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人生のエンディング:9

終末医療:2 我が家で迎える最期

畳の上で安らかに――。理想の死の迎え方として言われることです。住み慣れた家で人生の幕を引くには家族とケアにかかわる人たちとの協力が不可欠です。

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「病人であっても、家にいれば夫であり、父親であり、愛犬の主人のままでいられる。患者が社会性を保ったままでいられる」。日本ホスピス・在宅ケア研究会理事長、だいとう循環器クリニック(兵庫県姫路市)の大頭信義院長は自宅でのケアをそう表現する。

一方で、それは変わりゆく病状を受け止め、時には家族のことがわからなくなりながら、死へ向かう姿をさらすことでもある。

大頭さんは直面した家族が混乱しないように▽痰(たん)が切れにくくなりのどの奥でゼロゼロ音がする▽呼吸が数十秒止まり肩やあごを使って呼吸するようになるなど死への状態を紙に書いて伝える。「聴覚は最期まで残ると言われます。心残りのないように感謝の気持ちやお別れの言葉をかけてください。肌のぬくもりは患者さんを安心させ、最期まで家族といることを確認できるでしょう」と添える。

病院から出る時に在宅医を見つけることが第一歩だ。「在宅支援診療所」の登録診療所を探すのも手だが、病院の相談窓口で連携している診療所を紹介してもらうと、容体の悪化時などに連絡しやすい。がん診療拠点病院の相談支援センターは、病院の患者以外からの相談も無料で受ける。

福島市にある鈴木医院の鈴木信行院長は、決めておくことは「延命措置を望むかどうかだけでもいい」と助言する。「治療や栄養のとり方に正解はないし、容体が変われば本人の意思も変わる」。医師と本人、家族が一緒に考えながら方針を考えていくことが納得できる最期につながる。

在宅ケアは患者の症状だけでなく、その生活環境にも目を向ける医師や、訪問看護師と出会えるかどうかが重要だ。鈴木さんは普段から家族のことをよく知るかかりつけ医が訪問診療を行っていないかなど、探しておくことを勧める。

条件が整えば、在宅でも病院とあまり変わらないレベルの治療ができる。東京・新宿の白十字訪問看護ステーションの秋山正子所長は「在宅ケアは医療と福祉の関係者と家族が協力しあって患者を支える。家族が何でも背負うのでなく家族にしかできないことが何かを考えて欲しい」という。

6年前、夫を自宅でみとった東京都江東区の主婦(65)。末期の胆嚢(たんのう)がんと診断された夫は、痛みを取る薬のほかは、治療はしないと決めた。「2人の子どもと送ってほしい」というのが願いだった。

亡くなる数日前、食事がとれなくなった夫は、意識がはっきりしないまま手酌で酒を飲むしぐさをした。「私も」と手を差し出すと、うれしそうにお酌をしてくれた。とっくりもおちょこもなかったが、夫婦で最期の酒を楽しんだ。数日後、息を引き取った。子と3人で体をきれいにし、ひげをそりお気に入りの服を着せた。送り出した時の思い出が主婦の悲しみを癒やしているという。

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私の場合

介護者のケアまで

2年前、前立腺がんで夫に先立たれました。「腰が痛い」と病院へ行くと、骨まで転移している末期でした。「最期を家で迎えたい」という夫に、長女が自宅近くの緩和ケアをする診療所を見つけてきました。「介護を頑張らなきゃ」と思い詰めていた時です。訪問看護師さんが私の肩をもみ「泣きたい時は泣きましょう」と言ってくれ、感情があふれ出ました。今はその診療所のデイサービスでボランティアをしています。夫も行っていた思い出の場所は、今でも癒やしの場であり、泣き、笑える所です。

(東京都小平市 女性 60歳)

父が望む最期だったか

今年1月、82歳の父の最期に今も思いを残します。末期の胆管がんで入退院を繰り返していた父は、田舎のお墓を千葉に移すことにして法要などの行事を忙しそうにこなすうちに食欲を取り戻しました。父の容体が変わったのは、退院した翌日。家族でみとりましたが、病院に連絡すると「死亡診断をするので救急車で連れて来て欲しい」と言われました。「延命はしない」と言っていた父が心臓マッサージを受ける姿を見て、訪問診療を一度でも受けて自宅で死亡診断してもらえるようにしておけば、と思っています。

(千葉市 主婦 50歳)

(更新日:2008年10月24日)

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