度。ただ、「5年後には参加したい」と思うのは男女とも約4割と、関心は高い。
NPO法で、社会的な活動をしたい人たちが集まって法人格を取得できるようになった。内閣府によると、昨年末現在でNPO法人は約3万3千ある。
もちろん任意の団体でも活動できるが、法人にする利点は、事務所の契約や口座開設が法人名義ででき、社会的信用が高まることだ。定年後に挑戦してみたいと思ったら、どうすればいいのか。
設立までの流れは、図の通り。法人化の条件は(1)営利を目的としない(2)正会員が10人以上(3)役員のうち報酬を得る人が3分の1以下、などだ。
中心メンバーで、必要な取り決めや事業計画書などを作り、総会で議決する。認証を受けるには、1都道府県内で活動する場合は各都道府県庁、二つ以上にまたがる場合は内閣府に、定款や役員名簿などを添えて申請。こうした書類が2カ月間、閲覧できるよう公開され、認証の審査は申請後4カ月以内に行われる。
定款にはモデルが設けられており、申請を代行してくれる行政書士や登記を代行してくれる司法書士もいる。NPOサポートセンターの吉川理恵子ディレクターは「形だけ整えるのではなく、定款や事業計画を作る際の合意形成が重要。時間をかけて話し合って作り上げて」と助言する。
国税庁の認定を受けると、そのNPO法人に寄付した個人や企業の税が控除などされる優遇税制も設けられている。だが、条件が厳しく認定されている法人は現在、74しかない。
利点と同時に、義務も果たさなければいけない。官庁への書類の提出のほか、税金もかかる。法人住民税が年間7万円。ただ、収益事業を行っていないか赤字のときは、免除となる自治体も多い。販売や出版などの収益事業を行う場合は、法人税や事業税もかかる。
自分で作るのではなく、既存のNPO法人の力になりたい人もいるだろう。
経済産業研究所の06年末の調査では、NPO法人の常勤スタッフの給与は平均年166万円。1法人あたり月43人がボランティアとして活動に参加し、ボランティアに対しては「すべて無償」と「有償の場合もある」法人が半々だった。
NPO事業サポートセンターの宇都木法男専務理事は「会社員時代と違い、NPOはメンバー全員が経営者で、かつ働き手。違いに慣れるには時間がかかる。退職後はNPOと思うなら退職前から何か活動にかかわるなど準備しておいて」と話す。
中学校の英語教師を退職して20年がたった。退職後の2年間、市が設立した国際交流協会の事務局長の職につき、多くの外国人にごみの出し方など、日常生活に必要な情報を提供することを仕事としてきた。社会から受けた恩に少しでも報いたいとの思いから引き受け、英会話という趣味を生かしつつ、多忙な日々を過ごすことができた。退職後もなお仕事を求める人が多いようだが、あまり負担にならないように、趣味と実益をかねた仕事で第二の人生を送れればいいのではないか。
(三重県 無職男性 80歳)
地方公務員として36年、組織の一員として仕事をこなしてきた。定年まで残り2年余。定年後は、自分の力量の範囲で、地域の住民が横のつながりを強めるための力になれればと思い、かねて行っていたボランティア活動の一環として、自由に地元の人が集まって使える集会施設を立ち上げた。仕事の関係で今は土日のみの開館だが、定年後は週4日を予定しており、そこを核にして人材の交流、地域の振興につなげていきたい。今後どんな展開になっていくのか、自分でもわくわくしている。
(埼玉県 地方公務員 58歳)
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(更新日:2008年02月29日)
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