確定拠出年金が徐々に広がっています。掛け金の額ははっきりしていますが、受取額は自分の運用次第。うまくいけば多くなり、いかなければ掛け金の総額より少なくなるおそれもあります。「転職に対応しやすい」と言われていますが、どんな制度でしょうか。
確定拠出年金は、中小企業の従業員や自営業者、転職の多い人も、公的年金への上乗せがしやすいように01年10月に始まった。自営業者らが任意で加入する「個人型」と、企業の従業員が加入する「企業型」がある。いずれも60歳未満であることが条件だ。約270万人が加入している。
特徴は一人ひとりが「口座」を持ち、原則60歳まで掛け金を自分で運用する点だ。企業型は会社が掛け金を出す。個人型は自分で銀行や保険会社など金融機関(運営管理機関)を選び、掛け金は上限まで自由にかけられる。限度額は自営業者や会社員で異なる。
運用は、預貯金や債券、投資信託などの金融商品の中から、どれをどれぐらい買うか選ぶ。例えば、預貯金だと元本は確保される安心感はあるが、利息は少ない。一方、株式中心の投資信託なら利回りは期待できるが、値下がりで受取額が掛け金より減るリスクもある。海外の債券だと、為替リスクも関係してくる。定期的な見直しも大切だ。
大事な老後の資金だから、運用は複数の商品を組み合わせリスクを減らすのがいい。「預貯金や投資信託など自分が持っている資産全体で考え、制度の利点を最大限に生かして」とNPO法人・確定拠出年金教育協会の秦穣治専務理事。
個人型だと、掛け金は課税所得から控除され、非課税となる優遇措置が受けられる。毎月の積み立てが2万円なら年間で掛け金は24万円。所得からこれを差し引いて税金を支払う。
個人型、企業型ともに60歳から年金を受給でき、公的年金等控除の対象になる。ただ、秦さんは「余裕がある人は、年齢が来てすぐに受け取り始めるのはもったいない」と話す。運用期間中は利息などの収益に税金がかからない。そのため、すぐに必要でなければ、受給開始を70歳まで引き延ばし、優遇措置を受け続けることを勧める。だが、あくまでも人生設計全体で考えることが前提だ。
気を付けたいのが企業型の加入者が、退職や転職した時だ。再就職先が確定拠出年金を導入していなければ、6カ月以内に自分で運営管理機関を決めて資産を個人型に移す手続きをしなければならない。怠ると、国民年金基金連合会に強制的に資産が移り、配当や利子もつかず加入期間にも通算されなくなる。
企業型を導入した会社は従業員に対して運用や投資の基礎知識を説明する義務があるが、秦さんは「制度導入時だけで継続されていない例も目立つ」と指摘する。とはいえ、「運用は自己責任」が原則。制度のメリット・デメリットを自分で理解して利用したい。
農業を辞めた後、国民年金で暮らしている。同じ年齢の友人は公務員を退職後、私の何倍かの年金にプラスして、亡くなった夫の年金のうちいくらかを受け取っているようだ。国民年金は掛け金を考えれば、受取額が少なくなっても仕方がない。だが、夫の分も受け取れる年金がうらやましい。夫婦一緒に保険料を納めたのだから国民年金もせめて夫の死亡後、妻がわずかでも受け取れる制度になってくれたら。80万円足らずの年金の支払いを見ながらしみじみ思っている。
(埼玉県 無職女性 79歳)
父は大企業に勤め、数年前に定年を迎えた。退職したとたん厚生年金、企業年金、母の個人年金で思ってもなかった額がもらえ、本人はびっくりしている。元気なので夫婦で楽しくやってくれれば、と思う。今までつらいことも多かっただろうに、家族のために働いてくれたのだから。私たちが高齢者になるころは、国の年金はあてにならず個人年金しか頼れないと思う。「健康を大事にお金がかからない体でいないとね」というのがいつもの妻との会話です。
(愛知県 男性会社員 45歳)
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(更新日:2008年03月14日)
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