年金を受けるお年寄りが増え、働く世代が減る少子高齢社会が進むなかで、老後の生活の支えとして公的年金を補完する私的年金の役割が注目されています。私的年金にはどんなものがあるのでしょうか。
国民年金や厚生年金といった国が運営する公的年金とは別に、民間が運営したり個人が任意で加入したりするのが私的年金だ。会社員が入る企業年金や、企業年金がない人のための公的年金の上乗せである個人型の確定拠出年金・国民年金基金、さらに保険会社の個人年金などがこれに当たる=図。
私的年金で大きなウエートを占めるのが企業年金だ。日本では退職金の一部として発達してきたため、会社が掛け金を積み立てて、退職時に一時金で払ったり、年金の形で支給したりするのが一般的だ。
その中でも代表的な厚生年金基金は、厚生年金の一部を代行して給付しており、公的な色彩が強い。また、確定給付企業年金、確定拠出年金(企業型)、適格退職年金(12年3月末で廃止)も公的年金を補うものとして、一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象になるといった税制上の優遇がある。
企業年金連合会の熊沢昭佳理事は「少子高齢化の影響で、今後、公的年金のスリム化が進むことを考えると、企業年金を中心とした私的年金の役割は重要だ」と強調する。
ただ、母体となる企業を取り巻く経営環境の厳しさや、年金資産の運用環境の低迷などを背景に、企業年金は給付が切り下げられたり、解散したりする例がある。厚生労働省のまとめでは、厚生年金基金は96年に1883基金だったのが、07年は652基金まで減少。加入者も96年の1210万人が、07年には半分以下になった。
また、公的年金と同じように、企業年金でも「宙に浮いた年金」が問題となった。厚生年金基金の場合、60歳になるまで受給できないため、途中で退職して長い時間がたつうちに連絡先がわからなくなり、受給漏れになっている人たちがいる。
自分が企業年金に入っていたこと自体を知らなかったり、公的年金の加入期間が25年に満たず受給権がないために企業年金ももらえないと誤解したりして、申請そのものをしていないケースもあるとみられる。未払いの年金は昨年3月末時点で124万人分、1544億円にのぼった。
企業年金連合会は、住所がわかっていて、まだ請求のない人に手続きを促す通知を送っているほか、相談専用のフリーダイヤル(0120・458・865)を設け、「心当たりのある人は連絡をしてほしい」と呼びかけている。
一方、転職が増え働き方も多様になったことから、企業年金がない人たちのために、1人で加入できる確定拠出年金もできた。ただ、個人貯蓄を優遇すると「お金に余裕がある人だけが豊かになる」という指摘もあり、加入対象者が限定されている。
40代半ばで個人年金に一括払いで加入した。55歳から64歳までの10年間、年90万円を受け取る契約で、10年間もらえば支払った額より2割近く多く受け取ることになる。50歳で会社を辞め、その後の趣味を生かしての収入は年20万円ほどにしかならないので、この年金が今は生活の基盤になっている。加入当時は10年近くも先のことで、そのころはそんな先の生活ぶりは想像もできなかったが、過ぎてしまえば早いもの。友人に勧められての加入だったので、感謝している。
(千葉県 裁縫業女性 57歳)
13年前に会社を辞めたとき、退職金の約8割をつぎ込んで終身型の個人年金に加入した。多額の借金を負うのが嫌で、家を買わない借家主義だったので、将来のマンションの家賃にあてようと思ったからだ。そのもくろみはうまくいったようで、現在は個人年金で大方の家賃をカバーし、公的年金はすべて生活費にあてている。これまでにもらった個人年金は、支払った額にほぼ相当し、今後もらう分は得になるようだ。当初は思い切り過ぎたかとも思ったが、振り返ると、賢明な選択だったと思う。
(大阪市 無職男性 75歳)
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(更新日:2008年03月07日)
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